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【cinema】『ラストデイズ』

2006-04-02 00:46:51 | cinema
'06.04.01 KTと『ラストデイズ』@シネマライズ

NIRVANAのカート・コバーンをモデルにした映画。ブレイクとなっているけどまんまカート。ブレイクの最期の2日間を描く。それだけ。

描きたいのはブレイクの最期の2日間だけ。どう過ごしたのかですらない感じ。2日間に意義も美学も込めるつもりもないように思える。ブレイクが何か問題を抱えていて精神的にかなり参っているのは分かる。ただ「何の」問題なのかはハッキリとは描かれない。森の中の屋敷にいるけど何故なのかも分からない。一緒にいる人達も、訪ねて来る人も誰なのか説明もあまりない。淡々と主人公たちを追うようにカメラに収めているだけという印象。

時々同じシーンを別の人物の側から描く。しかも連続性もなく唐突に入ってきたりする。なので時間軸がズレる。『エレファント』では効果的だったそれは、この作品では逆に分かりずらい感じにしていたかも。そういう意味で一見不必要に思えるシーンの連続は、ブレイクの倦怠感がすごくて、常にダルそうで見ているこちらも辛い上にその演出はちと眠かった。ただそのブレイクの倦怠感を辛いと感じるのは、どこかでブレイクの辛さを共有してるから。単純につまらないのとは違う。そういう意味ではすごいと思う。多くを語らないことが逆に伝わることもある。ただ、とっても感覚的なものだけど。

そもそもカート・コバーンを知らないと辛い。そういう映画を撮ってしまう感じは好き。とにかく死の真相を説明する映画ではないので、感覚的に辛い感じが伝わるだけ。だからその辛さは実は自分の痛みでブレイクのものではないのかもしれない。でも、それでいいのかも。真実はブレイク(カート)にしか分からない。

ブレイクの孤独感はすごい。他を寄せ付けない繊細さがある。そのため人一倍孤独なんだと思う。こういう人は人一倍美しいものに触れることができる代わりに、人一倍醜いものや悪意やそういうものにも敏感。そういう感じはすごい伝わってきた。見る人を選ぶ映画とも思わないけど、理解できない人は多いかも。理解できなくてもダメな訳じゃない。感覚が近いかそうでないかってだけ。そんな映画な気がする。


『ラストデイズ』HP


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