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P.158 1982年には、社会的な価値観がさらに多様化するなかで、
実際に教鞭をとる先生たちから、
もはや科学的な知識伝達だけでは子どもたちの置かれた現実に
対応できないという声が上がりました。
そこで男女や性的志向の差にかかわらず、お互いの性を理解し、
肯定的に受け止め、ともに生きていくことのできる社会を
どのように作っていくかを考える「”人間と性”教育研究協議会」も
発足しました。
その後、学習指導要領に新しく、女性の月経や妊娠の
メカニズムを教えることが初めて定められました。
P.159(ところが)ふたを開けてみれば、
子どもを作るために「どのように男女のカラダが変化するか」は
教えるけれどど、「どんなふうにしたら妊娠するか」ということも
「自立した人間同士、共に生きていく」という肝心の部分も
すっぽり抜けていた。
その反省から、ようやく多様なアプローチで性について考えよう
という気運が高まりつつあったのですが、
21世紀に入って間もないころから、性体験の低年齢化や、
性交をする相手の数が増加傾向にあることなどを理由に、
「性教育をもう一度純潔教育に戻そう」という声がよく聞かれる
ようになりました。
規範意識の薄れてしまった子どもたちを枠にはめなければ、
問題行動は減らないというわけです。
そのような主張をする人の中には、
性に関する正しい知識を教えることが、
性行動を後押しすると主張する人さえ居ます。
しかし、産婦人科医として、望まない妊娠・中絶、
性感染症を繰り返す子どもたちを実際にみていると、
彼らには「自分で自分の身を守るすべ」
「男女ともにパートナーを大切にすることの意味」をしっかり
伝えていかなければならないと痛感します。
長い間にわたって受け継がれてきた純潔教育的な女性観は、
強姦されて、あるいは自分では望まない性交を強要されて
妊娠した場合にも、「女性側に問題があるかのように、
肩身の狭い思いをする状況」につながっているように思います。
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