もう何回くらい、親子3人で行ったかなあ。
あと何回くらい、親子3人で行きたいって言ってくれるのかなあ。
娘はネコのマリーちゃんがかわいいって言ってハンカチを買いましたが、私は断然「不思議の国のアリス」派。もうちょっとでトートバッグを買いそうになりました。
図書館で、「こどものとも」及び「~年中向き」、「~年少版」のバックナンバーを
たくさん借りてきました。風邪で学校を休んでいた娘のためでもあったのですが、
すこし前から、バックナンバーの入っているカゴがとても気になっていたんです。
「こどものとも」の正しい(?)楽しみ方は、定期購読し、毎月届く雑誌を楽しみに待つ、
だと思います。でも、書店で実物を見てからその号を買うかどうかを決める、という方も
いるだろうし、もう我が子が「こどものとも」を卒業していても、シリーズものの続きは
懐かしさのあまりに買ってしまう、あるいは、好きな絵本作家さんの作品だから、という
理由でどうしても買いたくなる、という私のような読者もいるだろうし‥。まあ、いろんな
楽しみ方があるわけですが。
今回、バックナンバーのカゴから発見した楽しみは、「え、この人が年少版と年中向き
でも作品を書いていたんだあ!!」です。
この人とは、大槻あかねさん。
何ヶ月か前の、海五郎さんの「わくわく本」で、『絵くんとことばくん』が紹介されて
いました。
この本は、福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ・181号」で、今は傑作集として
ハードカバーにもなっています。テキストは天野祐吉さん、絵が大槻あかねさん。
ここで初めて、大槻あかねさんのお名前を知ったのです。
おこづかいを値上げしてもらうため、お母さんにアピールしよう、と考えた優太。
その優太の頭の中で、絵を描く「絵くん」と文章を考える「ことばくん」が様々なポスターを
作り出すという、とてもおもしろい内容の絵本です。天野さんと言えば雑誌「広告批評」。
大槻さんは、その表紙を担当されていたこともあるようです。
その大槻あかねさんの、こどものとも年少版の作品は、2004年1月号(通巻322号)の
『けいとだま』。
表紙は、見ての通りのふわっふわっの赤い毛糸玉。見返しは、その毛糸の編目模様に
なっています。
最初の一文は けいとだまがありました
ページをめくると、左側にはそのけいとだま、右側にはけいとだまを「見上げている」線で
できてる「人」。言葉はひとこと あ
巨大なけいとだまの横で、その人は編物を始め、やがて長い、長いマフラーが出来上がりました。
さっそくまいてでかけます
果てしなく長いマフラーは、いったいどこまで続いているのでしょう‥。
白い画面に、赤い毛糸玉と墨黒の線で描かれた人。最後のほうにちょこっとだけ出てくる犬。
たったそれだけのシンプルな絵と、短いおはなしですが、最後のページにくると「え、
こんなにも!」と思ったり、「まさか、こんなこと!」と笑ったり‥。
一緒にこの絵本を読んでくれる(おもしろがってくれる)、小さな子が家にいないのが
残念でなりません。
もう1冊の大槻作品は、こどものとも年中向き2005年1月号(通巻226号)『あ』。
今度の「人」は、墨黒で描かれたのではなく、針金でできた「ワイヤーくん」
(私が勝手につけた仮名)です。自分で立って歩けるし、いろんなポーズも自由自在。
ちゃんと影だって持っています。
ある日ワイヤーくんが歩いていると、ビールジョッキに出会います。
あ
ちょっと首を傾けてじっとジョッキを見上げるワイヤーくん。
ハイ、ポーズで、左腕を曲げ、ジョッキくんに並びます。
次にワイヤーくん、ホーローの白いポットさんに出会います。
腕を広げて見上げたあとに、 ひょ
右手を腰に、左手のひらを上に向け、ポットさんと同じポーズで
並びます。
こんなふうに、ワイヤーくんがいろんなものに出会い、そのもののポーズを真似たり、
そのものと戯れたり(?)の絵本なんです。はじめからおわりまで、ワイヤーくんの出会いは、
発見の喜びと驚きに満ちていて‥これってなんかに似ている、どこかで見たことが
あるなあ、と思っていたら。
ワイヤーくんは、子どもそのもの、ですね。
干したばかりの布団が部屋の隅に置いてあれば、どかっと乗ってみる。公園に噴水が
あれば、手を伸ばしてその水に触りたがる。長い廊下を見ると、駆け出さずにはいられない。
テレビでおもしろい顔をしている人を見たら、とりあえず真似てみる。
さかさまのマヨネーズボトル、綿棒、ビニールテープ、白い手袋、本の間のしおり、
ふかふかの山型パン、耳かき、ひょうたんがたの七味入れ、蚊取り線香、ビールの泡、
ファスナー。
ワイヤーくんも、好奇心むき出しで、これらのものと遊んでいます。
折込ふろく「絵本のたのしみ」の作者のことばの中で、大槻あかねさんは、「ゆかいな
そのへん」と書いています。
あ
コップがあった
マネしてみた
テープがあった
おしてみた
(中略)
おフロがあった
あったかい
そのひと と コップ
そのひと と ひょうたん
わたし と スリッパ
わたし と おかあさん
わたし と おフロ
そのあいだにしかうまれない
おなじものはひとつもない
あ
きみがあった
大槻あかねさんに、もっと絵本を作ってもらたいって思います。