今月初めにMAKIKYUが四国へ出向き、その途中で途中下車した岡山市内で乗車した岡山電気軌道(岡電)の新鋭車両「MOMO」に関しては、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、岡山では「MOMO」の他に3000形「KURO」にも乗車する機会がありましたので、今日はこの車両に関して取り上げたいと思います。
3000形は元々東武鉄道が日光市内の軌道線(路面電車)で用いていた車両を、1968年の同線廃止後に譲受したもので、東武での活躍は十数年に留まっていますので、第二の地である岡山での活躍期間が、古巣日光の倍以上という状況になっています。
現在では製造から50年以上が経過し、冷房改造も行われていないだけあって、岡山でも一時期は主力として活躍した3000形も、老朽化や新造車への部品転用などで次々と姿を消し、残っている車両も運用は限られたものになっていますが、その内の1両(3007号)は近年大幅なリニューアルが施され、「KURO」という名称で注目を集める存在となっています。
「KURO」は岡電をはじめとする両備グループや、JR九州などで近年お馴染みの某デザイナーが外観や内装のデザインを手がけ、外観は名前の通り真っ黒な装いとなっていますが、この塗装は同じデザイナーが手がけ、一般型気動車の特急転用で話題となったJR九州キハ140・147形気動車「はやとの風」を連想させるものがあり、この装いで街中を走り回る様はかなりのインパクトがありますが、写真撮影泣かせの存在です。
車内も「MOMO」と同じく木製の座席(材質や形状などは異なりますが…)となっており、全線を乗り通してもさほどの時間を要しない岡電では、これでも充分なのかもしれませんが、この座席に関しては評価が大きく分かれる所と言えます。
内装も革製のつり革や、すだれを用いた日よけなどが独特で、デザイナーの強烈な個性が発揮されていますが、冷房改造が施されずに非冷房車のまま存置されている事から、夏場は運用を外され、それ以外の時期も昼間時間帯の東山線限定運用となっている点は少々惜しいものです。
岡山では新旧の路面電車が某デザイナーの手によって非常に目を引くものとなっており、両備グループの路線バスもこのデザイナーによるデザインで、内外にインパクトのある車両が岡山電気軌道や両備バスで大増殖している状況です。
しかしながら岡電路面電車の主力となる中堅格の車体更新車は、石津式と呼ばれる独特なパンタグラフが特徴的で、窓割などに差異が見られるものの、こちらは意外と地味な印象を受けます(それでもオレンジ色の運賃箱などはインパクトがありますが…)ので、今後は多数派の車体更新車においても、このデザイナーの手によって目を引く車両が登場する事に期待したいと感じたものです。