先日「MAKIKYUのページ」では、7月に開業したばかりのソウル市メトロ9・地下鉄9号線(以下メトロ9と記します)で活躍する9000系電車に関して取り上げましたが、今日は開業してからまだ日が浅いメトロ9に乗車した際の様子を取り上げたいと思います。
メトロ9は現在金浦空港にも近いソウル市西端の開花(Kaehwa)駅を起点に、江南の新論峴(Sin-Nonhyeon)駅までの23.5kmを運行しており、将来的には新論峴から更に東へ伸びる計画となっています。
このメトロ9は現在の韓国では唯一の私鉄となっており、ソウル市メトロ9号線という企業が運営を行っているのが特徴ですが、それでもソウルメトロ・ソウル特別市都市鉄道公社の地下鉄既存路線を運行する事業者をはじめ、KORAIL広域電鉄や仁川メトロまで含めた首都圏(ソウル都市圏)の都市鉄道全体、更にソウル市内の路線バスまで含めて同一の運賃体系を用いている事は大いに評価できるものです。
同一都市内を運行する地下鉄ですら、事業者が異なると両者の運賃を併算(乗り継いだ際の割引はありますが…)するシステムを採用し、多少遠回りでもなるべく同一事業者の路線同士を乗り継ぐ様に努めるために、路線毎の運営主体を意識する必要がある某島国の首都圏とは大違いです。
(某島国の首都圏では比較的最近開業した環状線もどきの某リニア地下鉄で、他路線との接続駅を多数設けているにも関わらず、利用が振るわない事が騒がれますが、運賃制度を改善すればこの問題も大分改善されるはずです)
ただソウルメトロなどと同一運賃体系を採用しているとはいえ、メトロ9は民間企業で運賃配分を確定させる必要がある事から、他路線との乗換駅に「換乗ゲート」と称する連絡改札機を設置しています。
これは韓国の他鉄道では見られない、メトロ9の大きな特徴の一つと言えますが、換乗ゲートの周辺には「料金は追加されません」という内容の案内が目立つ様に掲げられているのが特徴的です。
しかし駅の構造上、一旦改札を出場しての乗換となるメトロ9~1号線の鷺梁津(Noryangjin)駅は、MAKIKYUも乗換で利用する機会があったのですが、1回用交通カード(普通乗車券に相当)では乗換扱いとせず、交通カード(T-moneyなど)利用時のみ乗換扱いを認めるという割り切った取扱いとなっています。
(某島国の首都圏で、改札を一旦出場しての乗換はICカードのみ運賃通算という事はまず考えられませんので…)
またメトロ9は地下鉄だけあって、起点の開花駅とその周辺区間を除くと、現行運行区間は全て地下区間となっており、同線では最前部・最後尾からの展望も可能とはいえ、車窓の楽しみという点では今一つです。
それでも急行列車の通過線を設けた配線となっている駅や、緩急結合に対応して上下各方面のホームが2つ用意された駅などもあり、ソウル市内を走る既存地下鉄の地下区間に比べると、急行列車からの前面展望などはそれなりに楽しめると言えます。
ただ地下区間の各駅は近年開業した地下鉄の典型といった雰囲気で、バリアフリー対応も万全で綺麗な設備は歓迎できるものの、ガラス張りのホームドア(ホームスクリーン)が設置されており、車両の様子などを観察したい時には余り有難くないものです。
このホームドア上部には韓国の地下鉄他路線などと同様に、各駅名と次駅案内が標記されていますが、メトロ9では急行列車を一般列車とは別系統の様に案内している事もあって、急行・一般両列車が発着するホームでの次駅案内も隣駅だけでなく、次の急行列車停車駅を赤で併記しているのが特徴で、急行運転を恒常的に行う路線ならではと言えます。
またメトロ9に関しては、近日中に地上駅となっている起点の開花駅の様子を、別記事で取り上げたいと思います。
写真は9号線鷺梁津駅入口と汝矣島(Yeouido)駅の換乗ゲート、新論峴駅ホームの様子です。