尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「TKB48」を知ってますか?ーより良い避難生活を目指して

2024年05月03日 20時50分35秒 | 社会(世の中の出来事)
 2024年は能登半島地震で年が明けたが、その後も台湾地震など大きな地震が起こった。四国(愛媛県南部)でも初めて震度6弱を記録する地震が起きた(4月17日)。死者が出なかったのは幸いだが、その分「激甚災害」の指定はない見込みで、被害があった人は自費で修理しないといけないから大変だという。激甚災害とは「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」により、大規模災害には国庫補助率のかさ上げや国による特別の貸し付けなどが行われる制度である。

 能登半島地震から4ヶ月経ったが、未だ避難所生活を送っている人が相当いる。水道の復旧が特に遅れていると言われる。それに当初の避難所生活は、トイレや食事が大変だったという話がよく聞かれた。「半島部」は交通が不便で、日本は地理的に離島、山間部、半島が多く、ある意味災害時は「そんなもの」で皆でガマンするべきものだと思い込んでいるかもしれない。
(TKBとは)
 ところが最近「TKB48」という言葉を聞いてビックリした。どうしても最初はどこかのアイドルグループかなと思ってしまう。あてはまる町の名前が思いつかないが、JKT48(ジャカルタ)なんてのもあるから、海外の町なのかなと思ったり…。だけど、これはトイレキッチンベッドの略なのである。災害地にトイレ、キッチン、ベッドを48時間以内に整備しようという目標である。それは行政頼りでは出来ない。もともと準備されていて、いざというときはヴォランティアが活動するのである。

 英語だからアメリカ発祥かと思うと、どうやらイタリアから始まったらしい。イタリアも地震大国で、大きな地震が何度もあったのを僕も記憶している。最初の避難所立ち上げは、市民がヴォランティア的に行うものとなっていて、行政が大々的な支援を行えるようになる前に一定の市民生活を送れるようにするのである。それは「災害時であっても、市民が普段営んでいる生活を保障する」という市民社会保護の考え方だという。
(災害時の高齢者向け介護施設)
 僕は聞いたことがなかったけど、日本でも多くの施設などでこの理念が広がりつつあるようだ。日本では二次避難、あるいは仮設住宅が出来るまで、雑魚寝したりするのが当然視されていないか。温かくないままの食事が続いても、あるだけありがたいと思ってないか。特にトイレが困ったという話をよく聞くが、それを「人権」の問題として意識しているだろうか。こう考えていくと、日本の避難生活が全く世界基準に達していないことが理解出来る。

 TKB48という言葉をもっともっと広める必要がある。知らない人も多いと思うから、是非広めていきたい。僕も最近聞いたばかりだが、福祉や行政の現場では知られているのかもしれない。だけど、一般的にはまだ知らない人の方が多いと思う。AKB48に似ているから、一度聞いたら忘れないだろう。もちろん言葉を知ることが目的ではなく、いざという時に自分も出来る範囲でヴォランティア的に避難所運営に関わるという気持ちが大切だと思う。仮設住宅を作るのは一市民では無理だが、避難所をすぐに作って運営するのは可能である。もちろん誰でも安心できるベッドやトイレが絶対に必要だ。

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