こんばんわ。
9回表、日本1点リードで、なんと大谷がブルペンから歩いてきて、マウンドにクローザーとして登場。これだけでも驚きなのに、二死をとり、米国最後の打者は、キャプテンでメジャーを代表する強打者トラウト、大谷とはエンゼルスの同僚である。夢の対決。大谷、力を込めて投げる。トラウト必死に粘り、カウントは3ボール2ストライクとなった。この一球ですべてが決まる。大谷、投げる。左に大きく曲がるスイート。トラウト、ここぞと振る。空振り三振!大谷、帽子もグローブも投げ捨て歓びを表す。侍ジャパンの面々が駆け寄り歓喜の輪ができる。
準決勝のメキシコ戦の九回裏の逆転劇も感動的だった。まず、三番、大谷が二塁打。四番、吉田が四球で塁を埋める。そして五番、村上に命運が託された。期待の若きホームランバッターは調子が上がらない、もしやバントではと思わせたが、強打!走者二人を返す逆転の二塁打!
事実は小説より奇なりとぼくはブログに書いた。この筋立ては、まるで漫画のようだ、映画のようだ、と多くの人がつぶやいた。いや、映画のシナリオとしては嘘っぽい、という声まで。
それが、なんと映画になった。三木慎太郎監督「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」。3週間ほどの限定上映というので、早速、辻堂のシネコンに出掛けた。ほとんど空席がない人気で、それも老人ばかりではない(笑)。若いお母さんもいれば、子供もいる。老若男女、まんべんなくの幅広い人気だ。
はじめに冒頭のシーンが現れる。大谷がトラウトを斬り、優勝を決めた瞬間。そして、画面は一転して、1年半前の栗山英樹監督の顔に。「侍ジャパン」トップチームの監督に就任した監督の記者会見。その日からの日々が綴られる。何度もの代表選手30人の選考会議を経て、史上最強と言われる侍ジャパンが誕生する。そして、ぼくらがTVニュースで見たような映像がつづく。大会直前の宮崎合宿にはダルもいる。大谷、吉田、ヌートバーの大リーグ組が参加し、いよいよ東京ドームでの東京ラウンドが始まる。
完全密着したチーム専属カメラが選手たちの姿を追う。試合だけではなくベンチ内あるいはロッカー室まで。ダルが朗希にスライダーの投げ方の直伝している様子や、大谷投手と捕手との専門的なやり取りも聞き取る。源田選手が怪我をしたときの監督との問答、朗希が打たれてロッカー室で悔し涙にくれる姿等も捉える。
でもやはり、スポーツ・ドキュメントの真髄は試合そのものの経過を如何に面白く伝えるか、だろう。日本チームは勝ち進み、いよいよ米国ラウンドを目指して準々決勝で日本はイタリアと対戦。大谷が先発。(以下、ぼくの当時のブログから)大谷翔平先発、ダルビッシュ継投という豪華リレーもみられたし、先制点を奪うきっかけになった大谷のセーフティーバンドや岡本のスリーランホームラン、ようやく火を吹いた村神さまの長打二本と、見どころたっぷり。映画では、これらの戦況を要点をしぼり、ど迫力映像と観客の声援などを大音響で見せてくれる。まるでベンチで観戦しているような気になる。
力投の大谷翔平投手。最速164キロの剛速球もあり、5回途中まで投げて勝利投手に。
そして、マイアミに渡っての準決勝。メキシコ戦。スタジアムはメキシコ人で埋まる、完全アウェイ。この試合はすごかった。映画でもその凄さが倍増。大スクリーンであのときの感動が蘇る。先発の佐々木朗希は好投するも、4回表に3ランを浴びる。5回表、吉田の3ランで追いつき、さらに1点リードしたが、継投の山本由伸が打たれ、2点のリードを許す。8回、山川の犠打で1点差に詰め寄り、いよいよ運命の最終回を迎えた。
冒頭で記したように不振の村神さまのバットが火を吹き、大逆転!この試合はたしかWBC2023年のベスト試合に選出された。すばらしい試合だった。
そして、いよいよ米国との決勝戦。試合前、大谷はロッカールームでの円陣”声出し”を今大会初めて務め、”今日だけはトラウトやゴールドシュミットに憧れるのは止めましょう、勝ちに行きましょう”と世界一に向けてげきを飛ばした。これがこの映画のタイトルの元になっている。
そして決勝戦の模様が伝えられる。ちょっと冒頭と重複するが、ぼくのブログから。今日もすごい試合を魅せてもらった。村上の同点本塁打、岡本の追加点本塁打もよかったが、圧巻は最終回。3対2のわずか1点差で日本がリード。そこに、大谷がクローザーとして登場。先頭打者に四球を出すが、ダブルプレイで二死とし、バッターはなんとトラウト。大谷対トラウトのエンゼルスの同僚決戦。メジャーを代表するスーパースター同士。誰もが夢見たが、こんな劇的な形で対戦するとは。まるで小説みたい。まさに、事実は小説より奇なり。
大谷・トラウト対決
14年振りの王座奪還!
大会MVPは大谷選手だったが、この映画の主役も大谷選手だった。栗山監督は映画では名脇役だったが、常々、お客さんに楽しんでもらえる野球をと言っていて、その通りになったので名脚本家とも言えるだろう。それでも、大谷対トラウトで〆させたのは、野球の神さまの手助けもあったかも知れない。
映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」予告編60秒
あのときの感動を倍にして蘇らせてくれた、素晴らしいWBC2023ドキュメント映画だった。
これから映画を見る人へ。エンディングロールが終わって、画面が暗くなって、最後に大谷選手のあるエピソード画像が流れます。思わずふふふ。見逃さないで。
では、おやすみなさい。
いい夢を。
河童さん(舌ヒデ子)