憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑫ 民主主義侵す秘密保護法
国の情報は国民のもの
「憲法21条の表現の自由は、一人ひとりが人間らしく生きていく自己実現の基礎であると同時に、立憲主義が守られ、個人の自由が守られるように民主主義の政治プロセスがきちんと機能する保障です」
発信者と受け手両方の権利保障
表現の自由をめぐる諸間題に詳しい、立命館大学の市川正人教授は述べます。
表現の自由には、情報の発信を基本に、情報の「受け手」の権利も保障される両面性がもともと内在します。それがマスコミの発達の中で「国民の知る権利」を核とする自由へと発展してきました。
市川氏は、「19世紀末くらいからマスメディアが発達し、社会に情報を伝えるうえで圧倒的な力を持つのに応じて、国民が知るべきことを知るために、マスコミの報道・取材の自由を保護すると同時に、情報の受け手である国民の知る権利に独自の重要な意義が与えられるようになってきた」と述べます。
福祉国家、行政の役割の増大の中で、公権力が保有する情報が膨大になります。政治・政策の決定にそれらの情報は重要で、国民が自由に知ることが民主政治のプロセスにとって重要となります。
マスコミの発達と公権力の保有情報の拡大という二つの事情が、権力監視にとって表現の自由に特別の重要性を与え、「情報の流通全体を保障する自由」という性格をもたらしてきたのです。
安倍政権のもとで、重大な反動が進みます。安倍政権は2013年12月、特定秘密保護法を強行しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/52/85aa810418661321ac99d8eb275832a0.jpg)
秘密保護法を廃案にしょうと抗議の国会包囲行動に参加する人たち=2013年12月4日、国会前
国民の知る権利表現の自由侵害
同法は、安保、外交、特定有害活動(スパイ)、テロに関する「情報」について、行政機関の長が「秘密」指定し、秘密を漏えいした者、秘密を取得した者を懲役10年以下の厳罰に処し、その教唆、扇動、共謀を処罰します。また民間人も含め、秘密に接触できる人を「審査」で限定する「適性評価制度」を導入。軍事情報共有のため、米国が整備を要求してきたものです。
市川氏は、「国や公共機関が持つ情報は本来国民のもの。国民に仕える官僚が、それを独占するのはおかしい。国政の重要情報を安全保障に関連するとして非常に強くガードを固め、厳罰で守るのは、国民の知る権利と表現の自由に対する侵害になる」と指摘します。
同法制定の動きに対しては、全国で広範な市民が反対に立ちあがり、15年の安保法制H戦争法反対の大闘争へとつながりました。
市川氏は述べます。
「何が秘密指定されているかわからず、指定の妥当性すらチェックできない。政府には、新安保条約締結時や沖縄返還時の核密約など、国民をだました過去がある。そういうことをまったくチェックできない秘密保護法で、どんなことが隠されているのか、ずっと後にならないとわからない」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月2日付掲載
「国や公共機関が持つ情報は本来国民のもの。国民に仕える官僚が、それを独占するのはおかしい」
国が特定機密って隠しても、なぜか共産党のもとに「内部告発」などで情報が届く。
告発者の守り、情報を有効に活用してくれるって信頼と期待から。
国の情報は国民のもの
「憲法21条の表現の自由は、一人ひとりが人間らしく生きていく自己実現の基礎であると同時に、立憲主義が守られ、個人の自由が守られるように民主主義の政治プロセスがきちんと機能する保障です」
発信者と受け手両方の権利保障
表現の自由をめぐる諸間題に詳しい、立命館大学の市川正人教授は述べます。
表現の自由には、情報の発信を基本に、情報の「受け手」の権利も保障される両面性がもともと内在します。それがマスコミの発達の中で「国民の知る権利」を核とする自由へと発展してきました。
市川氏は、「19世紀末くらいからマスメディアが発達し、社会に情報を伝えるうえで圧倒的な力を持つのに応じて、国民が知るべきことを知るために、マスコミの報道・取材の自由を保護すると同時に、情報の受け手である国民の知る権利に独自の重要な意義が与えられるようになってきた」と述べます。
福祉国家、行政の役割の増大の中で、公権力が保有する情報が膨大になります。政治・政策の決定にそれらの情報は重要で、国民が自由に知ることが民主政治のプロセスにとって重要となります。
マスコミの発達と公権力の保有情報の拡大という二つの事情が、権力監視にとって表現の自由に特別の重要性を与え、「情報の流通全体を保障する自由」という性格をもたらしてきたのです。
安倍政権のもとで、重大な反動が進みます。安倍政権は2013年12月、特定秘密保護法を強行しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/52/85aa810418661321ac99d8eb275832a0.jpg)
秘密保護法を廃案にしょうと抗議の国会包囲行動に参加する人たち=2013年12月4日、国会前
国民の知る権利表現の自由侵害
同法は、安保、外交、特定有害活動(スパイ)、テロに関する「情報」について、行政機関の長が「秘密」指定し、秘密を漏えいした者、秘密を取得した者を懲役10年以下の厳罰に処し、その教唆、扇動、共謀を処罰します。また民間人も含め、秘密に接触できる人を「審査」で限定する「適性評価制度」を導入。軍事情報共有のため、米国が整備を要求してきたものです。
市川氏は、「国や公共機関が持つ情報は本来国民のもの。国民に仕える官僚が、それを独占するのはおかしい。国政の重要情報を安全保障に関連するとして非常に強くガードを固め、厳罰で守るのは、国民の知る権利と表現の自由に対する侵害になる」と指摘します。
同法制定の動きに対しては、全国で広範な市民が反対に立ちあがり、15年の安保法制H戦争法反対の大闘争へとつながりました。
市川氏は述べます。
「何が秘密指定されているかわからず、指定の妥当性すらチェックできない。政府には、新安保条約締結時や沖縄返還時の核密約など、国民をだました過去がある。そういうことをまったくチェックできない秘密保護法で、どんなことが隠されているのか、ずっと後にならないとわからない」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月2日付掲載
「国や公共機関が持つ情報は本来国民のもの。国民に仕える官僚が、それを独占するのはおかしい」
国が特定機密って隠しても、なぜか共産党のもとに「内部告発」などで情報が届く。
告発者の守り、情報を有効に活用してくれるって信頼と期待から。