仙台2日目は、東北福祉大学の芹沢介美術工芸館へ。家内が大の芹沢フアンで、10月に横浜高島屋で開催された芹沢介展をみたとき、近いうちに、是非、仙台にと心に決めた(汗)、ようだ。ここの所蔵品が多く、展示されていたのだ。二人とも、ここは初めての訪問。駅前バス停から30分近く乗っただろうか、モダンな校舎の東北福祉大学に到着。明け方の雪で、滑りそうな坂道を少し登ると、そこが美術工芸館。
この半年間の展示テーマは”東北窯めぐり/やきものとかまばの風景”ということで、長男・長介氏(当館初代館長)により蒐集された”東北地方のやきもの”と、父・介による数々の”窯場風景”の型絵染作品が展示されている。やきものも好きなぼくにとっては、願ってもないテーマ。一粒で二度おいしい、とても味のある展覧会であった。
芹沢は、岩手県の久慈の窯場を訪れたのを皮きりに、秋田県の楢岡、山形県の新庄東山・平清水、宮城県の堤などの窯場を訪ね、窯場風景を描きとめ、型染本”東北窯めぐり”を制作した。そして、そこで働く人々の姿も、型絵染であらわし、後に屏風や軸、うちわにも仕立てられている。
展示場も広々していて、6F(展示室1,2、3)、5F(展示室4,5)そして1F展示室とある。芹沢作品は、展示室1,2で、有名な”風の字”から始まり、水魚文帯地、沖縄みやげ二曲屏風、津村四季文着物等、お馴染みの文様作品がつづき、いよいよ窯場風景が現れる。”型絵本五部作”、”えほんどんきほうて”、”かまばのひと”等の型染本が楽しい。
そして、展示室2に入り、いよいよ窯場の風景II。窯出し文のれん、ろくろ師文のれん、東北窯めぐり六曲屏風、登り窯文のれん等。芹沢さんの手にかかったら、何でも文様になってしまう。ろくろ師はまるで棟方志功の十大弟子みたいに尊い姿(笑)。ぼくの気に入った文様。
木綿地型染絵 窯出し文のれん&ろくろ師文のれん
そして、展示室3から、芹沢長介コレクション。東北のやきもの展が。はじめ、あまり期待していなかったが、とんでもない、素晴らしいやきもののオンパレード。
展示室3では、東北のやきものということで、宮城県の堤、上野目、山形県の平清水、秋田県の白岩、栃木県の益子など52点。展示室4では、宮城県のやきものに限り、再度、堤そして新田、塩内。そして、展示室4では、ぼくが一番気に入った、宮城県の切込。19世紀制作のもの、77点が。そして、1Fに降りて、福島のやきもの、会津本郷、相馬駒、大堀相馬等85点。質量共にすごい。
ここも撮影禁止なので、絵ハガキセットを購入。ここにも保存しておこうと思う。みなさんはどれがお好きですか。
仙台藩のやきもの
切込焼 二彩隅切角皿
切込焼 三彩六角皿
切込焼 三彩桔梗皿
切込焼 二彩土瓶
切込焼 染付梅花文らっきょう徳利
堤焼 鉄釉油壺
堤焼 三彩火鉢
堤焼 なまこ釉ろうそく立
堤焼 なまこ釉手あぶり
堤焼 亀型水滴
堤焼 なまこ釉甕
東北の近世陶磁
相馬駒焼 青ひび釉鉄絵走馬文蓋付壺
白岩焼 なまこ釉徳利
大堀相馬焼 色絵筒描蝶に花文皿
會津本郷焼 糠白釉流掛浅鉢
コレクターの芹沢長介は考古学者ですが、近世の東北のやきものに興味をもたれたようです。とくに切込がお気に入りで、日本の他の近世三彩の中に置いてみたとき、色彩、配色など、切込が一番すぐれていると思う、と述べています。ぼくもすっかり切込フアンになりました。
すばらしい展覧会だった。これで仙台シリーズを終了させていただきます。乾杯!
切込焼で乾杯! 三彩爛徳利と杯
東北福祉大学。ここに美術工芸館がある。
また、来年も、仙台へ。
これから、東京駅へ(汗)。上野もね。