先日「MAKIKYUのページ」では、鹿児島市交通局のレトロ電車「かごでん」を取り上げましたが、昨年は「かごでん」以外にも路面電車で初乗車となった車両が幾つかありました。
既に富山地方鉄道の旧型車両改装車「レトロ電車」などは取り上げていますが、昨年秋に北陸へ足を運んだ際には、富山県内だけでなく福井の福井鉄道でも軌道線電車に乗車しています。
福井は富山とは異なり、市内電車ではなく郊外電車が福井市内の中心部だけ併用軌道となる運行形態で、路面電車と郊外電車を足して2で割った路線と言っても過言ではありません。
以前は高床車が主力を占めていましたが、近年では路面電車型の車両が主流を占めており、以前とは様相が大きく変化しています。
(それでも旧型の高床車両が今でも残存・活躍しています)
路面電車型の車両は、大半が名鉄の岐阜市内線などが廃止→余剰となった車両を転用したもので、その中には2車体連接車に混じり、部分低床車の単車も含まれていますが、今日各地で導入が進む全低床車両は…という状況でした。
しかしながら福井鉄道でも2013年、遂に全低床車両が登場し、MAKIKYUは昨年秋の福井訪問時(富山県内→関西方面への移動途中なのですが…)に遭遇、この車両が「FUKURAM」という名称を持つF1000形電車です。
近年は他事業者からの移籍車両ばかりだった福井鉄道でしたが、現在は現役最古参、車齢50年を超える200形以来の自社発注車となっているのも特筆点です。
装いも既存車両とは大きく異なり、オレンジを基調とした装いですので、非常に目立つ存在で、日本国内で活躍するボンバルディアの技術をライセンス導入した車両では、初の3車体連接車である事も、FUKURAMの大きな特徴です。
車体幅がやや広い事や、カスタマイズした前面形状も影響してか、「FUKURAM」と言う名前の如く、他都市で活躍する全低床車に比べると、やや「膨らむ」車両という雰囲気も感じたものでした。
客室設備面でも、市内電車と言うよりは郊外電車的要素が強く、福井市内~鯖江市・武生(現在は越前市)まで乗り通す乗客もそれなりに居り、30分以上の乗車時間となる事もしばしばと言う事から、クロスシート主体の座席配置となっているのが特徴です。
車体幅がやや広い事もあってか、路面電車型の車両にしては空間にゆとりがある車両と感じたもので、JR線との競合なども影響しているのかもしれません。
最新鋭車両だけあり、バス用ながらも新型LCDモニターによる運賃表示器も装備され、中にはFUKURAMと既存車両(名鉄移籍車)のイラストが表示される姿も見受けられたものでした。
今日では名鉄移籍車と並ぶ事も多く、それどころか製造年次に50年以上もの差がある古参200形と並ぶ事もしばしばと言う状況ですが、200形は車齢を考慮するとそう長い活躍は期待できない気もします。
FUKURAMはまだ1編成のみ、福井鉄道に乗車しても必ず捕まる状況ではなく、余所者にとってはまだまだ乗り難い車両の一つですが、今後も200形代替などで更に導入される公算も高く、その一方で写真の如く古参200形と並んで活躍する姿は、何時まで見られるのだろうか…とも感じたものでした。
また福井鉄道では近年、FUKURAM以外に土佐電鉄の外国電車1編成を購入し、不定期運行している事は、ご存知の方も居られるかと思います。
こちらは運行時期も限定され稼動しない時もあるなど、FUKURAMと比べても、非常に乗り難い車両となっている様で、MAKIKYUもまだ乗車した事はありませんが、これも機会があれば…と感じたものでした。