尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「秘境」男性トイレのヒミツ①

2024年01月15日 22時30分51秒 | 社会(世の中の出来事)
 映画『PERFECT DAYS』を見たし、「道の駅」についても書いた。「トイレ」についてまとまって考える機会は少ないから、前からいつか書きたかったテーマを取り上げてみたい。それは「男性トイレ問題」である。そんなもんは読みたくないという人もいるかもしれない。でももちろん「トイレ」は人生の大問題だし、特に出先では大きな悩みでもある。

 さて、世の中の半分は男で、もう半分は女だ。今はこう書くと批判されるだろう。もちろん今では性差にもグラデ-ションがあり、両性の特徴を合わせ持つ人もいることは常識だ。性自認が生まれた性と違う人も多い。そのような人が男女どちらのトイレを使うべきかは、社会問題になっている。そして男女を問わず、普通のトイレは健常者仕様だから障害者には使いにくい。

 そういう問題が存在することは知っているが、今書きたいのはそういうことではない。つまり、生まれた時から「男性用トイレを使うとされてきた人」と「女性用トイレを使うとされてきた人」と、人は大きく分ければ2種類になる。僕はいろんな所へ行ったことがあるが、東京でも行ったことがないところがまだ無数にある。それでも映画館や劇場ならずいぶん多く行ってると思う。だけど、トイレに限って言えば、多くの映画館や劇場の男性トイレしか知らない。まあ、当然のことだが。

 そして、それは逆も言えるから、世の中の半分を占める女性は各種施設の男性トイレに入ったことがないだろう。上野動物園とか東京タワーとか、まあ一回ぐらいは行ったことがある人が多いと思う。だけど、トイレに関しては自分の性とは違うトイレには入れない。世の中の半数の人が行けないんだから、そこはもう片方の性にとっては「秘境」と言ってもいいだろう。

 ところで、僕は学校に勤務してきたから、男女双方のトイレを知っている。トイレ掃除見回りなどがあるのである。そこでは両方のトイレに入る必要がある。夜間定時制の場合など、夜9時過ぎに誰もいないトイレを見回るのである。まあ、誰かいたら怖いけど。しかし、時には女子トイレに吸い殻が落ちていることもあるから、見回りが必須なのである。(この見回りがない学校はないはずだが、映画『台風クラブ』では台風が来るからと教員が生徒を置いて帰っちゃう。あり得ないと思う。)

 だから自分にとっては男性トイレも女性トイレも秘境でもないし、ヒミツもない。だけど、トイレ問題はあまり書かれてないと思う。まあ、書きたくもないし、読みたくもないテーマかもしれない。だけどまあ、ちょっと問題提起しておきたいのだ。まず、男性トイレは「小」用が幾つか並び、「大」用の個室が幾つかある。そのぐらいは女性でも知ってるだろう。具体的には下記の画像のような感じ。凄くキレイなのは、これが使用前のモデルハウス(みたいなもの)だからである。
(男性用トイレのモデル)
 「道の駅」なんかは大体こんな感じだけど、多くの劇場や駅の男性用トイレには「大」がこんなにはない。劇場などでは(お芝居の幕間などで)女性用トイレにズラッと並んでいることがある。そもそも観客に女性が多いのだろう。男の場合は「小」は割合スムーズに進む(ズボンを下ろさないんだから)ので、そこまで混んでない。だけど、それが「大」の場合はかなり大変である。

 「大」の数が少ないのである。だから僕は東京のいろんな駅、映画館や劇場などが多くある新宿、渋谷、池袋…なんかでは、トイレに行きたい時どこへ行けば良いか、頭の中にリストが出来ている。もちろん目的の施設までガマンすれば、そこに一番キレイなトイレがある場合はそれでいいんだけど、実は必ずしもそうじゃない。古い劇場や小さな映画館などはまだシャワートイレ(INAX)やウォシュレット(TOTO)になってないところが結構あるのだ。

 それでも今はずいぶんキレイになったから、駅でも使えるところが多い。むしろ駅や駅ビルに一番キレイで広いトイレがあることも多い。昔はそうじゃなかった。下記画像のように「小」トイレが汚かったのである。男性用小便器を俗に「アサガオ」と呼んでいるが、今はそこに「自動的に水が流れます」なんて貼ってある。昔は当然そんなことはなかったから、「尿石」がたまっていくのである。そうすると黄色く変色してしまう。
(尿石のついたトイレ)
 場末の映画館なんかでは、そういうトイレが多かった。そこにはアンモニア臭と消毒液の臭いが立ちこめ、時には客席まで漂ってきた。施設内はまだ良くて、街の公衆トイレなどはもっと汚れていた。清水邦夫の戯曲『僕らが非情の大河を下るとき』なんかに出て来る通りである。だがさすがに、日本の場合は公衆トイレで薬物(麻薬や覚醒剤)の密売が行われていることはまずなかった。

 そんな大昔の汚れたトイレこそ、わが汚辱と栄光の青春の象徴だ、なんて言い張るつもりは全くない。昔もヤダなあと思っていたし、あまり汚れているような所は敬遠していた。渋谷区ほど美しいトイレにするべきかどうか、自分には定見はないけれど、日本社会が世界に冠たるキレイなトイレを実現していることは素晴らしいと思う。だが、それを使う側の問題はどうなっているだろうか。実は大問題があるのだ、というところで次回に続く。
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