もう少し選挙結果の話。各党の党勢を比例区票で見ておきたい。その前に投票率の問題がある。今回は2005年の衆議院選挙(郵政解散)以後の衆参両院選挙を主に検討の対象とする。まずはどのくらいの人が選挙に行っているのか、時系列的に。衆院選は赤、参院選は青で示す。
2005年衆院選(小泉首相) 67.51% 67,811,069票
2007年参院選(安倍首相) 58.64% 58,913,700票
2009年衆院選(麻生首相) 69.28% 70,370,255票
2010年参院選(菅首相) 57.92% 58,453,432票
2012年衆院選(野田首相) 59.32% 60,179,888票
2013年参院選(安倍首相) 52.61% 53,229,614票
2014年衆院選(安倍首相) 52.66% 53,334,447票
この数字を見て気付くことは、05年、09年の投票率が近年になく高かったことだ。もっとも1990年に行われた海部内閣時の総選挙は73.31%で、それ以前は何回かの例外は除き70%台は行っていた。ところが、1990年を最後にすべての国政選挙が7割以下なのである。この理由は、単に一回の選挙の問題ではなく、もっと大きな社会の変化が投票率低下をもたらしていることを示していると思う。(例えば、高齢化社会の到来や地域共同体の崩壊。)
09年に投票した人は約7千万票だが、今回は約5千3百万票。1700万票が消えた。しかし、最近の参院選はほとんどが、5割台。特に2013年参院選と今回の衆院選は、ほぼ同じである。これは「安倍首相を特に評価する人、全く評価しない人、とにかく選挙には行く人」の数が、13年7月の参院選と同じ数だということか。そう考えると、「今回の選挙は参院選だった」と言うべきかもしれない。選挙区が広く、政権選択ではない参院選は投票率が低くなる。今回は「政権選択が不可能だった」うえに、選挙までの期間が短く「候補者の周知が難しい」(実質的に「選挙区が広い」と同じ効果)という選挙だった。それは参院選の特徴を備えた衆院選だったということである。
さて、各党の比例区の当選者数を見ておく。
自民=68、民主=35、維新=30、公明=26、共産=20、社民=1
与党合計は94議席で、過半数を超えている。(比例区は全180だから、過半数は91となる。)
★12年総選挙を見ておくと、
自民=57、維新=40、民主=30、公明=22、みんな=14、共産=8、未来=7、社民=1、大地=1
★09年総選挙を見てみると、
民主=87、自民=55、公明=21、共産=9、社民=4、みんな=3、大地=1
もし、完全比例代表制だったら、前回は自公政権は誕生しなかった。民主か、または維新・みんなのどちらかと組むことが必要だった。前回は「維新」が第2党だった。今回は民主党が第2党に戻った。まだ09年からすると、半数にも回復していないが。「維新」と「みんな」は前回すみわけ、共同推薦をしたから、合計して54議席と考えると、今回はやはり維新は「大幅減」と見るべき。共産党は、確かにこの3回だけを見ると「大幅増」であるが、00年は21議席、96年は24議席を獲得していた。ただし、96年の比例区は200議席だったが。そうすると、現行の180議席になってからの最大は、2000年の21議席である。(今回は沖縄の小選挙区で当選したので、合計は21議席で並ぶことになるが、比例だけでは20議席。)03年から減り始めたのは、反自民票が民主に流れるようになったからだと思うが、民主の失墜、未来の解党、社民の低迷とあれば、「混り気なしの反安倍票」は共産党に入れることになるのだろう。
社民党は1議席を九州ブロックで維持した。これは主に沖縄で自民に次ぐ第2党であること、村山元首相の出身地である大分で、第4党(自民、民主、公明に次ぐ)で7万票近く取っていることが大きい。しかし、他の党はどこの地区でも議席を獲得できなかった。生活の党は東北で4.72%、次世代の党は東京で4.39%を得ているが、それが最大。社民党は九州で5.26%。全21議席の中でひとつを死守したわけである。この程度は取らなければ当選しないが、ほとんどは2%台。それでは落選である。20議席程度を比例配分することを考えると、小党には厳しい。そうすると、次世代の党は、その極右的イデオロギーが忌避されたというより、小さくて当選しそうもないから投票の対象にならなかったというべきか。社民党、生活の党も似たような感じで、要するに主義主張、人脈のうえで「純化主義」を取ると、今は議席を減らすという現実である。
ということで、主要政党の比例での獲得票数を時系列で紹介しておきたい。千票単位四捨五入。
05衆院選→07参院選→09衆院選→10参院選→12衆院選→13参院選→14衆院選の順番
★自由民主党
2589万→1654万→1881万→1407万→1662万→1846万→1766万
★民主党
2100万→2326万→2984万→1845万→963万→713万→976万
★公明党
899万→777万→805万→764万→712万→757万→731万
★日本共産党
492万→516万→494万→426万→369万→515万→606万
★「日本維新の会」 12年衆=1226万→13年参=636万
★「みんなの党」 09年衆=301万→10年参=794万→12年衆=525万→13年参=476万
★「維新の党」 14年衆=838万
★社会民主党
372万→263万→301万→224万→142万→126万→131万
2005年衆院選(小泉首相) 67.51% 67,811,069票
2007年参院選(安倍首相) 58.64% 58,913,700票
2009年衆院選(麻生首相) 69.28% 70,370,255票
2010年参院選(菅首相) 57.92% 58,453,432票
2012年衆院選(野田首相) 59.32% 60,179,888票
2013年参院選(安倍首相) 52.61% 53,229,614票
2014年衆院選(安倍首相) 52.66% 53,334,447票
この数字を見て気付くことは、05年、09年の投票率が近年になく高かったことだ。もっとも1990年に行われた海部内閣時の総選挙は73.31%で、それ以前は何回かの例外は除き70%台は行っていた。ところが、1990年を最後にすべての国政選挙が7割以下なのである。この理由は、単に一回の選挙の問題ではなく、もっと大きな社会の変化が投票率低下をもたらしていることを示していると思う。(例えば、高齢化社会の到来や地域共同体の崩壊。)
09年に投票した人は約7千万票だが、今回は約5千3百万票。1700万票が消えた。しかし、最近の参院選はほとんどが、5割台。特に2013年参院選と今回の衆院選は、ほぼ同じである。これは「安倍首相を特に評価する人、全く評価しない人、とにかく選挙には行く人」の数が、13年7月の参院選と同じ数だということか。そう考えると、「今回の選挙は参院選だった」と言うべきかもしれない。選挙区が広く、政権選択ではない参院選は投票率が低くなる。今回は「政権選択が不可能だった」うえに、選挙までの期間が短く「候補者の周知が難しい」(実質的に「選挙区が広い」と同じ効果)という選挙だった。それは参院選の特徴を備えた衆院選だったということである。
さて、各党の比例区の当選者数を見ておく。
自民=68、民主=35、維新=30、公明=26、共産=20、社民=1
与党合計は94議席で、過半数を超えている。(比例区は全180だから、過半数は91となる。)
★12年総選挙を見ておくと、
自民=57、維新=40、民主=30、公明=22、みんな=14、共産=8、未来=7、社民=1、大地=1
★09年総選挙を見てみると、
民主=87、自民=55、公明=21、共産=9、社民=4、みんな=3、大地=1
もし、完全比例代表制だったら、前回は自公政権は誕生しなかった。民主か、または維新・みんなのどちらかと組むことが必要だった。前回は「維新」が第2党だった。今回は民主党が第2党に戻った。まだ09年からすると、半数にも回復していないが。「維新」と「みんな」は前回すみわけ、共同推薦をしたから、合計して54議席と考えると、今回はやはり維新は「大幅減」と見るべき。共産党は、確かにこの3回だけを見ると「大幅増」であるが、00年は21議席、96年は24議席を獲得していた。ただし、96年の比例区は200議席だったが。そうすると、現行の180議席になってからの最大は、2000年の21議席である。(今回は沖縄の小選挙区で当選したので、合計は21議席で並ぶことになるが、比例だけでは20議席。)03年から減り始めたのは、反自民票が民主に流れるようになったからだと思うが、民主の失墜、未来の解党、社民の低迷とあれば、「混り気なしの反安倍票」は共産党に入れることになるのだろう。
社民党は1議席を九州ブロックで維持した。これは主に沖縄で自民に次ぐ第2党であること、村山元首相の出身地である大分で、第4党(自民、民主、公明に次ぐ)で7万票近く取っていることが大きい。しかし、他の党はどこの地区でも議席を獲得できなかった。生活の党は東北で4.72%、次世代の党は東京で4.39%を得ているが、それが最大。社民党は九州で5.26%。全21議席の中でひとつを死守したわけである。この程度は取らなければ当選しないが、ほとんどは2%台。それでは落選である。20議席程度を比例配分することを考えると、小党には厳しい。そうすると、次世代の党は、その極右的イデオロギーが忌避されたというより、小さくて当選しそうもないから投票の対象にならなかったというべきか。社民党、生活の党も似たような感じで、要するに主義主張、人脈のうえで「純化主義」を取ると、今は議席を減らすという現実である。
ということで、主要政党の比例での獲得票数を時系列で紹介しておきたい。千票単位四捨五入。
05衆院選→07参院選→09衆院選→10参院選→12衆院選→13参院選→14衆院選の順番
★自由民主党
2589万→1654万→1881万→1407万→1662万→1846万→1766万
★民主党
2100万→2326万→2984万→1845万→963万→713万→976万
★公明党
899万→777万→805万→764万→712万→757万→731万
★日本共産党
492万→516万→494万→426万→369万→515万→606万
★「日本維新の会」 12年衆=1226万→13年参=636万
★「みんなの党」 09年衆=301万→10年参=794万→12年衆=525万→13年参=476万
★「維新の党」 14年衆=838万
★社会民主党
372万→263万→301万→224万→142万→126万→131万