現在青春18きっぷの設定期間となっており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、18きっぷを利用して小旅行などを楽しまれている方も居られるかと思いますが、MAKIKYUも今季の青春18きっぷを1枚所持しており、数日前には日帰りで茨城県内へ足を運んでいました。
その際には青春18きっぷで利用可能なJR線普通列車だけでなく、別途運賃(フリーきっぷを購入)でひたちなか海浜鉄道にも乗車したのですが、訪問日には名物とも言える旧型気動車は、残念ながら1両も稼動していませんでした。
それどころか昼間には1両編成2本(計2両)の車両が稼動し、ほぼ中間の那珂湊駅で列車交換を行うダイヤが設定されているのですが、2両しか存在しないひたちなか海浜鉄道塗装の新型気動車(3710形)が2本とも稼動し、アニマル塗装となっている新型気動車(37100形)すら車庫で留置されているという、趣味的に見れば最も「ハズレ」な状況だったのは残念に感じたものでした。
(ひたちなか海浜鉄道の旧型気動車は非冷房車も含まれ、この車両の夏場の稼動を極力避けるのは旅客サービス上必須ですが、個人的には夏場以外の時期は1運用は旧型を運用するか、2運用とも新型で走らせる日には1運用を極力アニマル塗装の37100形にして、遠方からの観光客などがひたちなか海浜鉄道を利用した際に、様々な車両のバリエーションを楽しめる様にして頂ければ…と感じるものです)
しかしながらひたちなか海浜鉄道では、茨城交通からの転換後にサービス改善に努め、以前は勝田~那珂湊間で途中の行き違い駅は無かったのに対し、金上駅を改良して行き違い設備を新設、平日ラッシュ時間帯に勝田~那珂湊間の区間列車を数本設定して利便性向上を図っている事などは、近年衰退傾向にあるローカル線が多い中では大いに評価できるものです。
この金上駅の行き違い設備と、これに伴う区間列車増便に際しては、ひたちなか海浜鉄道の車両数を考えれば、夏場でも一部列車に非冷房車を稼動させても良いと言うのであれば、特に車両増備を図らなくても対応できるかと思いますが、1両の軽快気動車導入が行われています。
とはいえひたちなか海浜鉄道は、現在主力のバス事業も建て直し中の茨城交通が手放した程の路線ですので、近隣の非電化線区であるJR水郡線の様に新製車を続々と…とは行かないのが現状です。
そのため2008年に路線が廃線となって用途不要になったものの、車両自体はまださほど古くない兵庫県・三木鉄道の軽快気動車(ミキ300形)の1両を格安価格(それでも庶民の生活費用などから見れば高額で、会社員の平均年収を越える位の値段にはなるのですが…)で購入する事で対応しています。
しかしながらひたちなか海浜鉄道では、新型3710形を含む従来車とはブレーキ方式が異なり、連結運転が出来ない事から、主に平日ラッシュ時間帯の勝田~那珂湊間区間列車に用いられています。
MAKIKYUがひたちなか海浜鉄道を利用した際にもこの区間列車に充当され、時間的にも丁度良かった事から、初めてひたちなか海浜鉄道のミキ300形に乗車できたものでした。
ミキ300形はMAKIKYUも三木鉄道が在りし頃、一度だけ乗車した事があり、3両の車両が在籍していたのですが、1両がまず岐阜県の樽見鉄道に移籍、続いて1両が近隣の北条鉄道に移籍していますので、3両それぞれが全く違う路線で第2の活躍をしているのですが、鉄道の廃業となるとさほど古くない車両でも、鉄道の運命を共にする事も多いだけに、ミキ300形はこの点では非常に幸運な車両と言えます。
各社へ移籍したミキ300形は、当初は各鉄道共に三木鉄道時代の装いのまま活躍を初めたものの、最近になって北条鉄道の車両は三木鉄道塗装での運用を終了し、新塗装に改められています。
ひたちなか海浜鉄道では現在塗装はおろか、形式名も「ミキ300」のままで運用しており、三木鉄道時代と大差ない雰囲気を堅持していますが、地王私鉄では先述の北条鉄道や、災害で廃線となった高千穂鉄道から気動車1両の無償譲渡を受けた徳島県~高知県に跨る阿佐海岸鉄道の様に、入線当初は移籍前の装いで営業を開始し、その後別の装いに改める事例が複数存在する事などを考えると、ひたちなか海浜鉄道がミキ300形を現在の姿のまま使い続けるのかも気になる所です。
また車内に足を踏み入れても、三木鉄道時代とは大差ない印象があり、元々がセミクロスシート車だけあって、ひたちなか海浜鉄道の新鋭車両では唯一のボックス席を装備する車両と言うのも評価できる所です。
(名物の旧型車はボックス席が設けられていますが、3710形は路線の運行距離や所要時間などを考えるとロングシートでも充分で、茨城交通から継承した車両と言う事情があるとはいえ、観光客の利用なども考えると、セミクロスシートの方が…と感じてしまいます)
ワンマン運転に関連した装備も、運賃表示器はバス用の汎用品ながらも新型のLCDモニターを装備し、音声合成による車内放送も他車両とは異なるもの(比較的近隣を走る日立電鉄交通サービスで用いられている放送に類似しており、発音が少々不自然な感じです)が流れるのも注目点で、こちらも今後ひたちなか海浜鉄道の他車両に波及するのか気になる所です。
ミキ300形は他車両との連結が出来ないという運用の制約があるとはいえ、比較的新しい冷房車で一般客向けのサービス向上につながると共に、ボックス席を多数装備する事も遠方からの観光客向けにはうってつけ、また3710形とは異なる雰囲気が楽しめる車両ですので、第3セクター鉄道では比較的標準仕様に近い車両とはいえ、平日ラッシュ時間帯の区間運転だけでなく、終日1両運転となる土休日で、名物の旧型車両が稼動しない日にも優先的に運用して欲しい車両と感じたものです。
また古巣の三木で活躍する期間は決して長い車両ではなかったものの、新天地・茨城での末永い活躍にも期待したいと感じたものでした。
ミキ300も同じことになるでしょう。
塗色は変更する予定はありませんのでよろしく。
(吉田)
旧型車両も北の大地からやってきた車両は、古巣が炭鉱閉鎖などで数年で廃止されていますので、茨城での活躍の方がずっと…という状況ですが、「ミキ300も同じことに…」というのは、頼もしい限りです。
またひたちなかでは塗装変更予定もないとの事ですが、同型車が移籍した樽見鉄道では、北条鉄道に続いて塗装変更が行われるのか気になる所です。