気ままに

大船での気ままな生活日誌

仁清・乾山/京の工芸

2014-12-16 06:50:44 | Weblog

出光美術館で開催されている”仁清・乾山/京の工芸”も閉幕ぎりぎりになって、ようやく観に行くことができた。もともと、仁清も乾山も好きだから、楽しみにしていた展覧会だった。

京焼初期は、唐津や高取といった九州ものの写しから始まったそうだ。仁清も乾山も道八も、はじめは、古い焼き物に倣っていて、そんな作品を観ることができる。仁清は信楽写共蓋水指、乾山は、オランダのデルフト窯を真似た、色絵阿蘭陀写花卉文八角向付。道八は髭徳利。その横に、色も同じ茶色で髭爺模様のドイツケルン釜の髭徳利があった。そして、第1章のまなざしは京の”外”へテーマに相応しく、長崎港図屏風(江戸時代)も開かれている。

第二章は清淨と簡素の京/仁清の白柚と銹絵。仁清の白柚は、何度展覧会を開いても、いつまでも”知られざる仁清”の枕詞がつくらしい。乾山にも継承されず、まるで暗渠のように秘かに流れていた、というような説明文があった。そういえば、光悦の白い茶碗は忘れないが、仁清の白い焼き物はあまり覚えがない。今回、観ても、また忘却の彼方にいってしまうのだろうか(笑)。逆にいえば、仁清の色絵の焼き物が、あまりに強烈な光を放ち、目がくらまされてしまうのかもしれない。

その、輝く色絵が、第三章に集結している。色絵若松図茶壺、色絵牡丹図水指、色絵芥子文茶壺、色絵鳳凰文共蓋壺。いずれも重要文化財である。これに、ぼくの大好きな、国宝”色絵藤花文茶壺”(MOA)が加われば、申し分ないのだけど。また、色絵釘隠なんていうのもつくっていて、これも重文だそうだ。釘を打ったあとを覆う陶器、何という贅沢。また、尺八型、羽子板型などの小さな香合もかわいらしい。この章は、祝祭と権威の京というテーマで、多くの作品が丸亀藩の京極家の依頼とのこと。イメージ的には蒔絵や屏風絵の色彩を意匠に取り込んでいるとのこと。テーマ関連屏風として、四季草花図貼付屏風(喜多川相説)と春秋図御簾屏風(狩野常信)が展示されている。どちらも、ため息がでるほど素晴らしい。

第4章 文芸と遊戯の京。ここで乾山が登場する。ぼくは乾山のどの作品が好きというよりも、トータルで好き。だから、桜や紅葉を眺めるように全体の風景を楽しむ。とはいっても、紅葉だって、あのお寺の、あの公園の、あの楓というふうに、個々も愛でるように、乾山の器も同じこと。色絵百人一首和歌角皿 (十客)も面白い。お皿に盛られたお料理で和歌の一部が隠れるが、それも、食卓の話題になるのだろうと解説があった。色絵紅葉文壺、色絵牡丹文壺、黒楽菊桐文茶碗と、三つ並んでいたのも気に入った。

そして、第5章、融合される〈京〉のやきもの美では、乾山の銹絵染付金銀白彩松波文蓋物が現れる。重要文化財。無釉の「かわらけ」の清らかさ、金銀彩の使用、蒔絵や木器(もっき)とのつよい近接性を示す器形など、京のやきものに根を下ろした美意識の融合といえる作品との解説。

そして道八さんの作品が三つ並び、ぼくの好きな桜と楓が面いっぱいに妍を競う、”色絵桜楓文鉢”で、展覧会の幕が下りるのであった。

  

今朝も旅先の仙台からの投稿です。昨日は東北福祉大学の芹沢ケイ介美術館へ。東北各地の陶磁器の数々も同時に見られて、とても、良かったです!夕方は、また、定禪寺通りケヤキ並木のイルミネーション!点灯の瞬間が見もの。素晴らしかった。

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