きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

再生エネ世界の挑戦~ハワイ編③~ 次世代への影響考えたから

2016-01-07 19:34:30 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
再生エネ世界の挑戦~ハワイ編③~ 次世代への影響考えたから
州下院議員 クリス・リーさんに聞く

米ハワイ州で昨年成立した、2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなうとする法律を推進したクリス・リー州下院議員(エネルギー・環境保護委員会委員長)に話を聞きました。(ホノルル=島田峰隆 写真も)




この法律はとても良いタイミングで成立しました。ハワイ州は10年近く前、2030年までに電力の40%を再生可能エネルギーでまかなう目標を決めました。その後、再生可能エネルギーの需要が増え、電気事業体はいま、今後30年を展望した投資計画を考えています。法律の狙いは、新たな投資が再生可能エネルギーの活用へ向かうよう促す点にありました。

安全保障になる
また海面上昇や海岸浸食などハワイでも気候変動の影響がみられます。温室効果ガスを排出する石油依存の現状を抜け出し、次世代への悪影響を緩和するため役割を果たさなければなりません。
ハワイ州はエネルギー源として毎週、石油を移入していますが、備蓄は21日分かそれ以下しかありません。もし巨大ハリケーンや津波によって定期的な供給が途絶えたら孤立します。石油移入への依存を減らし、地元の再生可能エネルギーで経済を強めれば、州にとっても国にとっても安全保障になります。
法律をめぐる議論では、再生可能エネルギーの活用に懐疑的な意見が一部にありましたが、過去10年間のハワイの実績を踏まえれば、この方向こそ進むべき正しい道です。



カウアイ島南部にあるコロア太陽光発電所=2015年12月4日

長い目で見ても
化石燃料は商品であり、高価になったり、抽出が難しくなったりします。一方で再生可能エネルギーは技術です。革新が進むし、価格も安くなります。長い目で見ると石油より信頼できます。
最新の世論調査では大部分の住民が再生可能エネルギーの活用を支持しています。州の産業の一つである米軍も、彼ら自身の安全保障と自立した持続性のために、再生可能エネルギーの活用に取り組んでいます。
ワシントンでオバマ政権幹部と話した時、ハワイは再生可能エネルギーの活用が政治的に可能で、米国のどの地域よりもその方向に進んでいるという話になりました。これは、今はハワイに特有なことですが、気候変動の影響が世界中で感じられるなか、米国全体や世界全体に広がる動きになると思います。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月5日付掲載


安全保障の観点から、再生可能エネルギーの活用を推進するのですか。
どこやらの国の首相は、安全保障と言えば軍事力しか頭の中にないようですが、随分と発想がちがうのですね。


再生エネ世界の挑戦~ハワイ編~② 電気自動車の普及を柱に

2016-01-06 14:59:21 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
再生エネ世界の挑戦~ハワイ編~② 電気自動車の普及を柱に

米ハワイ州が化石燃料に依存した経済から抜け出すうえで特に重視しているのが、電気自動車の普及です。州都ホノルルをはじめ、主要都市の大型駐車場を訪れると、電気自動車の充電スタンドが設けられています。


ホノルル市内にある電気目動車の充電スタンド=2015年12月

人口比全米2位
電気自動車の普及は、州が2008年に再生可能エネルギーを活用する方針を打ち出したことを受けて進みました。担当官庁の産業経済開発・観光省によると、昨年5月時点で電気自動車は約3500台。人ロ1人当たりではカリフォルニア州に次いで全米2位です。
同省によると州が輸入する化石燃料のうち約3割が地上交通で消費されます。同省エネルギー局のジョナサン・チン研究員は「電気自動車の導入は、化石燃料への依存を減らすうえでも温室効果ガスを減らすうえでも、極めて分かりやすく、実現しやすい目標です」と指摘します。
チン氏は、ハワイ州で電気自動車の大幅活用が見込める背景について、▽米本土と比べて移動距離が限られる▽全般的に天候が良い▽今後再生可能エネルギーによる発電が進むことで電気代が下がる―ことを挙げました。
「当初は電池切れになったらどうしようと不安でしたが、今は充電スタンドも増えて安心して乗れますよ」。こう話すのは4年前に電気自動車に切り替えたスーザン・グレイエリスさん。オアフ島東部カイルアからホノルルまで毎日、片道約20キロの道のりを電気自動車で通勤します。帰宅してから約3時間充電するのが日課です。
グレイエリスさんは「通勤で山を一つ越える必要がありますが、その後買い物などをしても全く大丈夫。本土の州ほど広くありませんからね」と続けます。



ハワイ州産業経済開発・観光省のジョナサン・チン研究員

駐車料金が無料
州政府は、▽100台以上の駐車場には少なくとも1カ所の充電スタンドを設ける▽州や郡の施設では電気自動車の駐車料金を無料にする―などの優遇策を取っています。
今後の課題は、現在約440基ある充電スタンドをいかに増やすかだといいます。利用者の多くは、仕事を終えた後の夕方から夜に充電しますが、この時間帯は電力需要のピーク時間と重なります。勤務中の日中に充電できる体制をどうつくるか検討が必要だといいます。
チン研究員は「今では住民の多くが電気自動車を見ても驚かず、理解が広がっています。解決すべきことは多いですが、電気自動車の普及はハワイでのエネルギー転換の柱の一つであり続けるでしょう」と述べました。(ホノルル=島田峰隆 写真も)
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月4日付掲載


再生エネの普及の一つに電気自動車ですか。ガソリン・レスの社会を目指すのですね。
電気自動車は購入にコストがかかりますが、将来的には経済的に良いってことでしょうか。

再生エネ世界の挑戦~ハワイ編~① 島内の電力 4割まかなう

2016-01-05 20:42:35 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
再生エネ世界の挑戦~ハワイ編~① 島内の電力 4割まかなう

米本土から遠く離れたハワイ州はこれまでエネルギー源のほとんどを州外からの化石燃料に頼ってきました。昨年、石油依存から脱却し、2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなうとする法律が成立しました。エネルギー転換に踏み出した同州からリポートします。(ハワイ州カウアイ島=島田峰隆 写真も)


【カウアイ島】
米ハワイ州にある主要8島のうち最北端の島。米政府によると、2014年の人口は約7万人、面積は約1430平方キロ(東京都の約65%)。


ハワイ州北部カウアイ島では、2014年、15年と相次いで大型の太陽光発電施設が始動しました。南部のコロア発電所と東部のアナホラ発電所です。それぞれ1万2千キロワットを発電します。両施設には数百頭の羊が放牧され、雑草が伸びるのを防いでいます。


カウアイ島電気事業協同組(KIUC)のジム・ケリー氏

住民が引き継ぐ
「小さな島ですが、再生可能エネルギーの活用や温室効果ガスの削減への貢献では、大規模な電気事業体に見劣りしませんよ」
同島の電気供給を担う「カウアイ島電気事業協同組合」(KIUC)の広報責任者、ジム・ケリー氏が力を込めました。KIUCは02年、それまで米本土の企業が行っていた電気事業を住民が引き継ぐ形で発足しました。
島の中心都市リフエにある本部はクリーム色の2階建ての建物。電気代の支払いを受け付けたり、コールセンターで利用者の相談にのったりと職員が忙しそうに働きます。
ケリー氏は「われわれの強みは、利用者が運営方針を決める民主主義にあります」と語ります。州政府が08年に再生可能エネルギーの活用方針を示した際、KIUCは総会で島の将来を議論。石油依存では環境面で持続可能ではないと結論付け、島の状況に適した形で太陽光や水力など再生可能エネルギーの活用を強める方向を確認しました。
その結果、15年末には島内の電力の約4割を再生可能エネルギーでまかなえています。14年時と10年時を比べると、発電時の石油利用量と温室効果ガスの排出量はそれぞれ約9%減りました。



カウアイ島電気事業協同組合(KIUC)の本部で、利用者からの電話に応対する職員ら=2015年12月、ハワイ州カウアイ島リフエ

23年までに50%
米メディアも昨年11月初め、「小さな島が再生可能エネルギー活用へ巨大な取り組み」「ハワイ州全体の野心的な目標へ大きく貢献」と注目しました。
KIUCの当面の目標は、23年までに島内の電力の少なくとも50%を再生可能エネルギーでまかなうことです。13年に利用者の合意で決めた戦略計画に盛り込みました。
希少種の鳥を保護するため風力発電を行えないことや、水力発電施設の設置と環境保護の両立など課題も少なくありません。
ケリー氏は「確かに困難は多くあります。しかし地球温暖化を防ぐためにも石油依存からの脱却は避けられない課題。他の人の行動を待つのではなく、私たち自身が開拓したい。私たちはその姿勢をとても誇りに思います」と強調しました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月3日付掲載


野心的目標って言うのはこういうことを言うんですね。米国・ハワイ州が「2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなう」法律を決めた。
それも、地元住民の合意のもとに着実に進めている。


ASEAN共同体 始動 平和の「中心的役割」めざす

2016-01-01 16:36:26 | 国際政治
ASEAN共同体 始動 平和の「中心的役割」めざす

 【ハノイ=松本眞志】東南アジア諸国連合(ASEAN)共同体が31日に発足しました。11月の首脳会議は、今後10年間の目標となる「ASEAN共同体ビジョン2025」を採択。レ・ルオン・ミン事務局長は「アジア・太平洋全体の平和、安定、安全のために協力する『開かれた共同体』をめざす」と述べています。



 「ビジョン」は、戦争放棄を明記した東南アジア友好協力条約(TAC)などの原則を堅持し、東アジアの平和と安定に「中心的役割」を果たすと強調。東アジア首脳会議(EAS)に参加する18カ国(ASEAN10カ国と日米中ロなど)が、TACと同様の「法的拘束力のある文書」を結ぶことを探求すると宣言しています。
 共同体は、平和を保障する「政治・安保共同体」、繁栄をめざす「経済共同体」、一人ひとりが豊かに発展できる「社会・文化共同体」の3本柱から成ります。
 ミン氏は共同体発足までの歩みについて、「この地域は文化、宗教、歴史、政治制度が多様だ」と指摘しました。各国の主権を尊重し、内政不干渉とコンセンサス(全員一致)による地域統合の努力が「多様性を弱みではなく強みに転換した」と強調。この経験は東アジアの平和と安定にも生かせると語りました。



団結の力で役割強化 重層的に枠組み築く

 ベトナム外務省ASEAN局のチン・ミン・マイン次長は共同体発足について、「ASEAN統合プロセスの画期をなすものであり、50年近くにおよぶASEANの成熟度を示すものとなる」と強調しました。「共同体設立以前とくらべて、ASEANは“より深く”“より高いレベル”で統合が強化される」と述べています。


東南アジア諸国連合(ASEAN)共同体設立に関する署名式で手を組む各国首脳=2015年11月22日、クアラルンプール(AFP時事)

 マイン氏は、「共同体構築は長期に継続する過程だ」と指摘。「政治・安全保障共同体」は、域内の複雑で急速な変化に即応できる常設委員会、首脳、閣僚、高官級による効率的な協議システムを機構化し、緊急事態以外でも対応できるようにするとしています。
 「経済共同体」では、遠距離通信、金融、流通、エネルギー、農漁業、鉱業など重要視される分野で自由化と統合を強化する方向です。一方でマイン氏は、加盟国間での経済共同体に対する意見の相違を踏まえるべきだと語ります。
 「社会・文化共同体」ではASEANの重要な政策を、国民本位で考えます。
 マイン氏は、欧州連合(EU)と異なりASEANが進める「統合」は、そのカギとして「コンセンサス(全員一致)」が重要だと強調します。
 現在、東南アジア・太平洋地域では、南シナ海問題、テロ・暴力問題が懸念されています。マイン氏は、「政治・安全保障共同体はこれらの問題に対処し、平和と安定の環境を維持することに貢献する」と語りました。
 中国とフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイの領有権主張が重なる南シナ海問題では、「東南アジア友好協力条約(TAC)や国連憲章、国際法によって認められた諸原則を基礎に域内で行動規範をつくり、適用範囲を拡大していく。中国に対しては、平和的手段、武力の不使用、国連海洋法条約を含む国際法の順守による紛争解決を求め、南シナ海行動宣言(DOC)の履行と(法的拘束力を持つ)南シナ海行動規範(COC)の調印を促す」としています。
 1967年にASEANを結成した東南アジア諸国はTACを基礎にして、DOC、26カ国・1機構が参加するASEAN地域フォーラム(ARF)、東アジア首脳会議(EAS)など、域外国とも平和と安全保障の枠組みを重層的に築いてきました。
 1995年には東南アジア非核兵器地帯条約を締結。これを保証する議定書への署名を核保有5カ国に求めるなど、核兵器のない世界に向けた努力も続けています。
 ASEANのミン事務局長は「政治、安全保障、経済で団結した力を発揮することによって、ASEANの役割と影響力は地域的にも、世界的にも強まっていくだろう」と展望しています。

 (ハノイ=松本眞志)


平和を保障する「政治・安保共同体」、繁栄をめざす「経済共同体」、一人ひとりが豊かに発展できる「社会・文化共同体」の3本柱。
なかなか、重層的な取り組みですね。