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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

【アメリカの61の風景】にさそわれて・3

2009-12-10 15:17:04 | 好きな絵本
オクラホマ州の西端にパンハンドルというところがあります。
(オクラホマ州は、地図で見ると、テキサス州の上に、ちょうど大きな
鍋がのっかっているように見え、その鍋の持ち手のようだから、
パン・ハンドルという名前なんですねーおもしろい)

そこは、ノー・マンズ・ランド(誰のものでもない土地)と
ずっとよばれてきたところで、長田さんが、いつかどうしても訪ねたかった
場所の一つ、だったそうです。


  何もない。何もなかった。どこまでも広い空があり、
  その空の下に、どこまでも広がってゆく大草原があり、
  どこまでもつづく草の上を、風が遠くまで渡っていった。



風が遠くまで渡っていった、で思いだした絵本は、『ジルベルトとかぜ』でした。
 『ジルベルトとかぜ
 マリー・ホール・エッツ作  たなべいすず訳


表紙で、帽子をおさえているのがジルベルト。
見開きも、中のページも、カーキ色の紙で、そこに〈風〉が
白い線で描かれています。


家の中に居たジルベルトは、かぜが とぐちで よんでいる のを聞き、
風船を持って遊びに飛び出します。

どのページでも、〈風〉はジルベルトをからかってばかり。
風船を木のてっぺんに持っていったり、せんたくばさみをふっとばして
干してある服を着ようとしたり‥。

中ほどで、ジルベルトと〈風〉がかけっこをする場面があって。
そこを読むと、長田さんの、何もない。何もなかった、から始まる文章を
思いだします。

   のはらのくさが のびていると、かぜと ぼくとは かけっこだ。
   かぜは さっさと ひとはしり。もどって、ぼくを おいかける。
   でも いっつも かぜが かつんだ。

   なぜって、かぜは くさのうえを はしっていけるのに、ぼくは
   じめんをふんで くさをかきわけて いくんだもの。





アメリカの61の風景


この書名は、ヘンリー・ジェイムスの紀行『アメリカの風景(The American Scene)と、
ボブ・ディランのアルバム『ハイウェイ61再び(Highway 61 Revisited)』に
由っていると、あとがきに書いてありました。

  ヘンリー・ジェイムスは旅について、「じぶん自身の感覚の掟にしたがうことだ」と言った。
  「どんな感じだい。じぶん自身だけということは」と、
ボブ・ディランはうたった。



ボブ・ディランは、また、こうも歌っています。

   ♪ The answer, my friend, is blowin' in the wind,
      The answer is blowin' in the wind.  

                 Blowin' In The Wind より





風が知ってるだけさ。



コメント (4)
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