2014年12月14日に行われた衆議院選挙では、2回連続で、自民・公明の連立与党が3分の2の議席を獲得した。しかし、それは事前の予測通りであり、また「選挙前と同じ」である。違ったのは「次世代の党」がほぼ消え去り、共産党が20議席以上を獲得したことである。そうすると、「国会議員の政策位置図」の平均値は「少し左に寄った」はずだけど、誰もそう思っている人はいないだろう。
今回の衆院選の結果をみると、自民党が291議席(追加公認を含む)、公明党が35議席である。合計326議席。議席総数は475だから、議席占有率は68.6%。(自民が、61.26%、公明が7.37%。)前回総選挙では、自民党が294議席(61.25%)、公明党が31議席(6.46%)。合計の与党占有率は67.7%だった。まあ、自民の議席は少し減っているのだが、定数が5議席削減されたことを考えると、議席率ではほぼ変わらない。公明党が増えた分、与党総数は若干増えた。
こうしてみると、自民党に関しては同じように見えるのだが、細かく見ると少し違う。一つは小選挙区と比例代表区の違いであり、もう一つは地域ごとの違いである。小選挙区では前回は自民が237議席を獲得したが、今回は追加公認を入れて223議席。14議席を減らした。一方、比例区は前回の57議席を68議席に増やした。
もっとも、自民党の比例区議席は思ったより少ない。事前予想では、自民単独で300議席を超えるという予想がなされていた。12.11の朝日新聞では議席の推計を載せているが、それによれば、自民の小選挙区は「220~229~236」で、比例区は「70~76~82」となっている。中心の数字が最も多そうな数で、左右に下限~上限が示されている。合計すると「290~305~318」となる。これを見る限り、小選挙区は下限に近く、比例区は下限よりも少ない。合計でも「下限」の議席数だった。(福岡1区の追加公認は、事前予想には入っていないので。)これをどのように考えればいいのだろうか。
ひとつの考えは、「有権者のバランス感覚」が働き、自民の比例票が他党に流れたと考えるものである。しかし、そう考えるよりも、日本海側の大雪で大量の棄権があったことが最大の原因ではないだろうか。青森、宮城、富山、石川、徳島、愛媛、福岡、宮崎の各県で、今回は投票率が5割を割っている。これらの県では、激戦区がないでもないが、多くは「強い自民対弱い野党」の小選挙区がほとんどだった。「消極的自民支持層」が少しぐらい棄権しても、小選挙区の動向は変わらないと予測できるし、実際「低投票率による番狂わせ」は、どこでも起こっていない。だから、比例区の票は自分が行かないと減るわけだが、まあ小選挙区で自民は勝つだろうから、いいやと思った人がいたのではないか。それが自民の比例票を予想より減らしたのではないかと思う。
一方、地域的に見てみると、小選挙区では沖縄で全滅、愛知県で15選挙区中7区で敗れた。大阪ではもともと公明が4議席を持っているため、全19区の結果は、自民=9、維新=5、公明=4、民主=1となった。前回は維新が12議席を取り、自民は3選挙区しか勝てなかった。それを思えばずいぶん回復したわけだが、維新は全滅しかねないという情勢報道もあったわりには「健闘」したというべきかもしれない。北海道は、前回民主が全滅したが、今回は3選挙区で民主党が取り戻した。それでも自民が強いのだが、民主の票を見るとずいぶん回復している。
比例区では、前回と比較して減ったところはどこにもないのだが、前回と同じが北海道(3)と東北(5)と中国(5)。二つ増えたのが、北関東(8)、南関東(8)、近畿(9)で、残りの東京(6)、北陸信越(5)、東海(8)、四国(3)、九州(8)となる。こうしてみると、今まで民主党が強かった東日本の中でも、関東地方で全く自民に歯が立たない状態になっている。それを象徴するのが、東京で民主党の海江田代表、菅元首相が小選挙区で思った以上の票差で負けたことである。前回勝った長嶋昭久も小差で負けて、結局野党は長妻明、柿沢未途しか勝っていない。勝敗もあるが、「惜敗率」が低く全然「惜敗」ではない候補が多い。これはどうしてだろうか。
今まで、自民党には「高齢・世襲」といった政治家が多かった。それが05年、09年と二度の選挙を経て、すっかり若返ったのである。民主党は昔は若手という印象だったが、数回の選挙を経ているうちに自民の方が若手になってしまった。それとともに、大企業が多く、東京五輪効果もあり、経済政策で自民を支持する人が多くなった。昔は「無党派リベラル」層が都市近郊に大量に存在したわけだが、今ではそれらの人々も高齢化、保守化し、その子どもたちも昔と違い新宿、渋谷、原宿に出かけるより、地元で遊べばいいという風になった。要するに世の中全体の「保守化」で、自民党に対する忌避感が薄れているのではないか。そのため東京でも自民党が圧倒的な多数派になりつつあるということだと思う。(ちなみに、自民の若手を見てみると、東京1区=山田美樹(40歳、女性)、2区=辻清人(35歳)、19区=松本洋平(41歳)、20区=木原誠二(44歳)、23区=小倉将信(33歳)…といった具合である。これは神奈川や埼玉などでも同様の傾向を見て取れる。)
こうしてみると、今回特に自民党が激増したわけではなく、むしろ地方では「アベノミクス反対」の機運もあると思うが、首都圏などでは自民党支持が増えている。というか、棄権が多かったので、絶対数で増えたとは言えないだろうが、反自民票が減っているということなのだろう。「特定秘密保護法」や「集団的自衛権の限定的容認」などの問題で一端は支持率が下がったこともあるが、いつの間にか元に戻ってしまった。選挙後の今は「謙虚に」などと言っているが、もちろんこれまでの経過や今度の低投票率を見てみると、いずれ「大胆な政策」に打って出ると思われる。その時に「反自民」、「反安倍」という票はよみがえってくるのだろうか。どうも期待薄だと思うのだが、それでも期待を捨てずにいたいとは思う。沖縄で起こったようなことを全国各地で起こせる日が来ないとは限らないし、そうできるようにしないといけない。
今回の衆院選の結果をみると、自民党が291議席(追加公認を含む)、公明党が35議席である。合計326議席。議席総数は475だから、議席占有率は68.6%。(自民が、61.26%、公明が7.37%。)前回総選挙では、自民党が294議席(61.25%)、公明党が31議席(6.46%)。合計の与党占有率は67.7%だった。まあ、自民の議席は少し減っているのだが、定数が5議席削減されたことを考えると、議席率ではほぼ変わらない。公明党が増えた分、与党総数は若干増えた。
こうしてみると、自民党に関しては同じように見えるのだが、細かく見ると少し違う。一つは小選挙区と比例代表区の違いであり、もう一つは地域ごとの違いである。小選挙区では前回は自民が237議席を獲得したが、今回は追加公認を入れて223議席。14議席を減らした。一方、比例区は前回の57議席を68議席に増やした。
もっとも、自民党の比例区議席は思ったより少ない。事前予想では、自民単独で300議席を超えるという予想がなされていた。12.11の朝日新聞では議席の推計を載せているが、それによれば、自民の小選挙区は「220~229~236」で、比例区は「70~76~82」となっている。中心の数字が最も多そうな数で、左右に下限~上限が示されている。合計すると「290~305~318」となる。これを見る限り、小選挙区は下限に近く、比例区は下限よりも少ない。合計でも「下限」の議席数だった。(福岡1区の追加公認は、事前予想には入っていないので。)これをどのように考えればいいのだろうか。
ひとつの考えは、「有権者のバランス感覚」が働き、自民の比例票が他党に流れたと考えるものである。しかし、そう考えるよりも、日本海側の大雪で大量の棄権があったことが最大の原因ではないだろうか。青森、宮城、富山、石川、徳島、愛媛、福岡、宮崎の各県で、今回は投票率が5割を割っている。これらの県では、激戦区がないでもないが、多くは「強い自民対弱い野党」の小選挙区がほとんどだった。「消極的自民支持層」が少しぐらい棄権しても、小選挙区の動向は変わらないと予測できるし、実際「低投票率による番狂わせ」は、どこでも起こっていない。だから、比例区の票は自分が行かないと減るわけだが、まあ小選挙区で自民は勝つだろうから、いいやと思った人がいたのではないか。それが自民の比例票を予想より減らしたのではないかと思う。
一方、地域的に見てみると、小選挙区では沖縄で全滅、愛知県で15選挙区中7区で敗れた。大阪ではもともと公明が4議席を持っているため、全19区の結果は、自民=9、維新=5、公明=4、民主=1となった。前回は維新が12議席を取り、自民は3選挙区しか勝てなかった。それを思えばずいぶん回復したわけだが、維新は全滅しかねないという情勢報道もあったわりには「健闘」したというべきかもしれない。北海道は、前回民主が全滅したが、今回は3選挙区で民主党が取り戻した。それでも自民が強いのだが、民主の票を見るとずいぶん回復している。
比例区では、前回と比較して減ったところはどこにもないのだが、前回と同じが北海道(3)と東北(5)と中国(5)。二つ増えたのが、北関東(8)、南関東(8)、近畿(9)で、残りの東京(6)、北陸信越(5)、東海(8)、四国(3)、九州(8)となる。こうしてみると、今まで民主党が強かった東日本の中でも、関東地方で全く自民に歯が立たない状態になっている。それを象徴するのが、東京で民主党の海江田代表、菅元首相が小選挙区で思った以上の票差で負けたことである。前回勝った長嶋昭久も小差で負けて、結局野党は長妻明、柿沢未途しか勝っていない。勝敗もあるが、「惜敗率」が低く全然「惜敗」ではない候補が多い。これはどうしてだろうか。
今まで、自民党には「高齢・世襲」といった政治家が多かった。それが05年、09年と二度の選挙を経て、すっかり若返ったのである。民主党は昔は若手という印象だったが、数回の選挙を経ているうちに自民の方が若手になってしまった。それとともに、大企業が多く、東京五輪効果もあり、経済政策で自民を支持する人が多くなった。昔は「無党派リベラル」層が都市近郊に大量に存在したわけだが、今ではそれらの人々も高齢化、保守化し、その子どもたちも昔と違い新宿、渋谷、原宿に出かけるより、地元で遊べばいいという風になった。要するに世の中全体の「保守化」で、自民党に対する忌避感が薄れているのではないか。そのため東京でも自民党が圧倒的な多数派になりつつあるということだと思う。(ちなみに、自民の若手を見てみると、東京1区=山田美樹(40歳、女性)、2区=辻清人(35歳)、19区=松本洋平(41歳)、20区=木原誠二(44歳)、23区=小倉将信(33歳)…といった具合である。これは神奈川や埼玉などでも同様の傾向を見て取れる。)
こうしてみると、今回特に自民党が激増したわけではなく、むしろ地方では「アベノミクス反対」の機運もあると思うが、首都圏などでは自民党支持が増えている。というか、棄権が多かったので、絶対数で増えたとは言えないだろうが、反自民票が減っているということなのだろう。「特定秘密保護法」や「集団的自衛権の限定的容認」などの問題で一端は支持率が下がったこともあるが、いつの間にか元に戻ってしまった。選挙後の今は「謙虚に」などと言っているが、もちろんこれまでの経過や今度の低投票率を見てみると、いずれ「大胆な政策」に打って出ると思われる。その時に「反自民」、「反安倍」という票はよみがえってくるのだろうか。どうも期待薄だと思うのだが、それでも期待を捨てずにいたいとは思う。沖縄で起こったようなことを全国各地で起こせる日が来ないとは限らないし、そうできるようにしないといけない。