先日「MAKIKYUのページ」では、東急1000系のリバイバル塗装車と、近年東急→一畑電車に移籍した同系に関して取り上げましたが、これに続き久々の新造車導入も告知されるなど車両更新が進み、一畑電車の顔ぶれが次々と変化しつつあります。
その一方で現在主力となっている元京王車両などが大量導入されるまでの間、永年活躍していた昭和初頭に導入された古豪の一部が、営業運転こそ行っていないものの綺麗な状態で姿を留めています。
昭和初期に自社発注された車両も扉数などにより幾つかのバリエーションが存在し、現存する「デハニ50形」は客用扉が2箇所+小荷物室を併設し荷物室扉が存在、今世紀に入ってもイベント運転などで活躍する程でしたが、保守面や安全基準強化の影響などもあり、2009年で営業線での運転を終了しています。
しかしながらデハニ53号は車両基地のある雲州平田駅に常駐、車庫内に営業線とは線路が繋がっていない短距離の体験運転専用線を設け、低速(最高速度15㎞/h)ながらも体験運転用車両として稼働、希少な車両の動態保存としても注目の存在となっています。
MAKIKYUが昨年一畑電車を利用した際には、乗車だけでなく「運転」もしたものでしたが、気動車は何度か運転した事があっても「電車」は初めてでした。
希少な古豪の見学・乗車・運転と3拍子揃った体験運転会参加は決して安くないものの、わざわざ遠く島根まで足を運んだ甲斐は充分にあったと感じたものでした。
デハニ53号のブレーキは、MAKIKYUが今まで体験運転で動かした2種類の気動車と同種の「自動空気ブレーキ」で、旧式ながらも今でも気動車や路面電車では現役で用いている車両も数多く存在しています。
同じ自動空気ブレーキでも以前運転した気動車2種類に比べると応答性は遥かに良好と感じた反面、ブレーキハンドルが重なり位置から少しでもずれると空気圧が下がりブレーキの利きが弱まるなど、感触は随分異なると感じたものでした。
またデハニ50形はデハニ53号車だけでなく、デハニ52号車も現在出雲大社駅構内に静態保存されていますが、こちらも屋根付きで保存され、保存状態も見た目は博物館収蔵車両並と感じたものでした。
体験運転用に用いられているデハニ53号車とは同年代に製造された同一形式ながらも、内外に様々な差異が見受けられるのも興味深い所です。
デハニ50形は今日でも綺麗な姿で姿を留めている事自体が奇跡的とも言え、それも同一形式で2両も残存、その両者が異なる形で保存されているのは異例と感じます。
一畑電車の事業規模や経営状況なども考慮すると相当な事かと思いますが、他地方私鉄でも希少な旧型車両を活用する施策の一つとして、一畑電車に続いて体験運転専用車として整備する様な動きが出てこないのかも気になったものでした。
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力強いのにどこか血の通った温かみがあると思います。
一畑デハニ50形は古豪ながらも2両も残存、しかも営業線上で使い続ける事が難しくなっても、1両は体験運転と言う形で動態保存が行われ、活用されているのは非常に喜ばしい事です。
運営も決して容易ではない中で、会社の宝として大事にしている事が感じられ、古参車両保全活用のモデルケースと言っても過言ではなく、島根へ足を運ぶ機会があれば一見の価値は十二分にあると思います。
また日本国内では路面電車を除くと、駆動方式が釣掛式の電車は全滅に近い状況となっており、首都圏では都電ですら全廃された今日、定期的に運行する車両は江ノ電と箱根登山電車の一部程度ですが、これらの今後の活躍にも期待したいと思っています。
居住性の悪さに加え保守面の問題なども考慮すると、観光列車など特定用途以外での実用は厳しい気もしますが、SLの様にもっと注目される様になっても…という気もします。