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奈良交通・八木新宮線(2)~車内運賃表示器の各種表示

2010-09-12 | バス[近畿]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた奈良交通の八木新宮線は、この路線の専用車では比較的近年まで幕式の運賃表示器が用いられていた様ですが、比較的近年になってLCDモニターによる最新式の運賃表示器に交換されており、今日はこの運賃表示器の表示内容に関して取り上げたいと思います。
(ちなみに運賃表示器の撮影に関しては、乗務員の方の許可を得てから撮影しており、公開画像も一部修正しています)

八木新宮線で用いているLCDモニターによる運賃表示器は、バスワンマン機器では大手のLECIP(旧S-Light)製のモニター2面によるものとなっています。

この運賃表示器自体は全国各地の路線バスで次々と導入が進んでいますので、奈良交通に限らず様々な地域の路線バスで見かける機会が多く、これから更に導入事例は増えていく公算が高いと思われます。

この新型運賃表示器はLCDならではの特性を生かし、運賃表示や次停留所表示以外にも多様な案内などを表示できる事も大きな特徴となっています。

八木新宮線でも著名な観光地の最寄停留所で、観光地への最寄である事を映像で案内したり、主な停留所までの凡その所要時間を案内するなど、LCDならではの特性を生かした案内も行われています。


写真は始発の大和八木駅発車前のLCDモニター案内表示(MAKIKYUは大和八木方から新宮行に乗車しました)で、主な停留所までの所要時間が表示されていますが、「新宮駅 約6時間20分」という表示はこれが一般路線バス?と思う程で、八木新宮線の凄まじさを感じさせる表示といえます。


大和八木駅を出発すると一つ目の停留所は橿原市役所前、運賃は初乗りの整理券番号1番の所にだけ180円の表示が出ており、2つ先までの停留所と終点が案内される案内様式は、この新型運賃表示器では良く見かける案内表示ですが、これだけを見ると大阪の郊外(大和八木は大阪市内から近鉄電車を利用すると、急行で30分程で到達できます)を走る一般路線バスという雰囲気ながら、「終点 新宮駅」という表示はただの路線バスではない事を強く主張している様に感じます。

そして八木新宮線のバスに乗り続けると、大和八木駅から3時間弱で路線のほぼ中間、十津川村北部に位置する上野地(Uenoji)に到着し、ここは上野地の谷瀬吊橋と呼ばれる規模の大きい吊橋が存在する事でも知られています。

全国版の時刻表でも八木新宮線の項では、「特急は上野地の谷瀬吊橋で見学のため20分停車します」という案内が記されている程ですので、八木新宮線に乗車した事がない方でもバス停名だけは…という方も多いかと思います。


上野地到着時点でも整理券1番の運賃は2450円になっており、30番までの運賃用表示が全て埋まっている辺りは、この時点でも相当な距離を走る路線バスである事が容易に伺えます。

既に上野地到着時点で整理券番号は30番どころか、55番の表示(運賃区数が多過ぎるために、30番ずつに分けて表示しています)が出ているのですが、それでもモニター右側の所要時間案内では「新宮駅 約3時間15分」と出ており、まだまだ道程は終わっていない事を表しています。

そして終点の新宮駅が近づいた頃には外も暗くなり、乗車したのは昼前にも関わらず…という辺りに、他の路線バスとは比べ物にならない八木新宮線ならではの規模の大きさを感じるものです。

LECIP製の新型運賃表示器では左右両面に運賃表示を行うことも可能なものの、奈良交通では運賃表示を左側モニターに限定し、右側モニターは専ら案内事項等を表示する設定としているために、運賃表示は4区分に分けて表示するという凄まじい状況になっています   
この段階での運賃表示は、30番ずつ表示される運賃表示が識別しやすい様に、この新型運賃表示器での標準モードとなっている整理券番号1~30番(地色:青)以外に、緑(31~60番)・赤(61~90番)・紫(91番以降)と地色を変えて表示しているのが大きな特徴です。

整理券番号が3桁に到達している表示もなかなか見る事ができないだけに、この表示は日本一の長距離路線バスとなっている八木新宮線ならではの見物と言えます。

また携帯電話に関するお願いでは、この新型運賃表示器では一般的な表示ではなく、奈良交通独自の鹿をデザインした待ち受け画面を用いた表示が用いられており、新宮駅周辺は和歌山県に属するとはいえ、奈良交通自体は奈良県に拠点を置く事業者という事を強調している様にも感じられたものでした。

そして終点の新宮駅に到着すると、整理券方式運賃後払いのバスであるだけに、下車時に運賃を精算し、日本一長い路線バスへの乗車は幕を閉じる事になります。

整理券番号109番では190円にしかならない運賃も、始発から乗り通して整理券番号1番となるMAKIKYUの場合は5250円にもなり、路線バスでこんな高額運賃を支払う機会は滅多にないものです。

MAKIKYUが今回八木新宮線に乗車した際には、事前に用意しておいた奈良交通バス専用のICカード乗車券「CI-CA」を利用し、このカードでは1000円入金する毎に100円のプレミア(ひまわり[=昼間割引]の場合は200円)が付きますので、ひまわり精算可能な時間帯を運行する便に乗車した場合、実質的にはCI-CAに5000円入金する事で八木新宮線を乗り通す事が出来ます。


最後の写真はICカードで精算した際のカードリーダー表示で、5250円の表示がカード残額ではなく、1乗車で引き去られる運賃額というのは、今後MAKIKYUが各地で路線バスを利用してもこの記録を更新するのは…という所です。

ちなみに今回の八木新宮線乗車では、奈良交通のCI-CAにおける昼間割引(ひまわり)の制度が、始発地の発車予定時刻が基準となっている事から、目的地への到達時刻が適用時間帯を超えてもひまわり精算(昼間割引)の対象となっています。

ただ終日ひまわり適用となる休日を除くと、八木新宮線に乗り通す場合で昼間割引運賃対象となる便は、大和八木駅発の昼前と午後発、新宮発の場合は10時台に出発する便に限られますので要注意です。

この他にも奈良交通では八木新宮線の長距離旅客向けに、普通運賃相当で天辻(Tentsuji)~志古(Shiko)間の途中下車が可能な乗車券(168バスハイク乗車券)を設定しています。

八木新宮線で1つの便を乗り通すのではなく、途中下車して沿線観光も楽しむのであれば、こちらも利用価値があるかと思いますが、こちらは車内では購入できず、窓口での事前購入となる点は要注意です。

八木新宮線に関しては、まだ続編記事を公開したいと思っていますので、興味のある方はもう暫くお待ち頂ければと思います。