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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

軍事に傾く三菱重工① 水面下で武器輸出計画

2017-05-11 14:44:27 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事に傾く三菱重工① 水面下で武器輸出計画

三菱重工業が戦闘機F15の部品を米軍に輸出する計画を水面下で進めていました。日本共産党の井上哲士参院議員が初めて明らかにした事実です(4月25日、外交防衛委員会)。武器輸出三原則を撤廃して武器輸出を推進する安倍晋三政権のもとで、同社は軍事でかせぐ戦略を強めています。(杉本恒如)

井上議員が独自に入手したのは「三菱重工労組名航支部」が2016年2月12日に発行した「航労ニュース」です。会社側が労組に提案した内容を組合員に周知するための組合報です。そこにはF15の部品輸出計画が詳細に書かれていました。



戦闘機F15(米空軍のホームページから)

201機空自に納入
「今後の防衛事業は、武器輸出三原則の緩和に伴い、従来の既存(国内)事これを基盤とした国際協業、さらには拡張(輸出)などへの展開を目指している」
「F15についても今年度下期よりライセンサーと協業した米軍への部品輸出検討を開始し、年度末に掛けて提案活動が本格化する状況となった」
F15は米社マクドネル・ダグラス(現ボーイング)が開発した戦闘機です。三菱重工は1978年以来ライセンス(許可)契約にも201機を航空自衛隊に納入してきたと組合報は記しています。「米空軍を始め西側諸国においても今なお主力戦闘機であり、2040年代まで運用される予定」だと強調しています。
米空軍は現在468機のF15を保有しているとホームページで公表しています。米国での新規の製造は、米軍向けには終了していますが、輸出用には続いています。米国は84機のF15を輸出する契約を11年にサウジアラビアと結びました。16年には72機の輸出でカタールと合意しています。イスラエルもF15の追加調達を示唆してきました。
組合報によると、F15の部品輸出計画はすでに、きわめて具体的な段階に到達していました。
会社側は労組に対し、部品輸出を実現するために「特別暫定時間外協定」を提案しました。「短期間で検討を進める」ために、労使協定で定めた時間外労働の限度を超す、特別の長時間労働が必要だというのです。航空機整備業務課の「キーマンへの負荷集中が避けられない」というのが会社側の主張でした。
「キーマン」は何をするのか。会社側は、「輸出相手国である米国連邦調達規則等について事前に調査のうえ対応を検討する必要がある」と説明しました。さらには、「高利益確保に向けた」調査や検討が必要だと繰り返し説きました。
「輸出相手国の契約条件や会計基準に基づいて、リスク要素を加味した高い利益確保の方策を検討する必要がある」
武器輸出で利益を増やしていく姿勢が露骨にあらわれています。

自動的に拡散も
問題は米国への輸出にとどまりません。安倍政権が定めた新原則では、日本企業がライセンス元に武器を輸出する場合、輸出相手国から第三国への再輸出が日本政府の事前同意なしで可能になります。三菱重工が米国に輸出する部品は、米国からF15を買う中東諸国などに自動的に拡散しかねないのです。
本紙の問い合わせに対し、三菱重工広報部は「現時点でF15の部品を輸出する計画を進めている事実はない」と回答。しかし16年2月の三菱重工労組ニュースに同社のF15部品輸出計画が書かれた事実は否定しませんでした。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月10日付掲載


F15などの沢山発注される戦闘機。儲け頭になると同時に、海外で使われる危険性が免れない。