温泉の話4回目。「美人の湯」と言われる温泉がある。「日本三大美人の湯」も選ばれているけど、知っているだろうか。しかし、その前に疑問もあるだろう。そもそも温泉に入るだけで美人になるなんてあるのか。もちろん、温泉へ行っただけで「美人」になるわけがない。でもお湯に浸かった瞬間に「おっ、肌がスベスベになったぞ」と声をあげたくなる温泉は間違いなくある。
検索してみると、泉質的には「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」が主に「美人の湯」と言われるらしい。さらに「アルカリ性単純温泉」を加えて、「四大美人泉質」なんだそうだ。炭酸水素塩泉はクレンジング効果を持つとされ、硫酸塩泉では肌の蘇生効果が期待、硫黄泉はシミの予防効果があると出ている。
アルカリ性温泉の場合は肌がスベスベになった気がする。「アルカリ性」とは水溶液中の水素イオン濃度が高いことで、アルカリ水溶液は石けんのようにヌルヌルする。脂肪やタンパク質を分解する。水素イオン濃度をPHで表わし、PH7が中性、数値が高くなるほど水素イオン濃度が高くなる。中にはPH10を超えてPH11にもなる温泉もある。石けん水やアンモニア水並みで、そこまで行くとヌルヌルし過ぎの感じがする。そんなアルカリ性水溶液にどっぷりと身を漬けるわけだから、一浴すれば美肌効果を期待できそうだ。
さて、元に戻って「日本三大美人の湯」とは、和歌山県の龍神温泉、群馬県の川中温泉、島根県の湯の川温泉である。多くの人は名前を知らないだろう。龍神温泉は温泉ファン、あるいは文学ファンには知られているが、他の二つは相当の温泉通でも行ってない人が多いと思う。僕も湯の川温泉には行ってない。函館にも同名の温泉があって、そっちなら行ってるけど。島根の湯の川温泉は宍道湖の西南部、出雲空港のすぐ近くに数軒の宿があるという。
龍神(りゅうじん)温泉は僕が温泉好きになった場所だ。新婚旅行で行ったのである。学期途中だったので、あまり休めず国内で南紀地方を回った。それまでも温泉に入っていたけど、家族旅行とか合宿などの場合である。伊豆の温泉や鬼怒川温泉などが多い。大体単純温泉だから、宿に付いてる大きなお風呂程度の認識しかなかった。若い時に京都や北海道、中国地方などへ行った時も、温泉宿に泊まろうという発想はなかった。
(龍神温泉の風景)
ところが龍神温泉は大違いだった。その前に泊まった川湯温泉も素晴らしかった。熊野本宮の近くで、川を掘ればお湯が出るというところである。時期的に川の大露天風呂は入れなかったけど、熊野自体がすごい霊気に満ちた場所だった。そして次の日が龍神温泉である。ここは中里介山のあの大長編小説「大菩薩峠」で、机龍之介が眼を治すために湯治した場所だ。長野県の白骨温泉と並んで、「大菩薩峠」を知ってる人なら一度は行きたい場所である。
龍神温泉には「上御殿」「下御殿」という紀州藩主向けに作られた宿があるが、旅行社に頼んだら「有軒屋」という宿になった。そこも雰囲気はあったけど、とにかくお風呂の泉質がすごい。入るとすぐに、体にまとわりつくような泉質に驚いた。確かにこれは「美人の湯」だと納得した。炭酸水素塩泉で、PH7.8。だから強アルカリ泉ではない。しかし、この程度の弱アルカリ泉の方が体に優しい感じがする。お湯を集中管理していると聞いたが、その後に出来た宿もあるようだし、日帰り施設「元湯」は源泉掛け流しだという。あの泉質の素晴らしさは行ってみないと判らない。
(龍神温泉元湯)
一方、群馬県の川中温泉の「かど半旅館」は首都圏でもあまり知られていない一軒宿の温泉。群馬と言ったら、草津、伊香保、四万、水上など有名温泉が綺羅星のごとく湧き出る温泉県である。その中で川中温泉の知名度は今ひとつだ。東吾妻町にある小さな宿で、草津などへ行く途中になる。そこにある年の冬に行こうと思った。寒いときには温泉だと思ったが、天気予報は雪。それでも何とか行きたいと思っていたが、朝起きたら首都圏全体が珍しいぐらいの大雪だった。高速道路も鉄道も完全に止まってしまって、とても行けない。何とか行きたいと前日に電話していたが、やむなく当日キャンセルとなった。残念。
(川中温泉かど半旅館)
それでは申し訳ないから、少しして改めて出掛けた。しかし、1回目の大雪があまりにも印象深くて、本当に行けたときの想い出が今ひとつなのは皮肉だ。硫黄泉、石膏泉で、PH7.4と出ている。弱アルカリ泉だが、かなり弱である。だから思ったよりヌルヌル感が低かった。上州名物のおっきりこみうどんが宿の自慢にもなっている。それを頂いて帰ってきた次第。群馬県では四万温泉が大好きすぎて、最近他の温泉に行かなくなってしまった。首都圏に住んでる人はコロナ禍が一段落したら、この関東にある「美人の湯」に行ってみては。
(川中温泉のお風呂)
検索してみると、泉質的には「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」が主に「美人の湯」と言われるらしい。さらに「アルカリ性単純温泉」を加えて、「四大美人泉質」なんだそうだ。炭酸水素塩泉はクレンジング効果を持つとされ、硫酸塩泉では肌の蘇生効果が期待、硫黄泉はシミの予防効果があると出ている。
アルカリ性温泉の場合は肌がスベスベになった気がする。「アルカリ性」とは水溶液中の水素イオン濃度が高いことで、アルカリ水溶液は石けんのようにヌルヌルする。脂肪やタンパク質を分解する。水素イオン濃度をPHで表わし、PH7が中性、数値が高くなるほど水素イオン濃度が高くなる。中にはPH10を超えてPH11にもなる温泉もある。石けん水やアンモニア水並みで、そこまで行くとヌルヌルし過ぎの感じがする。そんなアルカリ性水溶液にどっぷりと身を漬けるわけだから、一浴すれば美肌効果を期待できそうだ。
さて、元に戻って「日本三大美人の湯」とは、和歌山県の龍神温泉、群馬県の川中温泉、島根県の湯の川温泉である。多くの人は名前を知らないだろう。龍神温泉は温泉ファン、あるいは文学ファンには知られているが、他の二つは相当の温泉通でも行ってない人が多いと思う。僕も湯の川温泉には行ってない。函館にも同名の温泉があって、そっちなら行ってるけど。島根の湯の川温泉は宍道湖の西南部、出雲空港のすぐ近くに数軒の宿があるという。
龍神(りゅうじん)温泉は僕が温泉好きになった場所だ。新婚旅行で行ったのである。学期途中だったので、あまり休めず国内で南紀地方を回った。それまでも温泉に入っていたけど、家族旅行とか合宿などの場合である。伊豆の温泉や鬼怒川温泉などが多い。大体単純温泉だから、宿に付いてる大きなお風呂程度の認識しかなかった。若い時に京都や北海道、中国地方などへ行った時も、温泉宿に泊まろうという発想はなかった。
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ところが龍神温泉は大違いだった。その前に泊まった川湯温泉も素晴らしかった。熊野本宮の近くで、川を掘ればお湯が出るというところである。時期的に川の大露天風呂は入れなかったけど、熊野自体がすごい霊気に満ちた場所だった。そして次の日が龍神温泉である。ここは中里介山のあの大長編小説「大菩薩峠」で、机龍之介が眼を治すために湯治した場所だ。長野県の白骨温泉と並んで、「大菩薩峠」を知ってる人なら一度は行きたい場所である。
龍神温泉には「上御殿」「下御殿」という紀州藩主向けに作られた宿があるが、旅行社に頼んだら「有軒屋」という宿になった。そこも雰囲気はあったけど、とにかくお風呂の泉質がすごい。入るとすぐに、体にまとわりつくような泉質に驚いた。確かにこれは「美人の湯」だと納得した。炭酸水素塩泉で、PH7.8。だから強アルカリ泉ではない。しかし、この程度の弱アルカリ泉の方が体に優しい感じがする。お湯を集中管理していると聞いたが、その後に出来た宿もあるようだし、日帰り施設「元湯」は源泉掛け流しだという。あの泉質の素晴らしさは行ってみないと判らない。
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一方、群馬県の川中温泉の「かど半旅館」は首都圏でもあまり知られていない一軒宿の温泉。群馬と言ったら、草津、伊香保、四万、水上など有名温泉が綺羅星のごとく湧き出る温泉県である。その中で川中温泉の知名度は今ひとつだ。東吾妻町にある小さな宿で、草津などへ行く途中になる。そこにある年の冬に行こうと思った。寒いときには温泉だと思ったが、天気予報は雪。それでも何とか行きたいと思っていたが、朝起きたら首都圏全体が珍しいぐらいの大雪だった。高速道路も鉄道も完全に止まってしまって、とても行けない。何とか行きたいと前日に電話していたが、やむなく当日キャンセルとなった。残念。
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それでは申し訳ないから、少しして改めて出掛けた。しかし、1回目の大雪があまりにも印象深くて、本当に行けたときの想い出が今ひとつなのは皮肉だ。硫黄泉、石膏泉で、PH7.4と出ている。弱アルカリ泉だが、かなり弱である。だから思ったよりヌルヌル感が低かった。上州名物のおっきりこみうどんが宿の自慢にもなっている。それを頂いて帰ってきた次第。群馬県では四万温泉が大好きすぎて、最近他の温泉に行かなくなってしまった。首都圏に住んでる人はコロナ禍が一段落したら、この関東にある「美人の湯」に行ってみては。
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