先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたKORAILの観光列車・パダ列車(海列車)ですが、今日はその続編として車内の様子を取り上げたいと思います。
パダ列車は都市近郊用ディーゼル動車(CDC)の改造車だけあって、外観だけでなく、車内も随所にCDCの面影が感じられ、日本のJRで活躍するキハ40系列改造のジョイフルトレインを連想させられたものです。
客室は各座席が東海(日本海)側を向き、車窓からのオーシャンビューを存分に満喫できる様になっており、如何にも観光列車といった雰囲気ですが、山側の座席も一段高くなっていますので、どの座席からでもオーシャンビューを堪能できます。
天井や側面の化粧板を見渡すと、海をイメージした様々なイラストが施されているのも特徴で、観光列車ならではの雰囲気を盛り立てているのも、同時期にムグンファ号用に改造され、ビジネスライクな印象が否めない同形車との大きな違いと言えます。
これに加えて先頭車両の運転席と客室の間に設けられた窓も、KORAILでは大抵ステッカーなどで塞がれて前面展望が楽しめず、韓国では地下鉄などでも前面展望が楽しめる車両は少数派ですが、パダ列車では海沿いの景観を売りにする観光列車だけあって、前面展望が楽しめる様に配慮されています。
JRなどでよく見られる前面展望室付きのジョイフルトレインには叶わないものの、CDCの種車形態を維持しながらも前面展望や運転操作の様子を楽しめ、特にパダ列車では一部区間で一般旅客列車が走らない貨物線の三陟(Samcheok)線を走るお楽しみもありますので、この様な配慮は非常に有り難く、KORAILの他列車でも同種の配慮を望みたいものです。
(ただKORAILの列車線では、機関車牽引列車や動力集中方式を採用した車両が多数派で、これらの車両で構造上前面展望は期待できませんが…)
ちなみにパダ列車の客室は、三陟寄りの1両だけが一般室(普通車相当)、他の2両が特室(グリーン車相当)となっており、運賃も一般室で12000W、特室が15000Wとなっています。
MAKIKYUが乗車前日にパダ列車の予約をした際には、特に乗車車両の希望は出さずに空席状況の確認を行い、予約を取りましたので、どちらに当たるのか気になっていましたが、江陵(Gangnueng)駅で乗車前に乗車券を購入した際には一般室の乗車券が発券され、乗車したのは一般室の方でした。
MAKIKYUがパダ列車に乗車した際は、列車自体は全席指定制でそれなりの乗客が乗っているとはいえ、混雑しているという程ではない事もあって、特室の車内も覗いてみました。
こちらの方がやや座席は広い様に感じ、定員もやや少なめになっているとはいえ、設備差はさほど大きくない様に感じられ、乗車時間も江陵~三陟間を乗り通しても1時間半程度ですので、一般室が満席で特室しか空席がない状況でもなければ、一般室で充分なのでは…と感じたものでした。
MAKIKYUが乗車した一般室車の車端部には、小規模ながらもカフェが設けられ、食事類などは期待できないものの、コーヒーなどの飲料やおつまみなどを扱っており、僅か3両編成で乗車時間もさほど長くない列車にこの様な設備が設けられている事自体が、非常に贅沢な様にも感じられたものです。
カフェには専属の要員が配置されると共に、それ以外にも客室乗務員が乗務しており、車内ではレクの様な事を催す(全て韓国語ですので、MAKIKYUは殆ど理解できないのは惜しい所ですが…など、単に観光列車を走らせるだけの企画に留まらず、人的サービスを充実させており、現地の物価を考えると決して安いとは言い難い運賃設定に見合うサービスを提供しようとしている意気込みを感じたものでした。
(カフェにいた客室乗務員は日本語を解さないとはいえ、こちらが日本人と分かると片言で知っている幾つかの日本語の単語で挨拶し、日本語パンフを探し出すと共に、主に子供向けに配布している塗り絵帳もプレゼントとして差し出して頂くなど、非常に好印象でした)
またパダ列車には一般室・特室の2種類の座席以外に、特室車の車端に2人用の個室も設けられており、これも観光列車らしい大きな特徴と言えます。
この個室は「プロポーズ席」という非常に強烈な名称となっており、MAKIKYUがここに乗車する機会がまずなさそうな感じでしたが、この個室は2人利用で50000Wとなっており、写真などの乗車記念品なども用意されるなど、パダ列車の最高級席となっており、MAKIKYUが乗車した際は利用客の姿を見なかったものの、カップル乗車での大事な場面などにはおススメかもしれません。
パダ列車に関しては、特徴的な使用車両だけでなく、オーシャンビューや三陟線走行といった楽しみもあり、こちらに関しても近日中に続編記事として取り上げたいと思います。