公開時は特に気にならなかったのだけど、TSUTAYAでいつも全部レンタル中だったので、どんだけおもしろいんだろうと手に取ってみた。
「地方の美大に通うみるめ。ある朝仲間のえんちゃんと堂本の運転する軽トラで靴擦れした不思議な女性を拾う。数日後、校内でその女性ユリと再会したみるめは彼女に惹かれていくが・・・」という話で、これは恋愛映画。大学生の将来に対する不安とか、ユリの年齢的な焦りなどが描かれる事はない。あくまで恋愛に特化している。山崎ナオコーラの原作は未読なので、どのくらい忠実に描かれているのか不明だけど、結構おもしろかった。見る前はそのタイトルなどから、ありがちな”個性”の押し売り的な作品なのかなと思っていた。正直、そういう側面は多々見られたけれど、それが嫌味になる一歩手前という感じ。正直に言えば感動とかはなかったけれど、それでもこうして感想を書いてみようと思ったのは、ユリとみるめの会話がとっても自然で、いわゆる恋愛初期の感じがすごく良く分かって楽しかったから。
みるめの大学に臨時講師としてやってくるユリは39歳。猪熊さんというダンナもいる。ダンナさんの事は後から知るのことになるけど、年齢差は承知で付き合い始める。みるめが何歳なのか不明だけど一回り以上の年の差と思われる。私自身は女性なので男性が年上女性に憧れる気持ちがきちんと理解できてるか分からないけど、女性が年下男性に惹かれる気持ちはよく分かる。素直に甘えられるし、それに少し強がって応えてくれる姿がかわいらしい(笑) その観点から考えると、自分より大人だと思っている女性が意外なところで見せる子供っぽさがいいのかもしれない。ユリのアトリエで「寒いねぇ」と言ってみるめにストーブをつけさせるシーンは、勝手にどうぞと思いつつも、何だか分かるなぁと気づけば微笑みながら見ていた。恋愛初期の一番気持ちが盛り上がっている頃で、結ばれてからもそんなに経っていない。一緒にいるだけで楽しくて、相手の言葉や仕草全てを愛おしく感じる。ずっと触れていたくて、心も体も繋がった後でのストーブ(笑) だから、そこに少し照れもあるし、もうストーブをつけてもらう、つけてあげる事が楽しくてしょうがない。ホントに他人から見れば「勝手にどうぞ」だけど、すごくよく分かる。
とにかく、その他の部分ではややキャラを浮き立たせ過ぎの演出が気になったりもするけど、ユリとみるめのいわゆるピロートークの感じがすごく自然でいい。これ演技なのかなという感じ。アドリブなんじゃ?というくらい自然。『人のセックスを笑うな』と言うわりにセックスシーン自体はなし。もちろん絡み合ってるシーンはあるし、行為後の姿はあるけれど。別にそのシーンが見たいわけではないのでそれはOK。それが逆に思い詰めたみるめが大学の教室で待ち伏せして、廊下を通りかかったユリを強引に中に引き込むシーンでグッとくる感じに役立っている気がする。ただ、やっぱり音を立ててのキスシーンは日本人がやるとなぁ・・・ と個人的には思ったり。
ユリ役の永作博美が良かったと思う。こういう役ははまり過ぎな気がして、逆に嫌味になるんじゃないかと思っていたけど、”奔放で不思議な魅力の女”に見せようとする設定やセリフにも関わらず、それが過剰な感じにはなっていなくて良かった。ユリがどうしたいのかサッパリ分からないけれど、みるめに片思い中のえんちゃんに「だって触りたくなっちゃったんだもん」と語るセリフが自然で納得してしまったりする。正直、普段永作のナチュラルさみたいなのに少し演出を感じていたりすることもあったのだけど、ユリがあるタイプの男子にはとっても魅力的なのはよく分かった。それは永作博美の演技と個性のおかげだと思う。
えんちゃんは蒼井優。えんちゃんはちょっと不思議キャラ。蒼井優の作品はそんなに見ていないので何とも言えないけど、こういう役多い気がする。個人的にはえんちゃんとユリの不思議キャラ対決みたいな部分がダメで、2人のシーンはちょっと辛かった。でも、みるめに片思いしている彼女は良い働きをする。その辺りの演技はさすが演技派と言われる事はあると思ったりする。堂本役の忍成修吾はメガネをかけているせいもあるけど、彼もみるめの松山ケンイチも前髪が長く顔がよく見えないので、遠目で見るとどちらがどちらか分からない。これは狙いなのかな?違うと思うけれど・・・。
猪熊さんのあがた森魚がいい。出演シーンは僅かだけど、彼もまた不思議キャラでこれがあざとさギリギリ。不意に訪ねてきたみるめに信玄餅の食べ方を伝授するシーンは適度に気持ち悪くて良い。褒めてます! 猪熊さんが指を切ったユリを手当てしてあげるシーンが、みるめがストーブをつけてあげたりするシーンとの対比となっていていい。彼らにとってユリは捉えどころがなく、でも守ってあげたくなる存在。ユリは多分その辺り計算している部分もあるだろうし、逆に身についてしまっている気もする。意識しなくてもそいう事のできる女の人っている。そして猪熊さんのそれと、みるめが助けてあげるのは実は全然違う。猪熊さんはダンナさんだから日常。でも、みるめはムリしてないけど頑張ってるから新鮮。それを求めちゃう気持ちは分かる。
松山ケンイチが良かった。とにかくユリとの会話がホントに自然でいい。そこから得るものは正直ないけど、でも年上女性相手にちょっぴりムリしてる感じがいい。猪熊さんの存在を知って彼女を諦めようとすればするほど思いがつのっていくのも、若い男の子特有の純粋さが感じられて切ない。そこには恋愛というよりも欲情っていう部分が多い気がしないでもないけれど、その辺りも含めて良かったと思う。純情なのかと思うと適度に強引だったりしてとっても魅力的。後半、引きこもりがちになってしまうのはどうかと思うけれど、みるめ君は結構タイプかもしれない(笑) こんな子にこんな風に思われるのは羨ましいなと思ったりした。
桐生市で撮影された映像がキレイ。田園風景の中、ユリのチャリに二人乗りして走るシーンはいい。いいけどちょっと長い。そいうのが時々あざとい気がしないでもないけど、ギリギリ大丈夫。舞台が東京じゃないのも2人の恋愛がすんなり入ってきた理由かも。変に気取った感じにもギラギラした感じでもない。年上女性との不倫、教師と生徒という禁断の関係が田園風景の中で描かれる事で、なんだかほのぼのと感じられた。何度も書くけど2人の会話がすごく自然でいい。セリフ自体じゃなく、会話してる時の2人の感じがいい。ちょっと恋愛したくなった(笑)
『人のセックスを笑うな』Official site

みるめの大学に臨時講師としてやってくるユリは39歳。猪熊さんというダンナもいる。ダンナさんの事は後から知るのことになるけど、年齢差は承知で付き合い始める。みるめが何歳なのか不明だけど一回り以上の年の差と思われる。私自身は女性なので男性が年上女性に憧れる気持ちがきちんと理解できてるか分からないけど、女性が年下男性に惹かれる気持ちはよく分かる。素直に甘えられるし、それに少し強がって応えてくれる姿がかわいらしい(笑) その観点から考えると、自分より大人だと思っている女性が意外なところで見せる子供っぽさがいいのかもしれない。ユリのアトリエで「寒いねぇ」と言ってみるめにストーブをつけさせるシーンは、勝手にどうぞと思いつつも、何だか分かるなぁと気づけば微笑みながら見ていた。恋愛初期の一番気持ちが盛り上がっている頃で、結ばれてからもそんなに経っていない。一緒にいるだけで楽しくて、相手の言葉や仕草全てを愛おしく感じる。ずっと触れていたくて、心も体も繋がった後でのストーブ(笑) だから、そこに少し照れもあるし、もうストーブをつけてもらう、つけてあげる事が楽しくてしょうがない。ホントに他人から見れば「勝手にどうぞ」だけど、すごくよく分かる。
とにかく、その他の部分ではややキャラを浮き立たせ過ぎの演出が気になったりもするけど、ユリとみるめのいわゆるピロートークの感じがすごく自然でいい。これ演技なのかなという感じ。アドリブなんじゃ?というくらい自然。『人のセックスを笑うな』と言うわりにセックスシーン自体はなし。もちろん絡み合ってるシーンはあるし、行為後の姿はあるけれど。別にそのシーンが見たいわけではないのでそれはOK。それが逆に思い詰めたみるめが大学の教室で待ち伏せして、廊下を通りかかったユリを強引に中に引き込むシーンでグッとくる感じに役立っている気がする。ただ、やっぱり音を立ててのキスシーンは日本人がやるとなぁ・・・ と個人的には思ったり。
ユリ役の永作博美が良かったと思う。こういう役ははまり過ぎな気がして、逆に嫌味になるんじゃないかと思っていたけど、”奔放で不思議な魅力の女”に見せようとする設定やセリフにも関わらず、それが過剰な感じにはなっていなくて良かった。ユリがどうしたいのかサッパリ分からないけれど、みるめに片思い中のえんちゃんに「だって触りたくなっちゃったんだもん」と語るセリフが自然で納得してしまったりする。正直、普段永作のナチュラルさみたいなのに少し演出を感じていたりすることもあったのだけど、ユリがあるタイプの男子にはとっても魅力的なのはよく分かった。それは永作博美の演技と個性のおかげだと思う。
えんちゃんは蒼井優。えんちゃんはちょっと不思議キャラ。蒼井優の作品はそんなに見ていないので何とも言えないけど、こういう役多い気がする。個人的にはえんちゃんとユリの不思議キャラ対決みたいな部分がダメで、2人のシーンはちょっと辛かった。でも、みるめに片思いしている彼女は良い働きをする。その辺りの演技はさすが演技派と言われる事はあると思ったりする。堂本役の忍成修吾はメガネをかけているせいもあるけど、彼もみるめの松山ケンイチも前髪が長く顔がよく見えないので、遠目で見るとどちらがどちらか分からない。これは狙いなのかな?違うと思うけれど・・・。
猪熊さんのあがた森魚がいい。出演シーンは僅かだけど、彼もまた不思議キャラでこれがあざとさギリギリ。不意に訪ねてきたみるめに信玄餅の食べ方を伝授するシーンは適度に気持ち悪くて良い。褒めてます! 猪熊さんが指を切ったユリを手当てしてあげるシーンが、みるめがストーブをつけてあげたりするシーンとの対比となっていていい。彼らにとってユリは捉えどころがなく、でも守ってあげたくなる存在。ユリは多分その辺り計算している部分もあるだろうし、逆に身についてしまっている気もする。意識しなくてもそいう事のできる女の人っている。そして猪熊さんのそれと、みるめが助けてあげるのは実は全然違う。猪熊さんはダンナさんだから日常。でも、みるめはムリしてないけど頑張ってるから新鮮。それを求めちゃう気持ちは分かる。
松山ケンイチが良かった。とにかくユリとの会話がホントに自然でいい。そこから得るものは正直ないけど、でも年上女性相手にちょっぴりムリしてる感じがいい。猪熊さんの存在を知って彼女を諦めようとすればするほど思いがつのっていくのも、若い男の子特有の純粋さが感じられて切ない。そこには恋愛というよりも欲情っていう部分が多い気がしないでもないけれど、その辺りも含めて良かったと思う。純情なのかと思うと適度に強引だったりしてとっても魅力的。後半、引きこもりがちになってしまうのはどうかと思うけれど、みるめ君は結構タイプかもしれない(笑) こんな子にこんな風に思われるのは羨ましいなと思ったりした。
桐生市で撮影された映像がキレイ。田園風景の中、ユリのチャリに二人乗りして走るシーンはいい。いいけどちょっと長い。そいうのが時々あざとい気がしないでもないけど、ギリギリ大丈夫。舞台が東京じゃないのも2人の恋愛がすんなり入ってきた理由かも。変に気取った感じにもギラギラした感じでもない。年上女性との不倫、教師と生徒という禁断の関係が田園風景の中で描かれる事で、なんだかほのぼのと感じられた。何度も書くけど2人の会話がすごく自然でいい。セリフ自体じゃなく、会話してる時の2人の感じがいい。ちょっと恋愛したくなった(笑)
