仏法の先輩の、U・F子さんから借りた一冊です。
昨年、東洋大学の公開講座で、ドナルド・キーンさんのお話をお聴きしました。
そのことをU・F子さんにお話したところ、「是非お読みください」と届けてくれました。
U・F子さんは、瀬戸内寂聴さんのお知り合いの由。
本書は、瀬戸内さんから直接に郵送されたそうです。
本書からの【落穂拾い】をお届けします。
ドナルド・キーンさんの言葉。
海外へ紹介すべき日本の文化と言えば、私はまず日本の仏教のことを思います。
私も決して詳しいわけではありませんが、今の日本人の多くはあまり仏教とは縁のない生活のようですね。
お葬式の世話をを頼む程度でしょうか。
しかし、いざというときには、もともと日本人の中にある仏教への思いが出てくるような気もします。
戦時中、私は日本の捕虜の取り調べを担当していましたが、その日本兵たちが、
南太平洋の島で食べ物水もない状況の中で救いを求めたのは、お釈迦様でしょう。
仏の教えをよりどころにしていたのだと。
今の人たちの関心が薄れているとはいえ、日本の場合、仏教の影響の大きさは無視できないことです。
伝統的な美術、音楽、演劇においても、仏教は中心的なものですし、お能を見ても、ほとんどの演目のワキ役はお坊さんです。
そして日本人の精神の支柱には仏教がある。
それなのに、日本の仏教はこういうものだと紹介することがないため、
海外ではほとんど知られていません。
仏教もカウンセリングも、人間学・人間道であります。
教育もカウンセリングも、仏教の裏打ちの大切さを、先師・五十嵐正美先生が教えてくれたことです。
カウンセリング研究会【くりのみ】では、そのことを大事にしながら学びあっています。