先日MAKIKYUが都心方面へ出向いた際には、西武新宿線で今年春から走り始めた新型車両・30000系電車にようやく乗車する機会がありましたので、今日はこの車両に関して取り上げたいと思います。
この車両はアルミ合金製車体を採用した片側4扉の通勤型車両で、最新型だけあって首都圏他者における大半の最新形車両と同様に、フルカラーLEDによる行先案内表示装置や、LCDモニターによる車内案内(スマイルビジョンと称している様ですが…)などを採用しており、先代の新型車両・20000系と同様に、アルミ合金製の車両製作で知られる日立製作所の新標準車両とも言える「A-Train」の一員ですが、車体幅を拡張してすそ絞りとなった形状は、今までの西武線通勤車両では見られなかったもので、同形の特徴の一つと言えます。
西武鉄道は近年社会問題化する不祥事もあった事から、これらの体制を改め、新体制として生まれ変わる事をPRする事もあるのか、女性社員を車両構想のプロジェクトチームに含め、従来とは異なった発想を取り入れるように尽力したのが特徴で、新生西武の新しいシンボルとして「Smile Train」という愛称が付けられています。
このSmile Trainは「生まれたてのたまごのようなやさしく、やわらかなふくらみ」をデザインの特徴としており、前面形状をはじめ、車内の天井なども丸みを帯びた独特なものとなっています。
それどころかつり革の吊り輪に至るまで、たまごをイメージした丸みを帯びた特注品を使用し、特徴的なガラス製の車両間貫通路にまで、たまごをイメージしたデザインのステッカーを貼り付けていますし、座席形状や袖仕切りも丸みを帯びた独特なものを用い、優先席部分の座席モケットではハートマークを描くなど、車内外の随所でその特徴を徹底させたものとなっており、他車両とは一線を画した存在である事を、一般客にも強くアピールするものとなっています。
塗装も今までの西武線のイメージとも言える「黄色」や「ブルー」ではなく、無塗装のアルミ車体に青~緑色のグラデーションの様なカラーテープ(この青色は従来の青色とは別物)となっているのも特徴的ですが、最近の新型車でよく見られるドア部分の黄色いラインを、車内側だけでなく外側にも施している事も、一つの特徴と言えます。
またメーカー標準設計を広く取り入れ、近隣事業者などで既に導入されている「A-Train」を参考にしつつ設計された車両ながらも、「A-Train」の最大の弱点とも言われ、評判の思わしくない座席(直角形状で薄くて硬く、一部では「極悪岩座席」などとも言われており、西武以外でも高速運転で知られる某エクスプレスなどで脱却の動きがある様ですすが…)や、ドア脇の装飾を施した柱の様な持ち手(これは持ち難く、首都圏の混雑線区では厳しいです)などは採用していない点などは、様々な他社車両を吟味して開発された車両だけあって、評価すべき点と言えます。
ただ特徴的な丸みを帯びた天井はやや素っ気無い印象(これは小田急の最新特急車などと比べてしまうからなのかもしれませんが…)を感じてしまい、その一部分(概ね冷房装置の下部)は決して美しいデザインとはいえない排気口の様なモノが目立って事などは、デザイン的には少々…と感じてしまいました。
全体的な評価としては決して悪くない車両であるだけに、この様な点は今後改善される事に期待したいもので、また斬新な印象が強い車両ながらも、前照灯が白い光を放つHIDでない辺りは意外な感じがしたものです。
この「Smile Train」、現段階では新宿線に2本、池袋線に1本の8両編成が走るのみで、合計3本(24両)だけですので、まだまだ容易に乗れる状況ではありませんが、今後3扉車の取替えなどで増備が見込まれており、その際には増結用の2両編成も登場する予定となっています。
「Smile Train」は新生西武の象徴として今後の活躍が大いに期待できる車両ですが、その際に増結用の2両編成が他形式との併結(その気になれば20000系との併結は比較的容易かと思いますし、そうすれば運用の柔軟性も格段に向上します)が行われる様になるのか否かも気になる所ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も機会がありましたら、是非従来の西武線とは一風変わった、この新型車両「Smile Train」に乗車されてみては如何でしょうか?