P.86 しぐるゝや 蒟蒻冷えて 臍の上
死の床に伏した子規が、なんとも哀れなことに、こんにゃくを懐炉か
湯たんぽの代わりにして身体を暖めている……しかし、こんにゃくはいまや
すっかり冷え、胸の上から下っ腹のほうにずり落ちてしまった……
そんな状況を詠んだ俳句だ。ぼくはPulversならぬ Perverse(へそ曲がり)だから、
これぞ日本のユーモアだと、思わずにやりとしてしまったが、
当の子規もこれを詠んだ時は
やはりその口元に笑みを浮かべていたのではないだろうか。
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この項だけは、アメリカ人であるパルバース氏はご存知なかったかもしれないので
私の見解をあげておきます。
子規の最期の情景を見てはいないので、「別の可能性」というだけのことですが。
<こんにゃく療法>という手当て法があって、
「知る人ぞ、知る」日本の民間療法なのです。
(今、ネットで検索するだけで40万件以上出てきます。)
正しくは、「臍の上」ではなく、臍の下3cmあたり、丹田と肝臓あたりの二箇所を
セットで暖めます。(こんにゃくの数により、適当で良い。)
私は<どうせお湯を沸かすのだから><4個一度に温め(沸騰10分)>
上記のほかに、足の裏に2個、腎臓に2個など、
自分が気持ちよく感じる場所に当てて温めるのです。
でも、決して「冷え切る」までではなく、20~30分程度で、
終ったら冷たいタオルで脾臓を引き締めることを忘れてはいけません。
この手順を踏めないほど弱ってしまった身体を自分で眺める(感じる)ことは、
苦笑せざるをえないほど、情けないことに違いありません。