校閲の目 朕惟(ちんおも)ふに

森友学園問題で話題となった「教育勅語」。園児たちが唱和する異様な映像にショックを受けました。その冒頭、「朕(ちん)惟(おも)ふに…」の「朕」とは?もともとは秦の始皇帝が「天子の自称」と定めて使ったもので、日本では天皇しか使わない言葉です。

この「朕」という漢字は、驚くことに常用漢字表に入っています。前身の当用漢字が採用されたときからありました。戦前の天皇ならいざ知らず、戦後の天皇は「朕」と言わなくなりました。誰一人使わない漢字が常用漢字表に入っているのだから不思議です。
この漢字が採用されたのは、日本国憲法に使われている漢字だからといわれています。当用漢字制定の直前に憲法が公布されました。新憲法は誰でも読めなければならないとして、そこで使われている「嚇、濫、遵、虞」など難しい漢字が入りました。「朕」や「璽」は、憲法前文の前にある、天皇が公布を許可する「上諭」の中にあります。
さすがに新聞では、常用漢字ですが「使わない漢字」にしています。本紙でもめったに見ません。
天皇の退位が議論され、その呼称も問題になっている昨今です。そろそろ常用漢字から削除してもよさそうですが、またぞろお役人は「忖度(そんたく)」してしまうのでしょうか。
(河邑哲也)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月5日付掲載
「朕」という字は憲法にあるって言っても、本文(前文を含む)にではなくって、「上論」の中って事なのだから、常用漢字からはずしてもいいのでは。

森友学園問題で話題となった「教育勅語」。園児たちが唱和する異様な映像にショックを受けました。その冒頭、「朕(ちん)惟(おも)ふに…」の「朕」とは?もともとは秦の始皇帝が「天子の自称」と定めて使ったもので、日本では天皇しか使わない言葉です。

この「朕」という漢字は、驚くことに常用漢字表に入っています。前身の当用漢字が採用されたときからありました。戦前の天皇ならいざ知らず、戦後の天皇は「朕」と言わなくなりました。誰一人使わない漢字が常用漢字表に入っているのだから不思議です。
この漢字が採用されたのは、日本国憲法に使われている漢字だからといわれています。当用漢字制定の直前に憲法が公布されました。新憲法は誰でも読めなければならないとして、そこで使われている「嚇、濫、遵、虞」など難しい漢字が入りました。「朕」や「璽」は、憲法前文の前にある、天皇が公布を許可する「上諭」の中にあります。
さすがに新聞では、常用漢字ですが「使わない漢字」にしています。本紙でもめったに見ません。
天皇の退位が議論され、その呼称も問題になっている昨今です。そろそろ常用漢字から削除してもよさそうですが、またぞろお役人は「忖度(そんたく)」してしまうのでしょうか。
(河邑哲也)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月5日付掲載
「朕」という字は憲法にあるって言っても、本文(前文を含む)にではなくって、「上論」の中って事なのだから、常用漢字からはずしてもいいのでは。