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2013年に見た映画はDVD、テレビ放送での鑑賞を含めて99本。去年は98本だったから、やっぱり自分のペースはこんな感じなんだね(笑) 例年通り2013年日本公開作品限定。今年も、洋画邦画と分けて選出するほど見れていないので、一括して選出。これまた今年も洋画ばかりになってしまった。1作品試写会で鑑賞したため、見たのは去年だけど、公開は今年なので含めた作品あり。しかし、今年はあまりコレって作品がなくて、ちょっと無理やり選んだ感も・・・
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とにかく映像がスゴイ! まるで自分が宇宙空間にいるかのようなリアルさ! コチラまで息苦しくなる。宇宙が舞台だけど実は人間ドラマというのも良かった。なんといっても91分という長さがいい! これ以上長いと間延びするし、見ている側の緊張も続かない。おもしろかった! これはIMAXで見たかったなぁ・・・
2位:『パシフィック・リム』
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これはおもしろかった! 日本アニメオタクのギレルモ・デル・トロ監督が「日本に捧げた」と語ったとおり。日本のロボットアニメを実写で撮ちゃった感じ。ガンダム大好きなのでコレは楽しかった。パイロットの操縦方法がツボ! これもIMAXで見たかった!
3位:『クロニクル』
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なんだかSFっぽい作品が続いてしまった・・・ SF苦手じゃないけど、好んで見るジャンルじゃないのに不思議(笑) ファウンド・フッテージ形式を採用することにより、超能力を手にしてしまった高校生たちという有り得ない設定にリアリティを持たせている。カメラの切り替えが絶妙で、映画としておもしろかったので上位にランクイン!
4位:『アンナ・カレーニナ』
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ちょっと文芸作品も入れてみようということで・・・(笑) でも、これは好きだった。原作はロシアの文豪トルストイの超有名小説。グレタ・ガルボやヴィヴィアン・リーなど、往年の大女優主演で映画化されてきたけれど、これまでのいわゆる悲恋モノではなく、アンナを美化していないのが好きだった。舞台っぽい演出が良かったのと、ジュード・ロウの演技が素晴らしかったので上位にランクイン。
5位:『LOOPER』
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この作品が去年試写会で見たけど、2013年公開なので今年のベストに含めた作品。よく考えるとツッコミどころ満載なんだけど、あまりに未来的過ぎない近未来の感じが好きだった。トウモロコシ畑にダイナーという逆にレトロな画の中に、未来から送り込まれるターゲットとか。そしてJGL出てるし! JGL好き
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6位:『ルノワール陽だまりの裸婦』
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芸術枠としてランクインした部分もあるけど、やっぱり"芸術"が生まれる背景を美しく描いていたと思うし、何よりリー・ピンビン撮影の画がどこを切り取っても美しい! モデル役のクリスタ・テレとリー・ピンビンの映像がルノワールの絵そのもので感動的!
7位:『スタートレック・イントゥ・ダークネス』
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これは映画としても面白かったけど、完全にベネディクト・カンバーバッチ枠! 何だその枠?(笑) イヤ、感想記事にも書いたけど、いくらリブート作品とはいえ、これは『スタートレック』シリーズを見ていた方が絶対楽しめたと思うので・・・ 自身の勝手な都合なので仕方がないけど、やっぱり残念だった
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8位:『母の身終い』
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これは重かった・・・ 母親の決断についての是非はあると思うし、自分が母の立場だったら実行できるか分からない。現実問題として完全に肯定できるわけではないけれど、映画としては良かったと思う。その瞬間よりもむしろ、淡々とした母の日常の方が切なく感じるのは、やっぱり自分はまだ息子目線だからかも・・・
9位:『東ベルリンから来た女』
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この作品のみ劇場ではなくWOWOWで鑑賞。これはとっても大人な作品。とにかくバルバラがカッコイイ! バルバラには秘密があるため、誰にも心を開かない。それがとってもミステリアス。いつも硬い表情なのに、それでもにじみ出る女性らしさ。彼女に惹かれて優しく見守るライナー医師が、熊っぽくてイケメンじゃないのもイイ(笑)
10位:『ウォーム・ボディーズ』
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『キャビン』と『ロンドンゾンビ紀行』と悩んだ・・・ 『キャビン』もホントに面白かったし、『ロンドンゾンビ紀行』は完全なバカ映画で大好きなんだけど・・・ この映画もバカ映画でおもしろかったし、なによりRがカワイイ
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うーん・・・ まぁ、一応10作品選んでみたけど、今年はコレという作品がなかったので、正直順位はあまり関係ないかも。ランクインしていない作品と、ランクインした作品の評価にもそんなに違いはない。ほぼ、今の気分と全体のバランスで選んだ感じ。
とまぁ、なんだかしまりのない感じになってしまっているけど、今年も自分のペースで映画が見れて楽しかった! 来年はもう少し見たいと思うけど、どうかな?(o´ェ`o)ゞ
最近はなかなか自分からTBしに行けてないけれど、それでもTB&コメントいただけてありがたいです! ありがとうございました!♪感謝☆(人゚∀゚*)☆感謝♪ 来年もよろしくお願いします
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みなさま良いお年を~
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'13.11.01 『ルノワール 陽だまりの裸婦』@TOHOシネマズシャンテ
なんだか急に映画が見たくなり、毎月1日は映画の日で誰でも1,000円じゃないか!と、気づいたわけです。といっても、どうしても見たい映画があったわけではないので、時間が合う作品の中から気になっていた今作をチョイス。
ネタバレありです!
「最愛の妻を亡くし、2人の息子は戦地へ、自身はリウマチを患いほぼ隠居生活を送るルノワール。ある日、彼のもとに亡き妻からモデルになるよう依頼されたとデデという若い女性が訪ねてくる。不審に思いながらも、彼女に強い印象を持ったルノワールはモデルとして雇うことにするが・・・」という話で、物語的要素を加えてはいると思うけど実話。俳優達にあまり見覚えがなかったせいか、まるでドキュメンタリーを見ているかのような感覚。でも、やっぱりこの美しい映像は映画だからこそ!
邦題のサブタイトルが「陽だまりの裸婦」となっているのでデデが主役なのだと思っていたけど、やっぱりこれはルノワールの映画。ただし、彼の生い立ちや人生、画家としての活躍などを描いているのではなく、彼の最晩年にモデルとなったデデと出会い「浴女たち」という作品が生まれ、そして彼がその一生を終えるまでを描いている。ルノワールのことについて詳しくは公式サイトや
Wikipediaを参照していただくとして、この映画の中では5~6人の女性たちに世話されて暮している。リウマチであったことと、筆が握れなくなった手に絵筆をくくりつけて絵を描いていたという話は聞いたことがあったけど、既に歩行も困難で、日常生活のほとんどを女性達の介護がなくては過ごせない状態となっている。ルノワールはリウマチを病んでから、静養のためカーニュ=シュル=メールにレ・コレットという農場を買い移り住んだそうで、これが日本人の感覚からしたらちょっとしたお城。冒頭、デデが自転車で訪ねてくるシーンから始まるのだけど、彼女が門を入ってから家にたどり着くまでかなり自転車で走った。全体像がつかめていないのだけど、山林の中に家があるというようなイメージ。でも、寝室のベランダはシュール・メールというだけに海に面している。この屋敷内に使用人たちがどのくらい暮しているのか不明だけど、戦時中ということもあって男性の数は少ない。でも、女性達は力仕事であっても、それがルノワールに関わることであれば、むしろ自分達でやりたいというような印象。例えば、ルノワールのアトリエは敷地内の少し小高くなった場所にあるけど、歩けない彼をイスに座らせ、女性達がイスの脚を持ち坂道を運んでいく。この光景は印象的だった。
デデはルノワールの妻からモデルになることを頼まれたと言うけれど、妻は既に亡くなっている。結局、真相は明らかにされない。単純にデデがウソをついていたのかもしれないけれど、ルノワールの身の回りのことをすべて取り仕切っていたという妻が、亡くなった後も心配で起こした奇跡と取れないこともない。後にルノワールが妻の幻影と対話するシーンも出てくるけれど、その辺りも彼の夢とも取れる感じになっているし、スピリチュアルなものを描いた作品ということでもない。デデは野心家な女性なので、むしろ前者の可能性が高いかもしれない。前述したとおりデデは実在の人物。彼女の存在がルノワールにインスピレーションを与えたと言われいるのだそう。映画の中ではルノワールが最高のおっぱいだと語っているけど、イヤらしい感じはしないのは芸術家だからなのでしょう。現代の感覚からすると、少し太っている気もするデデだけど、ルノワールの作品の肉感的過ぎる女性たちを見れば納得という感じ(笑) しかし、このデデ役のクリスタ・テレがルノワールが描く女性そのもの! かわいらしい色気がある。
ただ、ルノワールが描く女性は少女のように可憐な印象だけど、デデは野心的で気の強い女性。まぁ、この時代に女優を目指していたのだから、気が強くて当然という気はする。当時は育ちのよい娘さんのする職業ではなかったと思うので・・・ それに野心家なのは悪いことではない。野心のために不正なことをしたり、人を傷つけたりする人には共感できないけれど、進んで踏み台になってくれる人がいて、その人に敬意を払っているのであれば、そういう関係もあっていいと思うし。デデにはルノワールに対する敬意が欠けているような気もするけれど、嫌な女という気もしない。自己主張は激しいけれど間違っているとも思わないし・・・ 前述の女性たちを使用人扱いして非難され、癇癪を起こしてルノワールが絵付けしたお皿を割ってしまうのはどうかと思うけれど(笑) このシーンの女性たちの嫉妬渦巻く火事は見モノ!
ただ、デデには不思議な魅力があることは事実で、屋敷で最初に出会ったルノワール三男クロードも彼女に恋している様子。ルノワール自身にそういう気持ちがあったのかは不明だけど、脚のケガにより戦地から戻ってきた次男ジャンと彼女が恋に落ちると、少し嫉妬していたように感じた。男性はいくつになっても男性ということか? そう考えると、前述の女性たちのデデに対する怒りにも、嫉妬が混じっているということ。彼女たちもモデルになったことがあったようだけれど、もう若くはなくなった今では、モデルになることは出来ない。若く美しいデデに対する嫉妬。芸術家として、男性としてのルノワールを惹きつけていることに対する嫉妬。人間は複雑。その辺りを適度に生々しく、適度に美しく描いているのが良かった。その後、何事もなかったように一緒にいるのも逞しい(笑)
ルノワールには亡くなった妻マリーヌとの間にピエール、ジャン、クロードという3人の息子がいる。次男のジャンは後に有名な映画監督になるけど、この時はまだ21歳の若者。出征していたけれど、前述したとおり脚を負傷したことにより1915年にレ・コレットに戻ってくる。自分の息子が帰還したかのように喜ぶ女性たち。まだ若いジャンが、若く美しいデデと恋に落ちるのは当然の流れ。この辺りにも女性たちの嫉妬とか、愛する息子を取られる母のような気持ちもあるのかもしれない。若い2人の間にはジャンが煮え切らなかったり、また戦地に戻ると言い出したりでいろいろあるけれど、後に結婚することになる。ただし、今作ではそこまで描かれない。
リウマチを患ったルノワールが手に絵筆をくくりつけて描いていたというのは有名な話だけど、どうやら伝説の域を出ないらしい。でも、今作ではルノワールはそのようにして絵を描いている。確かにその方が画家の執念のようなものを見る側に与えることができると思うので、例え本当のことではなかったとしても、この演出はいいと思う。個人的にルノワールのこの伝説は、目を患ったクロード・モネが描き続けた「睡蓮」の、原色を塗りたくったような壮絶さと同様に、心打たれるものがある。そこまでして描きたいのだという部分にも感動するれど、やはり画家にとって描くことということは、人生そのものなのだろうと思ったら本当に胸が熱くなった。もちろん辛いことも、苦しいこともたくさんあっただろうけれど、自分全てであるという存在にめぐり合えたということは幸せなのかもしれない。でも、同時に不幸でもあるのかも・・・ 事実、彼の息子たちは、自分たちや母親よりも絵を優先してきたことに不満を持っている様子。
映画の中では既に妻は他界しているし、長男のピエールは1シーンしか登場しないので、家族の不満と言っても主にジャンとクロードの不満と言うことになる。でも、思春期真っ只中のクロードは仕方がないとしても、同じ芸術を愛する者として、ジャンには父への思いを画家ルノワールへの尊敬という形に変えることが出来ているように思う。ただ、映画ではルノワールの最晩年しか描かれていないので、実際のルノワールが家族を大切にしていなかったのかは不明だし、今作でも気難しく頑固で独断的な面はあるものの、ダメな父親ではないし、愛情表現が下手だけれど息子たちを愛していることがきちんと伝わるように描かれている。体を動かすこともままならないルノワールが、再び戦地へ赴くジャンを抱きしめるため立ち上がるシーンは感動
息子たちとの関係と、自身が生涯最高傑作と語る「浴女たち」製作の過程を交えて描く。デデはこの作品に大きな影響を与えたのだそう。それは、彼女の若々しい肉体と、完璧なおっぱいゆえなのかな(笑) 映画の中ではいつものように女たちが椅子を抱え、デデと共に河原に出かけるシーンがある。ドレスの裾をまくり水遊びする女たち。河原でのピクニック。風に舞う布・・・ 美しいシーンだった。実際に行われたことなのか、映画の中だけのことなのかは不明。「浴女たち」のアングルを見てもよく分からない。でも、このシーンは好き。
映画はルノワールが亡くなって終る。ジャンはアメリカに渡り世界的な映画監督になったこと、デデは女優を志しジャンと共にアメリカに渡り、2人は結婚したものの後に離婚。デデは女優として成功することは叶わず、いつしか皆の記憶からも薄れて行ったとクレジットされる。デデは手放しで感じのいい女性とは言い切れないかもしれないけれど、あんまり冷たい言い方だなと思っていた。でも、後から考えたら2人の偉大な芸術家の作品を生み出す力を与えた女性なのだという趣旨の、この映画を作ったこと自体がデデへの賞賛なのだなと気づき、少しうれしくなった。
フランス映画は好きなんだけど、あんまり見ている方じゃない。だから、役者さんもあまり知らない。ルノワール役のミシェル・ブーケは名前は知っていたけど、出演作を見たのは始めてかも? ほぼ体の自由がきかないというだけでも大変な役のに、それでも彼が偉大な画家であるということを感じさせる演技が素晴らしい。そして、1人の父親としては不器用で、臆病でもあるという部分も良かったと思う。ジャンのために立ち上がるシーンは感動的。アンドレ(デデ)のクリスタ・テレも良かった。デデは悪い娘ではないけれど、生活のために裸婦モデルになったり、いかがわしいお店に出入りしなくてはならない。そういうはすっぱな感じと、それでも2人の芸術家のミューズたる気高さは感じられた。決して自分を曲げないというのは、ある意味厄介ではあるけれど、きちんと筋が通っていれば潔さでもある。そういう部分に説得力があった。そして、何よりルノワールの描いた少女そのもの! ふくよかな裸体を美しいと思うかは別として、ルノワール好きとしては絵の少女が現れた!と、うれしくなった。きっと監督も同じ思いだったに違いない( ̄ー ̄)ニヤリ
そして! この映画を見たいと思った理由でもあるリー・ピンビンの映像が素晴らしい! 例えいかがわしいお店であっても、どのシーンを切り取っても美しい! 特に邦題にもある"陽だまり"の映像! ほとんどがルノワールのアトリエや、屋敷の中、そしてレ・コレットの敷地内(実際のロケ地かは不明)が舞台となっているけど、特にアトリエや庭での光が印象的。ホントにルノワールの絵画を見ているかのようなやわらかな光。黄色い光というか・・・ まさに陽だまり! この映像は素晴らしい!
ということでホントは劇場の大きな画面でこの映像を見て欲しかったけれど、書くのすっかり遅くなっちゃったから、もうやってない・・・
でもDVDでも十分伝わるハズ!
そうそう! 「浴女たち」はコチラになります!ドゥゾ♪(っ'ω')っ))
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うーん・・・ 個人的には初期から中期の作品の方が好きだな・・・ 特に少女の清らかなかわいらしさの中に、それでもにじみ出てしまう色気を感じさせるのはルノワールならでわだと思うので・・・
芸術が生まれる瞬間に興味がある方オススメ、ルノワール好きな方是非! リー・ピンビン好きな方必見!!
『ルノワール 陽だまりの裸婦』Official site
なんだか急に映画が見たくなり、毎月1日は映画の日で誰でも1,000円じゃないか!と、気づいたわけです。といっても、どうしても見たい映画があったわけではないので、時間が合う作品の中から気になっていた今作をチョイス。
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邦題のサブタイトルが「陽だまりの裸婦」となっているのでデデが主役なのだと思っていたけど、やっぱりこれはルノワールの映画。ただし、彼の生い立ちや人生、画家としての活躍などを描いているのではなく、彼の最晩年にモデルとなったデデと出会い「浴女たち」という作品が生まれ、そして彼がその一生を終えるまでを描いている。ルノワールのことについて詳しくは公式サイトや
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デデはルノワールの妻からモデルになることを頼まれたと言うけれど、妻は既に亡くなっている。結局、真相は明らかにされない。単純にデデがウソをついていたのかもしれないけれど、ルノワールの身の回りのことをすべて取り仕切っていたという妻が、亡くなった後も心配で起こした奇跡と取れないこともない。後にルノワールが妻の幻影と対話するシーンも出てくるけれど、その辺りも彼の夢とも取れる感じになっているし、スピリチュアルなものを描いた作品ということでもない。デデは野心家な女性なので、むしろ前者の可能性が高いかもしれない。前述したとおりデデは実在の人物。彼女の存在がルノワールにインスピレーションを与えたと言われいるのだそう。映画の中ではルノワールが最高のおっぱいだと語っているけど、イヤらしい感じはしないのは芸術家だからなのでしょう。現代の感覚からすると、少し太っている気もするデデだけど、ルノワールの作品の肉感的過ぎる女性たちを見れば納得という感じ(笑) しかし、このデデ役のクリスタ・テレがルノワールが描く女性そのもの! かわいらしい色気がある。
ただ、ルノワールが描く女性は少女のように可憐な印象だけど、デデは野心的で気の強い女性。まぁ、この時代に女優を目指していたのだから、気が強くて当然という気はする。当時は育ちのよい娘さんのする職業ではなかったと思うので・・・ それに野心家なのは悪いことではない。野心のために不正なことをしたり、人を傷つけたりする人には共感できないけれど、進んで踏み台になってくれる人がいて、その人に敬意を払っているのであれば、そういう関係もあっていいと思うし。デデにはルノワールに対する敬意が欠けているような気もするけれど、嫌な女という気もしない。自己主張は激しいけれど間違っているとも思わないし・・・ 前述の女性たちを使用人扱いして非難され、癇癪を起こしてルノワールが絵付けしたお皿を割ってしまうのはどうかと思うけれど(笑) このシーンの女性たちの嫉妬渦巻く火事は見モノ!
ただ、デデには不思議な魅力があることは事実で、屋敷で最初に出会ったルノワール三男クロードも彼女に恋している様子。ルノワール自身にそういう気持ちがあったのかは不明だけど、脚のケガにより戦地から戻ってきた次男ジャンと彼女が恋に落ちると、少し嫉妬していたように感じた。男性はいくつになっても男性ということか? そう考えると、前述の女性たちのデデに対する怒りにも、嫉妬が混じっているということ。彼女たちもモデルになったことがあったようだけれど、もう若くはなくなった今では、モデルになることは出来ない。若く美しいデデに対する嫉妬。芸術家として、男性としてのルノワールを惹きつけていることに対する嫉妬。人間は複雑。その辺りを適度に生々しく、適度に美しく描いているのが良かった。その後、何事もなかったように一緒にいるのも逞しい(笑)
ルノワールには亡くなった妻マリーヌとの間にピエール、ジャン、クロードという3人の息子がいる。次男のジャンは後に有名な映画監督になるけど、この時はまだ21歳の若者。出征していたけれど、前述したとおり脚を負傷したことにより1915年にレ・コレットに戻ってくる。自分の息子が帰還したかのように喜ぶ女性たち。まだ若いジャンが、若く美しいデデと恋に落ちるのは当然の流れ。この辺りにも女性たちの嫉妬とか、愛する息子を取られる母のような気持ちもあるのかもしれない。若い2人の間にはジャンが煮え切らなかったり、また戦地に戻ると言い出したりでいろいろあるけれど、後に結婚することになる。ただし、今作ではそこまで描かれない。
リウマチを患ったルノワールが手に絵筆をくくりつけて描いていたというのは有名な話だけど、どうやら伝説の域を出ないらしい。でも、今作ではルノワールはそのようにして絵を描いている。確かにその方が画家の執念のようなものを見る側に与えることができると思うので、例え本当のことではなかったとしても、この演出はいいと思う。個人的にルノワールのこの伝説は、目を患ったクロード・モネが描き続けた「睡蓮」の、原色を塗りたくったような壮絶さと同様に、心打たれるものがある。そこまでして描きたいのだという部分にも感動するれど、やはり画家にとって描くことということは、人生そのものなのだろうと思ったら本当に胸が熱くなった。もちろん辛いことも、苦しいこともたくさんあっただろうけれど、自分全てであるという存在にめぐり合えたということは幸せなのかもしれない。でも、同時に不幸でもあるのかも・・・ 事実、彼の息子たちは、自分たちや母親よりも絵を優先してきたことに不満を持っている様子。
映画の中では既に妻は他界しているし、長男のピエールは1シーンしか登場しないので、家族の不満と言っても主にジャンとクロードの不満と言うことになる。でも、思春期真っ只中のクロードは仕方がないとしても、同じ芸術を愛する者として、ジャンには父への思いを画家ルノワールへの尊敬という形に変えることが出来ているように思う。ただ、映画ではルノワールの最晩年しか描かれていないので、実際のルノワールが家族を大切にしていなかったのかは不明だし、今作でも気難しく頑固で独断的な面はあるものの、ダメな父親ではないし、愛情表現が下手だけれど息子たちを愛していることがきちんと伝わるように描かれている。体を動かすこともままならないルノワールが、再び戦地へ赴くジャンを抱きしめるため立ち上がるシーンは感動
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息子たちとの関係と、自身が生涯最高傑作と語る「浴女たち」製作の過程を交えて描く。デデはこの作品に大きな影響を与えたのだそう。それは、彼女の若々しい肉体と、完璧なおっぱいゆえなのかな(笑) 映画の中ではいつものように女たちが椅子を抱え、デデと共に河原に出かけるシーンがある。ドレスの裾をまくり水遊びする女たち。河原でのピクニック。風に舞う布・・・ 美しいシーンだった。実際に行われたことなのか、映画の中だけのことなのかは不明。「浴女たち」のアングルを見てもよく分からない。でも、このシーンは好き。
映画はルノワールが亡くなって終る。ジャンはアメリカに渡り世界的な映画監督になったこと、デデは女優を志しジャンと共にアメリカに渡り、2人は結婚したものの後に離婚。デデは女優として成功することは叶わず、いつしか皆の記憶からも薄れて行ったとクレジットされる。デデは手放しで感じのいい女性とは言い切れないかもしれないけれど、あんまり冷たい言い方だなと思っていた。でも、後から考えたら2人の偉大な芸術家の作品を生み出す力を与えた女性なのだという趣旨の、この映画を作ったこと自体がデデへの賞賛なのだなと気づき、少しうれしくなった。
フランス映画は好きなんだけど、あんまり見ている方じゃない。だから、役者さんもあまり知らない。ルノワール役のミシェル・ブーケは名前は知っていたけど、出演作を見たのは始めてかも? ほぼ体の自由がきかないというだけでも大変な役のに、それでも彼が偉大な画家であるということを感じさせる演技が素晴らしい。そして、1人の父親としては不器用で、臆病でもあるという部分も良かったと思う。ジャンのために立ち上がるシーンは感動的。アンドレ(デデ)のクリスタ・テレも良かった。デデは悪い娘ではないけれど、生活のために裸婦モデルになったり、いかがわしいお店に出入りしなくてはならない。そういうはすっぱな感じと、それでも2人の芸術家のミューズたる気高さは感じられた。決して自分を曲げないというのは、ある意味厄介ではあるけれど、きちんと筋が通っていれば潔さでもある。そういう部分に説得力があった。そして、何よりルノワールの描いた少女そのもの! ふくよかな裸体を美しいと思うかは別として、ルノワール好きとしては絵の少女が現れた!と、うれしくなった。きっと監督も同じ思いだったに違いない( ̄ー ̄)ニヤリ
そして! この映画を見たいと思った理由でもあるリー・ピンビンの映像が素晴らしい! 例えいかがわしいお店であっても、どのシーンを切り取っても美しい! 特に邦題にもある"陽だまり"の映像! ほとんどがルノワールのアトリエや、屋敷の中、そしてレ・コレットの敷地内(実際のロケ地かは不明)が舞台となっているけど、特にアトリエや庭での光が印象的。ホントにルノワールの絵画を見ているかのようなやわらかな光。黄色い光というか・・・ まさに陽だまり! この映像は素晴らしい!
ということでホントは劇場の大きな画面でこの映像を見て欲しかったけれど、書くのすっかり遅くなっちゃったから、もうやってない・・・
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そうそう! 「浴女たち」はコチラになります!ドゥゾ♪(っ'ω')っ))
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うーん・・・ 個人的には初期から中期の作品の方が好きだな・・・ 特に少女の清らかなかわいらしさの中に、それでもにじみ出てしまう色気を感じさせるのはルノワールならでわだと思うので・・・
芸術が生まれる瞬間に興味がある方オススメ、ルノワール好きな方是非! リー・ピンビン好きな方必見!!
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