気ままに

大船での気ままな生活日誌

憧憬の地・ブルターニュ展(2)

2023-06-26 21:48:45 | Weblog

こんばんわ。

憧憬の地・ブルターニュ展(国立西洋美術館)のつづきです。はじめに、フランスのブルターニュ地方のことについてちょっと追加しておきます。

ブルターニュはケルト系ブルトン人が住んでいるが、彼らの先祖は4世紀から6世紀にかけてグレートブリテン(英国)南西部から移住してきたブリトン人である。ブルターニュという地名はこの人種名にちなんでおり、一部の人々は今もケルト語系のブルトン語を話している。さらに、ケルト人に触れておこう。彼らの文化も興味深く、日本人とよく似ている。以前のブログからの抜き書きです。ぼくらの先祖は森の中に住み、森の恵みを受けてくらしてきた。それが、日本では稲作をはじめるようになってから、森から離れ、さらに開墾のため森を削り、村をつくり、町をつくり、工場をつくり・・で、現代、都市から森は消えてしまった。一方ケルト人。BC1500年に中欧に現れ、ガリア(現フランス)、イタリア、小アジアと幅広い地域に住み、”森の民”と呼ばれ、森に住む神々と妖精たち(多神教)と共生していた。それが北からはゲルマン人、南からはラテン人(ローマ帝国)に攻撃され、中世には、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、ブルターニュ(現フランス)に追いやられた格好になった。その間、欧州では一神教のキリスト教の普及などにより、森を恐れなくなり、深い森は次々と消えていった

ブルターニュの自然や文化が、パリの人から見ると、異郷の地に見え、また憧憬の地であった。前回(1,2章)はパリから来訪した画家の作品が中心であったが、今回(3,4章)は、ここを気に入り、当地に根をおろした画家、そして、日本出身の画家たちの作品が並びます。

1章 見出されたブルターニュ:異郷への旅 
2章 風土にはぐくまれる感性:ゴーガン、ポン=タヴェン派と土地の精神 
3章 土地に根を下ろす:ブルターニュを見つめ続けた画家たち
4章 日本発、パリ経由、ブルターニュ行:日本出身画家たちのまなざし  

3章 土地に根を下ろす:ブルターニュを見つめ続けた画家たち

19 世紀末から20 世紀初頭、ブルターニュは気候も穏やかで豊かな自然に恵まれ、保養地として注目されるようになる。画家たちのなかにも避暑のみならず制作のため、別荘を構えてこの地を”第二の故郷”とした画家たちがいた。本章では、これらの画家たちが長期にわたる土地との対話のなかで培ったまなざしの行方を追う。

ドニ 若い母(1919)先妻マルトとの間に7人、彼女亡きあとのエリザベスとの間に二人の子供を授かったドニは、しばしば家族を作品の主題とした。キリスト教美術の”聖家族”を土台にしているが、本作の描かれた年に長患いの妻、マルトが亡くなっている。新しい命を讃える幸福な情景の背後に画家の深い悲しみがある。

ドニ 花飾りの舟(1921)ブルマナックで開催されるヨットレースで有名な祝祭を描いたもの。画面手前の船にはドニの二人の息子、また翌年、再婚する相手、赤いドレスのエリザベスが紫陽花に囲まれ船上に座っている。大原孫三郎のコレクション

コッテ 悲嘆、海の犠牲者(1908)海難事故の絶えないサン島を舞台に、犠牲者を悼む人々。

一部、拡大。

シモン ブルターニュの祭(1919)

シモン 庭の集い(1919)別荘の庭で子供達が演じる演奏や踊りを暖かい眼差しで見る大人たち。

一部、拡大。

シャルル・コッテ 行列(1913)聖母子像を担って行進するプルガステル村の娘たち。

リュシアン・シモン 曲馬場 (1917)

4章 日本発、パリ経由、ブルターニュ行:日本出身画家たちのまなざし

ブルターニュ地方が西洋絵画の主題として定着し、多様な表現の受け皿となっていた19世紀末から20世紀のはじめ、パリに留学していた日本人画家・版画家たちもブルターニュへ足を延ばし、その風景や風俗を画題に作品を制作している。黒田清輝や久米桂一郎を筆頭に、山本鼎や藤田嗣治、岡鹿之助らである。

黒田清輝 ブレハの少女(1891) ブレハ島の貧しい身なりの農民の娘。赤毛が日差しで黄金色に輝いている。

久米桂一郎 ブレハ島(1981)黒田と共にブレハ島に写生旅行に。バラ色の花崗岩がつづく海岸を描く。

久米桂一郎 林檎拾い(1892)ブルターニュのコワフ(頭の飾りつけ)と木靴をつけた少女の林檎の収穫風景。久米のパリ留学の集大成ともいうべき作品。

岡鹿之助 信号台(1926)

藤田嗣治 十字架の見える風景(1920)ブルターニュの街中でよく見かけるというカルヴェール(十字架像)。

山本鼎 ブルトンヌ  多色木版(1920)ブルトンヌとはブルターニュ地方の女性のことで、民族衣装の姿が絵のモチーフとして好まれていたとのこと。

以上2回に分けて、ご紹介した。面白い展覧会だった。これを機にブルターニュやケルト人についてももう少し知りたいと思った。(完)

今日は上弦の月

では、おやすみなさい。

いい夢を。


今日の散歩道

コメント (6)
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