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JR東日本 キハ48形「リゾートみのり」~陸羽東線を走る観光列車

2010-02-03 | 鉄道[東北]

先月MAKIKYUは、冬の青春18きっぷが有効期限(1月20日)間際まで残っていた事もあり、この18きっぷ残り分を使って東北へ出向く機会があったのですが、その際には「リゾートみのり」と呼ばれる観光列車にも乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

「リゾートみのり」は、国鉄時代から使用している既存の旧型気動車・キハ48形気動車を改造した「みのり」と呼ばれる専用車両を用いた観光列車です。

 
主に仙台~新庄間(陸羽東線経由)で運行していますが、平日の運転日は仙台へ直通せず、小牛田~新庄間の陸羽東線内のみの運行となる日も多く存在し、車両が1編成のみという事もあって、列車自体が運休となる日も存在するのは要注意です。

またJR東日本ではキハ48形を改造した観光列車は「みのり」以外にも幾つか在しており、これらは全て現在3両で1編成を構成し、これらは装いこそ各編成毎に大きく異なるものとなっていますが、形状はどれも類似した印象を受けるものですが、一昨年秋に走り始めた「みのり」は、その中でも最新の部類に入ります。

他のJR東日本で活躍するキハ48形改造観光列車は、中間車両の座席をグループ客向けのボックス席にしているのに対し、「みのり」は3両全車が回転式リクライニングシートとなっている点は、設備面での一つの特色と言えます。


このリクライニングシートは、座席自体は特急普通車や首都圏普通列車のグリーン車などとほぼ同レベルのグレードながらも、座席間隔が特急普通車などに比べて広く取られているのが特徴(座席間隔は特急グリーン車並の様です)で、車内ではゆったりと過ごせます。

内装も沿線のもみじを基調とした座席モケットに木目調の化粧板、黄色味を帯びた照明など、温かみを感じる雰囲気は好感を感じたもので、指定席とはいえ快速列車の普通車にしては、居住性はかなり優れていると感じたものです。

「みのり」は観光列車だけあって、3両の通常運行(物理的には1両減車しての運行も可能な筈で、閑散期の平日などはそれでも充分な状況ですが、現状では2両での営業運転は行われていません)で両端となる車両の最前部(或いは最後部)は、展望スペースを設けているのも一つの特徴で、他に現段階の運行では中間車となる2号車にも、モニターなどを設置したフリースペースがあります。


展望スペースには最前部などの様子が良く見える様に、前向きに配置されたベンチ風の座席が1脚と、車窓を眺めやすい様に窓向きに配したベンチ風座席が2脚設置されており、両座席は似たような雰囲気ですが、後者は背もたれを動かす事が可能でとなっています。

この座席は他のJR旅客各社では当たり前ながらも、JR東日本では少数派の転換式座席となっていますが、ただ背もたれを動かすだけで動くのではなく、ストッパー付きとなっている上に、転換可能である旨を記した案内なども見当たらない状況でしたので、余り活用されていない雰囲気です。
(転換式座席に馴染みの薄い乗客が多い事も、あまり活用されない一因かもしれませんが…)

この転換式座席は私鉄を含めて殆どがクロスシート(座席を枕木方向に設置)なのに対し、「みのり」をはじめとするJR東日本のキハ48形改造観光列車の先頭に設置された座席は、僅かな座席数とはいえ非常に珍しい「転換式ロングシート」となっているのも大きな特徴です。

そして前向きのベンチ風座席に座ると、前面展望もそこそこ楽しめるのですが、前面は種車の原型とは大きく異なる形状に改めているとはいえ、高運転台構造で窓の大きさも上下方向はさほど大きくないのは難点です。

また前向き座席と運転席の間には、乗車記念スタンプが置かれており、鳴子峡通過時の徐行運転(下の写真は徐行運転時に撮影した車窓です)と共に、観光列車らしいサービスは評価できるものです。

 
ただ車内放送でもスタンプ設置の旨は、観光案内などと共に案内されていましたが、通常の列車と同じ様に車掌がマイクでアナウンスする程度で、JR他社の中には数々の観光列車を走らせ、目を見張る車両内外のデザインと共に、客室乗務員が積極的に観光列車ならではのムードを盛り上げている姿を見ているMAKIKYUとしては、両者を比較するとJR会社間でも随分な格差が…と感じたものでした。

乗車した感想としては、客室設備のグレードはかなりのハイレベルで、臨時快速列車の普通車扱いで運転しているだけに、座席指定券さえ購入すれば割安な青春18きっぷ(設定期間内のみ)でも乗車できる列車にしては、かなり乗り得と感じたものでした。

しかしながらせっかく車両形状に手を加え、展望スペースを設けながらも、高運転台構造故にイマイチと感じる前面展望や、観光列車としてのソフト面でのサービスなどは改善の余地ありと感じたものです。

車両構造に手を加えるのは難しく、これは今後の観光列車登場の際の課題といった所ですが、せっかくハイレベルな設備を備えた車両を走らせながらも、それを生かしきれずに「ただの豪華な快速列車」になっていると感じたのは少々残念で、今後人的サービスなどソフト面でのテコ入れに期待したいと感じたものでした。
(これもMAKIKYUが閑散期の平日に乗車した事が一因で、土休日の運行日には観光列車らしい車内イベントなどもある様で、停車駅周辺の観光施設での「リゾートみのり」乗客向け特典などもありますので、全くの無策ではないのですが…)