数日前MAKIKYUは千葉市内に足を運ぶ機会があり、その際には久々に懸垂式モノレールでは世界最長を謳っている千葉都市モノレール(跨座式も含めると、路線長は大阪や重慶の方が遥かに長いのですが…)にも乗車する機会がありました。
千葉都市モノレールでは、随分前から「Urban Flyer 0-type」と称する新車登場の予告を行っており、この車両はモノレール開業時から活躍する初期車両の老朽取替目的と、サービス向上を兼ねて導入していますが、ようやく先月から営業運転を開始しています。
現在運行時刻をHPでも公開しており、丁度良い時間にUrban Flyer充当列車がありましたので、時間を合わせてこの新型車両に乗車したものでした。
このUrban Flyerは、既に幾つかの他鉄道事業者のデザインを手がけ、国内有数の規模を誇るデザイン会社が加担しており、従来車両とは大きく異なる装いや、「Urban Flyer」のロゴを配した外観は、一目で従来車両とは別物である事を実感させられ、MAKIKYUが千葉駅ホームでUrban Flyerが入線するのを目撃した際には、「新車」と喜ぶ乗客の姿も見受けられたものでした。
車内に足を踏み入れると、千葉都市モノレールは市内を走る比較的短距離の路線で、車両規格の制約や定員確保などもあってか、通勤車両では一般的なロングシートを採用しているものの、座席はハイバックタイプを用いているのが大きな特徴です。
この座席は背もたれが湾曲しており、座ると体がやや前に押し出される様な感覚を感じましたので、長時間乗車に適した座席と言う雰囲気ではなく、同じデザイン会社が車両改装に加担し、「日本一豪華なロングシート」を目指した関西の某大手私鉄料金不要特急車に比べると…という印象があります。
とはいえやはり最近登場した新型車両で、こだわりのデザイナーが手がけたJR某社の新型近郊型車両に用いられ、合板を用いた好みが大きく分かれるハイバックシートに比べれば、万人受けする座席という印象があり、千葉都市モノレールの乗車時間を考えれば、充分合格点と感じます。
つり革や車端部のデザインなども、この車両のデザインを手がけているデザイン会社の車両らしい特徴が見受けられ、客ドアの警戒色配置位置やデザインなどは、最近の関西某大手私鉄で活躍する新型車両を連想させるものがあります。
そしてこの車両の大きな特色の一つとして、床面の一部をガラス張りにして、この部分から真下を見下ろせる様になっている事が挙げられ、他の鉄道車両では真似出来ない懸垂式モノレールならではの芸当と言えますが、床面がガラス張りになっているのは乗務員室部分中央の一部で、通常乗客がガラスの上に立つことはできず、仕切り扉のガラス越しに真下の景観を眺める事になります。
千葉都市モノレールは今まで車両が1車種しかなく、機能重視で比較的単調な印象が強い路線でしたが、このUrban Flyerはそんな今までのイメージを大きく打ち壊す車両で、同社ではUrban Flyerに関連した幾つものグッヅ類販売なども行うなど、随分な力の入れようを感じたものです。
この車両の様に独創的な車両を導入した事業者は、後にデザイン戦略を進めて建築物やサイン類に至るまで…という事例が幾つも存在していますが、千葉都市モノレールでも今後車両以外のデザイン戦略を進めていくのか否かも気になる所です。
最近の首都圏では、没個性的で貧相極まりない粗製乱造車とも言える新型車両が増殖し、ウンザリ感を感じる事も少なくない中で、Urban Flyerはただの交通手段ではなく、「乗ってみたい」と思わせる車両の一つと感じたものです。
企画乗車券類の設定などもあるとはいえ、運賃面では決して安いとは言い難く、一部区間では路線バスとの競合もある千葉都市モノレールの付加価値向上にも一役買う車両かと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も機会がありましたら、是非Urban Flyerに乗車してみては如何でしょうか?