my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

のびやかなくうき

2006-08-01 14:51:01 | 好きな絵本

  
    『ユックリとジョジョニ』  荒井良二 作
 


 森に住んでいる男の子 なまえはユックリ。
 ユックリはアコーディオンを弾きながら、上手に歌をうたいます。
 町に住んでいるおさげ髪の女の子 なまえはジョジョニ。
 ジョジョニはダンスがとても得意です。

 二人の暮らす場所は正反対ですが、それぞれがとっても自分の居場所を楽しんでいることが、
ユックリの森の暮らしからも、町の広場で踊るジョジョニからも伝わってきます。だから、ページを繰る
私たちは、こんな森の中で、動物に音楽を聴いてもらいながら生活するのも悪くないなと思ったり‥。
こんなかわいい家が立ち並ぶ町で暮らしたいと思ったり‥するのではないかしら。

 軽く目を閉じたふたりの表情と、そのしなやかな体の動きを見ていると、「のびやか」という言葉が
浮かんできます。
 この本を開いていると、とっても気持ちがなごんでくるのは、ユックリとジョジョニが作り出した
のびやかな空気に、すっぽりと包まれてしまうからにちがいありません。

 
 
 先日書いた「イメージの森」の中の作品で、初版は1991年3月1日となっています。15年も前に、
荒井良二さんはこんな傑作を描いていらしたのですね。今さらながらに驚いています。
 K市の図書館で検索したら、この『ユックリとジョジョニ』が、文絵とも荒井作品の最初の絵本でした。
(それ以前にも作品はあると思いますが、図書館で借りることができるものでは、ですね)
 私が荒井さんの絵本を意識して手にとるようになってから、まだ1年とすこしですが、どの本が「ちょっと昔」で、
どの本が「わりと最近」の作品なのか、まるで気にしていなかったことに気が着きました。検索結果を
よく見てみると、『バスにのって』は1992年の出版で、『はっぴぃさん』は2003年なんですね。

 『ユックリとジョジョニ』の、のびやかさと素直さは、すこしも損なわれることなく、荒井良二さんの
いろんな作品の中に、変わらずに息づいているのだと思います。だから、どの「ちょっと昔」を手にしても
「わりと最近」を開いても、同じテイストの同じ心地よさを、味わうことができるのでしょう。

 荒井良二さんと、同じ頃に生きていて、【ほぼ】同世代で、よかったなあと思うこの頃です。
 

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする