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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑮ 学問の自由とは 戦争協力への反省が前提

2017-05-07 11:43:43 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑮ 学問の自由とは
戦争協力への反省が前提


研究機関動員へ予算110億円計上
安倍政権は、大学や公的研究機関などに軍事研究を委託する「安全保障技術研思究推進制度」を創り、2017年度予算に前年度予算の18倍の110億円を計上しました。「戦争をする国」づくりに大学などの研究機関を動員しようとする動きです。
これに対し、日本学術会議は3月、「軍事研究を行わない」とした1950年、67年の声明を継承する新しい声明を決定。研究推進制度について「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と指摘しました。
永山茂樹東海大学教授(憲法学)は、20世紀前半までにつくられた諸外国の憲法には「学問の自由」の規定が置かれることが少なかったと指摘するとともに、日本国憲法に「学問の自由」(第23条)が書き込まれた理由を次のように言います。「戦前は天皇機関説事件や滝川事件のように、国家権力が学問の内容に介入し自由を抑圧した。
さらに、学問が戦争に協力し、動員された。そういう国家と学問のあり方への反省を含めた、学問の自由の規定です」
明治以降、国家が富国強兵のために学問を発展させてきました。軍学共同反対連絡会の事務局の小寺隆幸・元京都橘女子大学教授は「日本の学問は歴史的に国家に従属する弱さをもっていました。それが学問の戦争協力につながっていきます。憲法23条の学問の自由は、学問は政治や権威に従属しないと決めているのです」と語ります。



軍事研究に反対する意見が多数をしめた日本学術会議の新声明に関する学術フォーラム=2月4日、東京

文化と福祉への貢献の下でこそ
理論物理学を専門とする松田正久元愛知教育大学学長は「“自由なのだから、人を殺すことを研究していい”というのは学問の自由ではありません。あくまで人類の文化と福祉に貢献するという前提の下での学問の自由です。だから、憲法を逸脱するような学問の自由は認めていません」と主張します。
特に学問の自由は平和主義と関係があると永山氏は指摘します。
「日本国憲法全体が『平和』を重視したつくりになっています。学問の自由も、戦争をしないという国家のあり方と無関係ではありえません。憲法の9条2項は戦力を持たないとはっきり書いています。戦力を持たないはずの国が、大学や研究者にお金を出して、軍事研究をさせるのは理屈に合いません」
学術会議の声明を前後して、各地の国公私立大学が研究推進制度に応募すべきではないという指針を定めています。
軍事的価値を否定した9条2項のもとで、学問分野でも軍事との結びつきを否定し、学問の独立の保障を求める動きが広がっています。日本国憲法の「学問の自由」が力を発揮しています。(おわり)(この連載は秋山豊、中祖寅一、行沢寛史、若林明が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月5日付掲載


“自由なのだから、人を殺すことを研究していい”というのは危険な思想です。
日本学術会議は3月、「軍事研究を行わない」とした1950年、67年の声明を継承する新しい声明を決定。健全です。
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