'09.01.03 『連獅子/らくだ』@東劇
これは見たかった。去年見た『ふるあめりかに袖はぬらさじ』がすごく良くて、その時この作品の予告を見てからずっと待ってた(笑) ということで2009年劇場鑑賞第1弾に決定!
歌舞伎とのコラボ、シネマ歌舞伎の第7弾とのこと。映画用にあえて撮ったのではなく、公演を撮影したもの。だから客席のお客さんも映っていたりする。でも、単純に撮っただけではなく、そこは山田洋次監督の映画としての演出というか、場面の切り取り方はあるのだと思う。
まずは『らくだ』から上映。「らくだとアダ名される友人を訪ねた半次は、冷たくなったらくだの遺体を発見する。どうやら前日2人で食べたフグが原因らしい。何とか弔ってあげようと思うけれど、お金がない。そこにたまたま通りかかった屑屋の久六を巻き込んで、あの手この手を使ってみるが・・・」という話で、これは元は落語。Wikipediaによると「真打の大ネタ」と呼ばれるネタだそうで、全て通して演じると1時間近くになるのだそう。落語の事は全く分からないので、通常どのくらいの長さのネタを演じるものなのか不明だけど、1人の噺家が様々な役を演じ分けて、なおかつシチュエーションまで理解させつつ、笑わせるとなると1時間というのはかなりのボリュームなのじゃないかと思う。見ている側の集中力も続かないかも・・・。まぁ、そこは芸なのでしょうが。というわけで、どうやら途中までで終わらせるパターンが多いらしく、この映画版も途中で終わっている。もちろんそれでもきちんと筋は通っているし、話としてちゃんとオチている。多分この方が映画としてはスッキリしているんじゃないかと思う。
この話の見どころは2つ。1つ目はケチな家主夫婦にお酒と料理を用意させようと、らくだの死体を文楽の人形のように操って"かんかんのう"を躍らせてしまうシーン。本来ならば不謹慎であり、不気味なシーンだけれど、そのコミカルな動きややり取り、全身黄色くなったらくだの死体などがあいまって、本当に笑える。そして全体を通しての半次と久六の掛け合いのおかしさが、もう1つのそして最大の見どころ。これは本当に素晴らしい。半次は坂東三津五郎で、久六が中村勘三郎。半次は気のいいヤクザ者。背中から腕にかけての彫り物をチラチラ見せながらのべらんめえ調はいなせ。画面で見ると三津五郎は役柄に対してはやや老けている印象だけど、舞台ならばOKなのかもしれない。最初のセリフではちょっと声がしゃがれているなと思ったけれど、ヤクザ者としての表現ならばありだと思うし、聞き取りにくいことはない。思ったよりも小柄なのがスッキリとした二枚目という感じではないけれど、これは後半の感じにはむしろ合っていて良かった。らくだの片岡亀蔵も良かった。登場した時から死体で、黄色く塗られている。最初は人形なのかと思っていたら、久六に背負われたり"かんかんのう"を踊るシーンなどで、"死体"としてのコミカルな動きが、とぼけた表情(は、ないけど(笑))と相まっておかしい。
だけど、やっぱり何といっても久六の中村勘三郎が素晴らしい。歌舞伎のことは良く分からないので、その家によって演じる演目があるのか、得意分野(コミカルが得意とか)があるのかとか、その辺りが分からないのだけど、たまたま見た2役、前作の『ふるあめりか・・・』の遊郭の主人と、今回の久六がコミカルな役で、それがもう本当にピッタリという感じ。こんな人いたんだろうなぁと思わせる。人が良くて気が弱いのにちゃっかりしている。そして憎めない。そんな役を演じたら敵うもの無しという感じ。ご本人のキャラもだいぶ反映している気がするし、いわゆる古典モノよりはずいぶん自由もきくのかもしれないけれど、このリアルさはすごいと思う。歌舞伎の舞台で演じているという事の大仰さや違和感がまるでなく、でも型とか芸という奥行きも感じさせる。とにかく登場しただけで笑ってしまう。すばらしい。これは本当におもしろかった。
そして打って変わって『連獅子』 これが見たかった! これは歌舞伎舞踊といわれるもので、元は能の『石橋』。毛振りと呼ばれる紅白の長い毛を振る姿が有名で、もちろんそのシーンが見たかった。てっきりいきなり獅子の姿で毛振りをするのだと思っていたので、先に上映された『らくだ』が1時間ほどで終わってしまって驚いたけど、一応ストーリーがあったらしい(笑) 連獅子というのは親子だそうで、いろいろ調べてみたけど2人で踊ることを前提に説明されている記事が多かった。実の親子が演じる事が多いようで、今回は中村勘三郎、勘太郎、七之助親子が踊っている。『石橋』というのは獅子の面を持って舞う演目だそうで、清涼山に修行に向かう僧を描いているらしいけど、そこから派生した歌舞伎の演目は河竹黙阿弥の作詞した長唄に乗って進んでいく。今回の上映は16:00~と18:30~の回のみ長唄の字幕あり。字幕を読んでもあまり理解できなかったけれど(笑)
「獅子は子を谷に突き落とし、這い上がってきた子のみを育てるという言い伝えを舞う3人の狂言師。3人の舞が佳境に入り終了し退場すると、場面が変わり2人の僧が現れる。2人は連れとなって清涼山へ修行に向かうけれど、ライバル宗派である事が分かり反目しあいながらも旅して行く。すると突然強い風が吹いてくる。そして2人が退場すると先の狂言師達が獅子の精となって現れ舞始める・・・」という感じかな。これはストーリーというよりも、いかに舞を見せるかという事なんだと思う。僧2人のやり取りが唐突で、あまり繋がらないのだけど、つなぎ的な部分なのかな。多分この僧の部分が『石橋』らしい。調べてみたけど、どうにも内容が理解できなかった(涙)
でもまぁ、何といっても見どころは中村屋親子3人の舞。狂言師の舞は3人とも白塗りで、すました顔であくまで獅子頭が主役であるかのように静かに舞う。その舞は端正。同列に考えるのはおこがましいけど、自分もバレエを習っている身としては、踊りの型の美しさに心惹かれる。バレエも実は型なので。もちろん重要なのはどれだけ気持ちを込めて表現できるかということだけれど、すべるように摺り出した足の美しさや、かざした手の美しさ、その手先を見つめる目線。何一つムダのない動き。派手なポーズよりも実は地味な型の方が難しく、そしてその型が美しくないと踊り全体が見苦しくなってしまう。そういうことをあらためて感じる。3人の狂言師が舞っているのは、親獅子が子を谷に落とすが、子は谷を上れず一休みしていると、親が心配して谷底を覗くという場面なのだそうで、要するにそういう題材の演目を舞っている狂言師を演じて舞っているというのもおもしろい。まぁ、その辺りはあまり分からなかったけれど(笑) 後に子獅子の精となる2人の狂言師は前髪ありの姿。これも師弟関係ということなのかな。黄色と黒が印象的な衣装もいい。ここの舞が静かで端正なので、後に獅子の精となった時の力強い舞が生きてくる。
ライバルの僧2人の狂言的なやり取りを見ていると、やがて大風が吹き3匹の獅子の精が現れる。花道にバーンと隈取も鮮やかに現れた3人の迫力がスゴイ。これは間近で見たら本当にスゴイと思う。衣装も豪華絢爛。バッと両腕を広げて親獅子を先頭にゆっくりと花道を進み、半分まで来たところで立ち止まると、すごい勢いで後ずさりして引っ込んでしまう。この動きが一体何なのか良く分からないけど、おもしろかった(笑) そして再度登場。ここからの舞の迫力はスゴイ。生で見たら迫力があると思うけれど、その表情や手の動きまでは見れないので、これは映画ならでわの迫力。子獅子が同時に飛び上がりドーンと音を立てて見栄を切る瞬間がカッコイイ! てっきり直ぐに毛振りに入るのかと思っていたけど、花を持ってみたりしながら結構舞う(笑) これもまた荒々しくはあるけど型を感じる。
こうして画面で見ると2人の息子達はさすが現代っ子で顔が小さくスタイルがいいけど、勘三郎は顔がデカイ(笑) だけど、そんな勘三郎のアップが映ると、その顔の迫力が写楽の浮世絵を思わせる。写楽のデフォルメされた絵には写実性は感じなかったけれど、舞台の1シーンを切り取った時の迫力を表現しているのかも。となると写楽が役者であるというのは本当かもしれない。って写楽は関係ないけれど(笑)
そんなことを考えているうちに、もみ上げの辺りをつかんだ3人は用意された台に上り、一斉に頭を振り始める。長い毛をぶんぶん振る。これまたてっきり頭を回しているのかと思っていたけれど、一定の方向にしか振っていない。これもまた型。だからこそ阿吽の呼吸で3人ピタリと合うのだと思う。もちろん日々の鍛錬もあるのだけろうけれど。それにしてもかなり振る。以前、勘三郎が何かの番組で語っていたところによると、一見すると首が疲れそうなこの毛振りは、実は腰が辛いのだそう。確かによく見ると前傾した姿勢で首は固定したまま、腰を右前方に倒して戻すという動作を繰り返すことにより、毛が振れているように見える。なるほどおもしろい。と感動していると、親獅子の「ハッ」という掛け声で子獅子2人が飛び上がり、足を一歩台から踏み出し、3人で見栄を切ってフィニッシュ。映像の中ではお客さんが一斉に拍手をし、中には立ち上がっている人もいる。すごく気持ちが分かる。思わず拍手したくなる迫力。カッコイイ! そして素晴らしい!
シネマ歌舞伎は映画なのか歌舞伎なのかといえば、どちらでもないという気がする。歌舞伎は一度見てみたいと思うけれど、やっぱり敷居が高い。だけど、こうしてシネマ歌舞伎として映画館で見れるのであれば、気軽に楽しめる。そして映画として見た演目なら本物を見ても分かるかもと思ったりする。舞台はやっぱり生だと思うし。でも、映像ならでわのクローズアップや演出もあるのは確かで、それが魅力を引き出した事も間違いなくあると思う。歌舞伎入門としても良いと思うし、シネマ歌舞伎というジャンルがあるのも良いと思う。このシリーズは見続けたいと思う。すごく良かった。
こんなパネルが
シネマ歌舞伎/松竹 HP
これは見たかった。去年見た『ふるあめりかに袖はぬらさじ』がすごく良くて、その時この作品の予告を見てからずっと待ってた(笑) ということで2009年劇場鑑賞第1弾に決定!
歌舞伎とのコラボ、シネマ歌舞伎の第7弾とのこと。映画用にあえて撮ったのではなく、公演を撮影したもの。だから客席のお客さんも映っていたりする。でも、単純に撮っただけではなく、そこは山田洋次監督の映画としての演出というか、場面の切り取り方はあるのだと思う。
まずは『らくだ』から上映。「らくだとアダ名される友人を訪ねた半次は、冷たくなったらくだの遺体を発見する。どうやら前日2人で食べたフグが原因らしい。何とか弔ってあげようと思うけれど、お金がない。そこにたまたま通りかかった屑屋の久六を巻き込んで、あの手この手を使ってみるが・・・」という話で、これは元は落語。Wikipediaによると「真打の大ネタ」と呼ばれるネタだそうで、全て通して演じると1時間近くになるのだそう。落語の事は全く分からないので、通常どのくらいの長さのネタを演じるものなのか不明だけど、1人の噺家が様々な役を演じ分けて、なおかつシチュエーションまで理解させつつ、笑わせるとなると1時間というのはかなりのボリュームなのじゃないかと思う。見ている側の集中力も続かないかも・・・。まぁ、そこは芸なのでしょうが。というわけで、どうやら途中までで終わらせるパターンが多いらしく、この映画版も途中で終わっている。もちろんそれでもきちんと筋は通っているし、話としてちゃんとオチている。多分この方が映画としてはスッキリしているんじゃないかと思う。
この話の見どころは2つ。1つ目はケチな家主夫婦にお酒と料理を用意させようと、らくだの死体を文楽の人形のように操って"かんかんのう"を躍らせてしまうシーン。本来ならば不謹慎であり、不気味なシーンだけれど、そのコミカルな動きややり取り、全身黄色くなったらくだの死体などがあいまって、本当に笑える。そして全体を通しての半次と久六の掛け合いのおかしさが、もう1つのそして最大の見どころ。これは本当に素晴らしい。半次は坂東三津五郎で、久六が中村勘三郎。半次は気のいいヤクザ者。背中から腕にかけての彫り物をチラチラ見せながらのべらんめえ調はいなせ。画面で見ると三津五郎は役柄に対してはやや老けている印象だけど、舞台ならばOKなのかもしれない。最初のセリフではちょっと声がしゃがれているなと思ったけれど、ヤクザ者としての表現ならばありだと思うし、聞き取りにくいことはない。思ったよりも小柄なのがスッキリとした二枚目という感じではないけれど、これは後半の感じにはむしろ合っていて良かった。らくだの片岡亀蔵も良かった。登場した時から死体で、黄色く塗られている。最初は人形なのかと思っていたら、久六に背負われたり"かんかんのう"を踊るシーンなどで、"死体"としてのコミカルな動きが、とぼけた表情(は、ないけど(笑))と相まっておかしい。
だけど、やっぱり何といっても久六の中村勘三郎が素晴らしい。歌舞伎のことは良く分からないので、その家によって演じる演目があるのか、得意分野(コミカルが得意とか)があるのかとか、その辺りが分からないのだけど、たまたま見た2役、前作の『ふるあめりか・・・』の遊郭の主人と、今回の久六がコミカルな役で、それがもう本当にピッタリという感じ。こんな人いたんだろうなぁと思わせる。人が良くて気が弱いのにちゃっかりしている。そして憎めない。そんな役を演じたら敵うもの無しという感じ。ご本人のキャラもだいぶ反映している気がするし、いわゆる古典モノよりはずいぶん自由もきくのかもしれないけれど、このリアルさはすごいと思う。歌舞伎の舞台で演じているという事の大仰さや違和感がまるでなく、でも型とか芸という奥行きも感じさせる。とにかく登場しただけで笑ってしまう。すばらしい。これは本当におもしろかった。
そして打って変わって『連獅子』 これが見たかった! これは歌舞伎舞踊といわれるもので、元は能の『石橋』。毛振りと呼ばれる紅白の長い毛を振る姿が有名で、もちろんそのシーンが見たかった。てっきりいきなり獅子の姿で毛振りをするのだと思っていたので、先に上映された『らくだ』が1時間ほどで終わってしまって驚いたけど、一応ストーリーがあったらしい(笑) 連獅子というのは親子だそうで、いろいろ調べてみたけど2人で踊ることを前提に説明されている記事が多かった。実の親子が演じる事が多いようで、今回は中村勘三郎、勘太郎、七之助親子が踊っている。『石橋』というのは獅子の面を持って舞う演目だそうで、清涼山に修行に向かう僧を描いているらしいけど、そこから派生した歌舞伎の演目は河竹黙阿弥の作詞した長唄に乗って進んでいく。今回の上映は16:00~と18:30~の回のみ長唄の字幕あり。字幕を読んでもあまり理解できなかったけれど(笑)
「獅子は子を谷に突き落とし、這い上がってきた子のみを育てるという言い伝えを舞う3人の狂言師。3人の舞が佳境に入り終了し退場すると、場面が変わり2人の僧が現れる。2人は連れとなって清涼山へ修行に向かうけれど、ライバル宗派である事が分かり反目しあいながらも旅して行く。すると突然強い風が吹いてくる。そして2人が退場すると先の狂言師達が獅子の精となって現れ舞始める・・・」という感じかな。これはストーリーというよりも、いかに舞を見せるかという事なんだと思う。僧2人のやり取りが唐突で、あまり繋がらないのだけど、つなぎ的な部分なのかな。多分この僧の部分が『石橋』らしい。調べてみたけど、どうにも内容が理解できなかった(涙)
でもまぁ、何といっても見どころは中村屋親子3人の舞。狂言師の舞は3人とも白塗りで、すました顔であくまで獅子頭が主役であるかのように静かに舞う。その舞は端正。同列に考えるのはおこがましいけど、自分もバレエを習っている身としては、踊りの型の美しさに心惹かれる。バレエも実は型なので。もちろん重要なのはどれだけ気持ちを込めて表現できるかということだけれど、すべるように摺り出した足の美しさや、かざした手の美しさ、その手先を見つめる目線。何一つムダのない動き。派手なポーズよりも実は地味な型の方が難しく、そしてその型が美しくないと踊り全体が見苦しくなってしまう。そういうことをあらためて感じる。3人の狂言師が舞っているのは、親獅子が子を谷に落とすが、子は谷を上れず一休みしていると、親が心配して谷底を覗くという場面なのだそうで、要するにそういう題材の演目を舞っている狂言師を演じて舞っているというのもおもしろい。まぁ、その辺りはあまり分からなかったけれど(笑) 後に子獅子の精となる2人の狂言師は前髪ありの姿。これも師弟関係ということなのかな。黄色と黒が印象的な衣装もいい。ここの舞が静かで端正なので、後に獅子の精となった時の力強い舞が生きてくる。
ライバルの僧2人の狂言的なやり取りを見ていると、やがて大風が吹き3匹の獅子の精が現れる。花道にバーンと隈取も鮮やかに現れた3人の迫力がスゴイ。これは間近で見たら本当にスゴイと思う。衣装も豪華絢爛。バッと両腕を広げて親獅子を先頭にゆっくりと花道を進み、半分まで来たところで立ち止まると、すごい勢いで後ずさりして引っ込んでしまう。この動きが一体何なのか良く分からないけど、おもしろかった(笑) そして再度登場。ここからの舞の迫力はスゴイ。生で見たら迫力があると思うけれど、その表情や手の動きまでは見れないので、これは映画ならでわの迫力。子獅子が同時に飛び上がりドーンと音を立てて見栄を切る瞬間がカッコイイ! てっきり直ぐに毛振りに入るのかと思っていたけど、花を持ってみたりしながら結構舞う(笑) これもまた荒々しくはあるけど型を感じる。
こうして画面で見ると2人の息子達はさすが現代っ子で顔が小さくスタイルがいいけど、勘三郎は顔がデカイ(笑) だけど、そんな勘三郎のアップが映ると、その顔の迫力が写楽の浮世絵を思わせる。写楽のデフォルメされた絵には写実性は感じなかったけれど、舞台の1シーンを切り取った時の迫力を表現しているのかも。となると写楽が役者であるというのは本当かもしれない。って写楽は関係ないけれど(笑)
そんなことを考えているうちに、もみ上げの辺りをつかんだ3人は用意された台に上り、一斉に頭を振り始める。長い毛をぶんぶん振る。これまたてっきり頭を回しているのかと思っていたけれど、一定の方向にしか振っていない。これもまた型。だからこそ阿吽の呼吸で3人ピタリと合うのだと思う。もちろん日々の鍛錬もあるのだけろうけれど。それにしてもかなり振る。以前、勘三郎が何かの番組で語っていたところによると、一見すると首が疲れそうなこの毛振りは、実は腰が辛いのだそう。確かによく見ると前傾した姿勢で首は固定したまま、腰を右前方に倒して戻すという動作を繰り返すことにより、毛が振れているように見える。なるほどおもしろい。と感動していると、親獅子の「ハッ」という掛け声で子獅子2人が飛び上がり、足を一歩台から踏み出し、3人で見栄を切ってフィニッシュ。映像の中ではお客さんが一斉に拍手をし、中には立ち上がっている人もいる。すごく気持ちが分かる。思わず拍手したくなる迫力。カッコイイ! そして素晴らしい!
シネマ歌舞伎は映画なのか歌舞伎なのかといえば、どちらでもないという気がする。歌舞伎は一度見てみたいと思うけれど、やっぱり敷居が高い。だけど、こうしてシネマ歌舞伎として映画館で見れるのであれば、気軽に楽しめる。そして映画として見た演目なら本物を見ても分かるかもと思ったりする。舞台はやっぱり生だと思うし。でも、映像ならでわのクローズアップや演出もあるのは確かで、それが魅力を引き出した事も間違いなくあると思う。歌舞伎入門としても良いと思うし、シネマ歌舞伎というジャンルがあるのも良いと思う。このシリーズは見続けたいと思う。すごく良かった。
こんなパネルが
シネマ歌舞伎/松竹 HP