数日前MAKIKYUは青春18きっぷを利用して常磐線沿線へ足を運ぶ機会があり、その際には別途1日乗車券を購入して勝田駅から出ているひたちなか海浜鉄道にも乗車したものでした。
MAKIKYUがひたちなか海浜鉄道を利用した日には、「湊線真夏の暑いレトロ列車」の運行日で、通常は夏季の営業運行から外されている名物の古参非冷房車を特別に運行していました。
またひたちなか海浜鉄道の営業列車は、設備的には2両編成以上での運行も可能なものの、現行在籍車両は全て単行運転可能な両運転台車両で、平日朝に2両編成で運行される一部列車を除くと、専ら1両での運行となっています。
しかしながら「湊線真夏の暑いレトロ列車」は、非冷房車のキハ2005+冷房車のキハ205の2両編成での運行となっており、昼間に2両編成が走るだけでも希少な機会と言えます。
これならほぼ確実に古参気動車に乗車できる上に、余りの暑さで非冷房車に耐えられなくなっても…と思い、2両運行の場合は大抵1両は新型気動車(場合によっては2両共)ですので、2両共に古参気動車という意味でも、狙い目と感じたものでした。
そして予告通りキハ2005+キハ205(キハ2005が勝田方)の2両編成で現れた「湊線真夏の暑いレトロ列車」は、改造ながらも冷房車であるはずのキハ205も窓全開となっており、嫌な予感がしたのですが、乗車したらその予感は的中し、2両共に空調の入らない有様、これなら「湊線真夏の暑い暑いレトロ列車」と呼んだ方が良さそうな状況でした。
日頃空調慣れしている現代人の一員で、非冷房車どころか弱冷房車ですら敬遠するMAKIKYUとしては、希少な古参気動車に乗車できるのは嬉しいのですが、一応冷房を期待していた身としてはとんだ誤算でした。
各地で35℃前後の気温が観測され、高温注意報が出る中で非冷房車に乗り続けるのは、相当な体力消耗を伴うもので、古参車目当て以外の一般客から見れば、とんでもない迷惑な列車なのでは…とも感じたものでした。
ただ車内では昔ながらの瓶入り飲料が、内容量こそ少なめなものの1本100円~という安価で販売され、これを車内ボックス席に備えられた栓抜きを用いて開けて…という事が出来るのは、ひたちなか海浜鉄道も名物古参気動車の乗車に付加価値を添えるために尽力していると感じさせられたものです。
元々非冷房車のキハ2005は、MAKIKYUはひたちなか海浜鉄道を旧茨城交通時代も含め、何度か利用していながらも初乗車でしたが、板張りの床などはキハ205(これも相当希少な車両ですが…)を凌ぐレトロ感があり、暑い時期以外の乗車なら…と感じたものでした。
一方キハ205は窓全開でも、車内天井には扇風機が備え付けられているのに対し、キハ2005は酷寒地の出自も影響しているのか、ただの非冷房車ではなく、それをも凌ぐ「非扇風機車」となっていますので、これに比べれば窓全開で実質非冷房車状態のキハ205でも、まだ多少は暑さを凌げると感じたものでした。
また列車自体の物珍しさに加え、夏休み期間中で1日乗車券の発売などもあってか、利用状況は結構盛況だった様に見受けられましたが、古参気動車というだけでなく、これに加えて非冷房車で暑さに苦しめられるというのは、古参気動車リバイバル運行で近年注目を集めている千葉県内の非電化某3セク鉄道の更に上を行く存在と感じたものでした。
個人的には古参非冷房車を増結し、今や日本では貴重な車両に乗車できる機会を提供するのは非常に良い事かと思いますし、まして特別料金徴収などもなく、普通運賃のみで乗車可能というのは、かなり評価できる事かと思います。
とはいえ定期一般列車で夏の猛暑の最中、否応なしに選択の余地なく非冷房車に乗車というのは、旅客サービス面で問題ありとも感じたものです。
今後もキハ205と非冷房車の併結運転は、時折実施されるかと思いますが、ひたちなか海浜鉄道では三木鉄道から移籍したレールバス1両を除き、各車両共に併結運転が可能で、現にMAKIKYUはキハ205+新型気動車の編成に乗車した事もありますので、今後「昭和+平成」の両時代を乗り比べできる列車を走らせてみるのも…と感じたものでした。
先日乗車した「湊線真夏の暑いレトロ列車」に充当されたキハ205号、単に冷房能力が余りの暑さに追いつかなかっただけなのか、それとも故障してしまったのかも気になる所です。
一応冷房車とは言えども、エンジン出力の小さい古参車である上に、冷房装置もバス用の簡易型を後に改造で設置した車両ですので、冷房が装備されているだけでも上等で、容量を期待する車両ではない気もしますが…
やっぱり、お年寄りなんでしょうか。
(吉田)