

P.163 価値観は人間のつくったものだけに、どんどん変わる。
一切は移ろっていく。その一方で、変わらず貫いているというものもある。
(中略)一種の美意識というものも、変わらないであろうと私は思います。
(中略) 人間性の奥底が求めているもの、それがほんとうの"美"でしょう。
学問のある人もない人も、なにかの経験のある人もない人も、
富める者も貧しい者も、あらゆる人に「ああ美しいなあ」と感動を呼ぶもの。
そういうものがあれば、それは人類の宝ともいえるでしょう。
P.164 (中略)それに近いものをつくれたらなあと、叶えられない望みは抱いている。
そういう望みは、私だけではなく、それぞれの人が抱いていて、
生きる源になっている。ですから、叶えられなくても人は望み続けている。
私が日々、歌っているたくさんの曲は、常に新鮮な感動を与えてくれるので、
さだまさし、Mozart、ビゼー、ロイドウエバーなどの作曲家やその作品は、
人類の宝と思います。
では、私の書くミュージカルのシナリオは?
少なくとも、一緒に練習を重ね、演じている仲間は「いいなぁ」と
思ってくれています。そして、自分自身でも、「好き」です。
仲間うちで、ワイワイ、喧々諤々を楽しみながら、矛盾点を直され、
ぶつかりあう時もあり、私の主張を一蹴されるときもあります。
なので、完成したものは、私の原案から随分成長を遂げています。
後世に残って輝いてくれ!とは思っていません。
でも、今かかわってくれているメンバーと、それを観てくれた人達には、
「あ~、観て良かった。音楽も動きも綺麗だった」と思って貰えるよう、
日々練習を重ねています。