先日「MAKIKYUのページ」ではJR東日本から阿武隈急行に譲渡された417系交直両用電車(阿武急での形式はA417系)に関して取り上げましたが、阿武急では全線開業・電化から今日に至るまで8100系と呼ばれる電車が活躍しており、今日はこの車両に関して少々取り上げたいと思います。
この車両は製造から約20年が経つものの、A417系を除く阿武急の現役旅客用車両は全てこの形式で揃えられ、2両編成9本が活躍しています。
阿武急ではかつてJRとの相互乗り入れも行っており、今はJR東日本から引退した455系によるJR~阿武急直通列車の運行や、阿武隈急行車両による郡山乗り入れも存在し、後者はMAKIKYUも一度乗車した事がありますが、現在JR~阿武急直通の定期列車は、阿武隈急行車両による槻木~仙台間JR乗り入れ列車の設定があるのみです。
その上阿武急線内の列車は全て阿武急車両による運行となっていますので、現在阿武急に乗車すれば必然的に8100系に当たる状況となっており、今後A417系が稼動するとは言っても、当面主力として活躍する事が見込まれる状況です。
この様な車両ですので、阿武急では特に珍しくない車両と言えますが、日本の私鉄は大半が直流電化と言う状況ですので、私鉄で交流専用の電車と言うのは、全国的に見ても極めて異色の存在と言えますが、この手の車両は旧国鉄~JRでは数形式が存在しています。
これらをベースにしている車両という事もあって、乗車した際の印象もほぼ同年代のJR車両と比較的類似した印象を受けますが、台車はボルスタレス式の空気バネ台車となっており、阿武急自体も比較的新しい路線で軌道状況が良好な事もあって、居住性は比較的良いと感じたものです。
また当初からワンマン運転を考慮した設計とした為に、運転台仕切りは比較的簡素な設計となっており、片側2箇所のドアは片開きと両開きの双方が混在している事や、2両の車両間に貫通扉を設けず、旧営団地下鉄の一部車両や遠州鉄道の如く、隣の車両が見渡せる造りとなっている点などは、同年代の交流専用、或いは交直両用のJR近郊型車両には見られない特徴となっており、車内に設けられている半自動ドアスイッチが、片開きドア部分に設けられているものと、両開きドア部分に設けられているものでは、設置時期が異なる関係で別物になっている点はユニークです。
あとつり革がおむすび形のモノとなっている点や、ボックス席の手すりが丸みを帯びたモノとなっている点など、年代の割に古風な印象を受ける部分もある反面、現在では自動放送装置(JR線乗り入れ時には使用されませんが、阿武急線内ではワンマン列車でなくても使用されます)やドアチャイム(JR東海などでお馴染みのタイプです)が設置されており、運賃表示装置にLCDモニター(これはワンマン運転時のみ使用で、車掌乗務時の案内装置としては活用されていないのは少々残念ですが…)が用いられているなど、年代の割に近代的な印象を受ける部分も見受けられます。
この様に新旧が混在する辺りは不思議な印象を受け、地味な印象を受ける車両ながらも車内を見回すと意外と特徴的で面白い車両と感じたものですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も青春18きっぷなどを用いて福島~仙台方面を移動する機会がありましたら、ちょっと寄り道して阿武隈急行を利用され、8100系に乗車してみては如何でしょうか?