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珠光新城旅客自動輸送系統(APM)~全線地下区間の新交通システム

2012-08-11 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国・議政府(Uijeongbu)市で開業したばかりの「議政府軽電鉄」に関して取り上げましたが、先月MAKIKYUが韓国~中国へ足を運んだ際には、他に珠光新城旅客自動輸送系統(APM)と呼ばれる新交通システムにも初めて乗車する機会がありました。
(先月の旅行での新交通システム乗車は、この他に神戸新交通の「ポートライナー」にも乗車しているのですが…)

珠光新城旅客自動輸送系統は、英文名がZhujiang New Town Automated People Mover Systemとなっており、この頭文字を取ってAPMとも呼ばれていますが、中国の大陸本土では現在他に類を見ない新交通システムの営業路線となっているのも大きな特徴です。

APMの運行している区間は、大陸本土南部にある広東省の省都・広州(Guangzhou)市の中心部、林和西(Linhexi)駅~赤崗塔(Chigang Pagoda)駅までの約4km、全線が地下区間になっています。

林和西站は広州東站(香港行列車や、深セン行城際列車が多数発着する駅です)から地鉄1駅、その気になれば広州東站から徒歩でも移動出来る所に位置しており、赤崗塔站は広州塔の目の前に位置しており、両端の駅で地鉄3号線に接続しています。

路線は地鉄3号線に並行しているといっても過言ではなく、専ら港湾地区や郊外のフィーダー路線として運行する交通機関と言う印象が強い新交通システムにしては、意外な路線設定と言う気がしますが、林和西~赤崗塔間で地鉄3号線は途中に2駅しかない所に、途中駅が7駅も設けられているために、駅間はかなり短くなっています。

運営事業者は市内で地鉄を運営する広州地鉄で、市内・近郊の交通機関で通用するICカード「羊城通」も通用しますが、林和西・赤崗塔両站で地鉄3号線から乗り換える場合でも、一旦改札口を出場しての乗換となる上に、通し運賃ではなく別途運賃(APM1乗車2元均一)となっている点は、運賃制度上は地下鉄と同様の取り扱いで運行している日本の大阪(ニュートラム)や、韓国の釜山(4号線)などとは異なりますので要注意です。


このAPMは全線地下区間である上に、各駅もガラス貼りのホームドア完備となっていますので、まともな写真を撮影する事は厳しく、せいぜい赤崗塔站停車中の車中から、奥の留置線に停車している車両をズームで撮影するのがせいぜいといった状況です。


車両は前面非貫通1枚窓で、1両のみでの運行も出来そうな雰囲気の車両を2両連結で運行しており、車両間の通り抜けは不可能な構造となっていますが、設備的にはもう1両連結して3両で運行する事も出来そうに見受けられ、旅客数の増加と共に増結される機会があるのか気になる所です。


車内に足を踏み入れると、比較的小型の車両で運行する新交通システムだけあって、両開き2ドアの客ドアがやたらと大きく感じられ、その割に座席は少なく、つり革ばかりで立席主体となった客室内は、短距離を運行する路線ならではの感があり、ロープウェイの搬機を連想させられます。

無人運転の新交通システムだけあって、当然ながら最前部の展望は抜群で、特に中国ではまだ物珍しい乗り物と言う事もあってか、この区画は常に乗客の姿が…という状況で、MAKIKYUも勿論この区画を選んで乗車したものでした。


またAPMは全線2元均一運賃を採用しており、乗車時に自動改札機から入場するだけで運賃収受が完了する事もあってか、下車時は感応式ゲートを通るだけになっているのも大きな特徴で、なかなかユニークなものと感じたものでした。

APMは全線地下区間で写真撮影や車窓を楽しむのには難がある事に加え、広州東站から中途半端に離れた所を起点としているのは、少々残念な気もしますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も広州市を訪問する機会がありましたら、是非一度乗車してみては如何でしょうか?