

P.213 認知症者の見取りをする人の役割は、がん末期の患者の場合と違い、
本人の希望や必要とするものを代理することである。
といっても、オランダの法律では、安楽死や性転換などの重大な
生きることの本質に関することは、その代理行為を禁止している。
現在、認知症の終末期がいかにすさまじいものかについて、
オランダ看取り協会などが普及啓発運動を行っており、
プロの訓練と技術の必要性を強調している。
患者は、話す昨日を完全に失い、尿失禁になり、筋肉が硬直し、
歩くことができなくなる。場合によっては、この状態が数ヶ月から
数年にわたって、ゆっくりと忍び寄るようにひそやかに悪化していく……
そこで、プロの教育訓練を受けた家族・パートナー・ボランティアの人たちが、
オランダ社会で大きな役割を果たしている。
ここでオランダの「安楽死事情」について私が書いたものを読まれるよりは、
読者の方々が直接、この本を読んで欲しいと思います。
私のメモとしては、<忘れちゃいけないことだけ>の抜書きです。
P.218 安楽死と尊厳死は表現の違いのみ
自分の人生を自分の手で終わらせる自殺行為を手助けするのが自殺幇助行為である。
ホームドクターなどの専門医によって、死に至る薬を本人に直接注射する
積極的安楽死は、厳しい法律とガイドラインに則って行われる。
これらの行為は、その後に行われる厳しい審査によって、自殺幇助や
積極的安楽死が「法律の定めた通りに行われた」と認められた場合のみ、
合法とされる。
ま、簡単には結論を出せない、重たいテーマですが、以下は著者からの重要な提案です。
P.231 今、日本社会に必要なのは、法律家も、評論家も、すべての人が
基本的に自分の頭で物事を考えることである。
自分で責任をもてる行動をとることと、
柔軟性のある単純明朗な頭づくりにある。