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【cinema / DVD】『よりよき人生』

2014-07-04 00:00:00 | cinema / DVD
『よりよき人生』鑑賞
録画しといた『よりよき人生』鑑賞。うーん・・・ 主人公と少年が実の親子のようになっていく過程は、辛い状況ながら心温まるのだけど、いくらなんでも主人公の見積もりが甘すぎでは? ハッピーエンドと呼べるオチも、相手が悪人ならなんでもOKという解決方法はどうなのか? Posted at 10:41 PM



ネタバレありです! 結末にも触れています! 辛口

「学食の厨房で働くヤンは、シェフとしての仕事を探していた。仕事を断られた店で働いていたレバノン出身のナディアと意気投合し、彼女の息子とも一緒に郊外デートする仲に。彼らとの人生を考えていたヤンは、自分の理想であるレストランにピッタリの物件を見つけて・・・」という話。うーん。WOWOWのガイド本の紹介文では、銀行の融資は下りたものの、営業許可が出ずに苦境に陥ってしまうというのは知っていたので、ある程度のダメ男さ加減は覚悟していたのだけど、これは・・・(笑) 1組の男女が出会って、彼女の連れ子と共に家族になっていく姿に、移民問題や消費者金融の問題などを絡めて描きたいのかなと思う。そういう意味ではよく出来ていると思うし、決して飽きてしまうこともなかったのだけど・・・

ヤンがよりよい仕事をと考えるのは当然だと思うし、シェフとして自分の腕を試したいと考えるのもいいと思う。足を運んで就活して努力しているのも素晴らしい。現実は厳しいのも分かる。就職を断られた店で出会ったナディアに好意を抱き、彼女の仕事明け(午前3時!)に飲みに行く約束をするのも、そのまま即男女の仲になってしまうのも、少々ビックリするけど、描きたいのは恋愛じゃなくて、彼女との今後の関係なのでそこは端折ってOK(笑) 小学生のスリマンも難しい年頃ながら、ヤンに懐いていい感じ。ヤンの希望の仕事は見つからないながらも、幸せな滑り出し。この後の2人の運命と対比になっている。

ある日3人で遊びに出かけた湖畔で、廃墟となったレストランを見つける。ヤンが何料理のお店を開くつもりなのか不明だけど、石釜(字幕では暖炉ってなってたけど、石釜だよね?)もあって理想的らしい。早速、業者に電話してしまうヤン。戸惑うナディアに話を聞くだけと言うものの、どんどん突っ走ってしまう。不動産などは出会いだから、気に入った物件があった時に多少無理をしてでも手に入れたいという気持ちは分かるんだけど、即決して銀行に融資の申し込みに行ってしまうのは少々短絡的。なんて思っていると、頭金4万ユーロの当てもないのに、はったりで融資を通してしまう。実際、フランスの不動産や、建築費などの相場が分からないので、主人公が語る見積もりが順当な感じなのか、甘いのか不明なのだけど、銀行の担当者が言うには頭金4万ユーロもギリギリのところらしい。4万ユーロって1ユーロ140円として560万だよね?! まぁ、レストランを開店しようと考えている人ならば、そのくらい貯めているだろうとは思うけれど、当然のようにヤンは貯めていない┐(´д`)┌

銀行の融資担当には、複数の金融機関からの借り入れはしないことと言われたのに、頭金4万ユーロを作るために6社の消費者金融から借金してしまう。もう、この時点で多重債務決定でしょう。第三者からすれば、どう考えても無謀な計画なのに、レストラン開業という夢を見てしまっているヤンには現実は見えない。ヤンの目論見としては、周囲の町から4~5キロ以内の場所にあり、近くにレストランはない。だから、絶対流行るハズだというのだけど、だったら何故前任者は閉店しているのだろう?とは考えない。まぁ、単純に健康上の理由かもしれないけど、かなり広い店舗なので普通に考えて、ここが満席になった場合、ホール担当や厨房担当で最低でも5人は雇わないといけないと思うし・・・ でも、このヤンの論調で融資担当は納得したのだから、あながち無謀でもないのか?

知人の業者に依頼しつつ、内装は自分たちでも直していく。料理も試作したりと順調。魚料理でフレンチっぽかったけど、なかなかおいしそう。さていよいよ消防局(?)の調査が入るけど、消防法を満たしていないので営業許可が下りない。工費を抑えるためヤン自身が手抜き工事をさせていたのだった。今からやり直すには2万ユーロかかると言われるけれど、当然ながらそんなお金はない! 銀行の融資担当はこの結果を受けて、ヤンをブラックリストに載せてしまう。仕方がなくソーシャルワーカーに相談に行くと、既に多重債務でどうすることもできない。一度ブラックリストに載った者に融資する銀行はないということで、残された唯一の道は店を売ることだと言われる。店を売ってそのお金で小さな店を買えという至極まっとうな話。でも、ヤンはどうしても諦めきれない。こうなると意地というか、もう意固地な感じなんだろうね・・・

ソーシャルワーカーの言うとおり店を売ろうというナディアに大声を上げてしまうヤン。ナディアはスリマンを連れて出て行ってしまう。でも、ナディアもギリギリの生活。勤めていた店からモントリオールに出した店のホールマネージャーとして働かないかという申し出を受けることにする。ただし、最初の数か月は同僚と相部屋だから、スリマンを連れて行けないので、彼を預かってくれないかと連絡が入る。この申し出を受けるヤン。まぁ、断れないよね・・・ いよいよ困ったヤンは紹介された闇金融の男に言われるまま、店の営業権を売り、住んでいたトレーラーハウスを売り、斡旋された月350ユーロの部屋に移る。この部屋約5万か・・・ パリ郊外のサン=ドニが舞台だそうだけれど、かなり物価高いんだね。足元見られているのかもしれないけれど・・・

食べるのもやっとという状況で、何とか暮らしているけれど、スリマンが万引きしてしまい109ユーロの靴を買い取る羽目になったり、彼が学校を無断欠席したために、養護施設に入れるべきだと言われたり。もうどんどんどん底へ・・・ 再度、ソーシャルワーカーを訪ねるも、まだ店を売っていないのかと言われる始末。親戚に頼れないのかと問われると、里親に育てられたのでと答える。里親だって親子のような関係が築けていれば、資金援助してもらえることだってあると思うけれど、関係が切れてしまっているのか、そもそも里親にもそんなお金はないのか・・・ 以前、働いていたレストランの経営者を頼ろうと、連絡をすると会ってくれるというので、はるばる行ってみるも4日間も出張だと待たされた挙句、秘書は断るのが苦手なので空約束が多いのだと打ち明ける。要するに、ヤンと会う気はないということ。まぁねぇ15年前に働いていた従業員を助けなきゃならない義理はないわけで、ヤンにとっては藁をもすがる思いなのは分かるけれど、これはもうどうにもならない・・・

もう、どんどん落ちていくので、見ていて辛いのだけど、例えばスリマンの万引きにしても、どこかコミカルなので、そんなに悲惨な感じはしない。同じアパートに住む黒人女性が廊下に洗濯物を干すなと、闇金融の男に嫌がらせされると、後から洗濯物を干しても構わないと言いに行ったりする。ちょっとズレてる気がしないでもないけど、そういう純粋な人ではある。ただ、純粋がゆえに無知というか、大人に成りきれていないというか・・・ 自分のものになるはずだった店を見に行くと、方向性は違うけれどそれなりに流行っている様子。経営者に買取を持ちかけるけれど、高過ぎると断られる。その直後、闇金融の男に呼び出され、店を売るように言われる。ヤンの言い値は35万ユーロだったけれど、男の言い値は5万! それでも借金返済の目途が立たない以上、男の条件を飲むしかない。

学食の冷蔵庫から野菜などを盗み、スリマンと売って歩くなど、本当にどん底人生に。ある日、暴力的な取り立てをしている闇金融の男を発作的に襲ってしまい、男のお金も盗んでしまう。必要なものを取りに戻ると、家を斡旋したのは闇金融の男なのだから、当然追って来るけれど間一髪逃げることに成功! スリマンを学校からピックアップして、2人で空港へ向かう。スリマンのパスポートや、通行許可証は事前にナディアが用意していたけれど、ヤンのパスポートはいつ?と思うけれど、まぁそのツッコミはなしで(笑) 2人はモントリオールを目指す。半年以上連絡が途絶えているナディアを探すため、消息を知るであろう元同僚を訪ねる。初めは口を閉ざしていたけれど、スリマンの姿を見て話してくれる。労働許可証がなかったため、レストランでの仕事ができなかったナディアは、ホテルの清掃係(だったかな?)として働いていたが、この同僚の紹介で訪問販売の仕事を始めた。とっても順調だったが、ある日警官が家に訪ねて来た。ナディアはそれとは知らず、麻薬の売買をさせられていたのだった。この元締めの男を逮捕するため、ナディアは拘留されているのだという。移民問題を描きたいのは分かるのだけど、いくらなんでも盛り込み過ぎじゃないかな(笑)

結局、ヤンはこの町で仕事を見つけ、スリマンとともにナディアの出所を待つことにする。ラストはスリマンと2人でスノーモービルに乗って幸せそうな姿で終わる。希望の持てるラストだし、見渡す限り真っ白な景色は美しく、3人の人生はこれからだという描写なのだと思うけれど、これでいいのか?(笑) イヤ、闇金融の男がしていることは、取り立て方法も含めいろいろ違法なのだろうけれど、だからといってお金を盗んでいいことにはならないような・・・ まぁ、悪人からしか盗みをしない盗人などという、悪人だけど正義みたいな話は洋の東西を問わずあるけど、そういう話とも違うし。確かに、近所の黒人女性への取り立てなどの態度は酷かったかもしれないけれど、主人公は暴力を振るわれたわけでもないし、おそらくいろいろボラれた部分はあるのだろうけれど、そもそも多重債務になったのはヤンの見積もりの甘さだし・・・ しかも銀行のローンて払い終わってないよね? カナダでも就労ヴィザとかないのにどうするのかな? とか、細か過ぎ? でも、気になってしまったので(笑) ナディアとスリマンには幸せになって欲しいと思うけれど、ヤンはそれでいいのか? と、ちょっとスッキリしないものが残った。

ヤンはギョーム・カネ。『ヴィドック』と『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』で見ているけど、『ヴィドック』は全然覚えてない(o´ェ`o)ゞ でも、彼の優しげな風貌が、少々頼りないながらも憎めなくて、どうにも見積もりの甘いヤンに、イライラせずに見ることが出来た。彼の苦境を一緒になって、どうにかならないかと考えていた時もあったし(笑) それは、ギョーム・カネのおかげ。ナディアのレイラ・ベクティは初めて見たけど、可憐な容姿の中に強さがあって良かったと思う。男性が守ってあげたくなるタイプ。スリマンのスリマン・ケタビくんがかわいかった! 万引きしちゃったりして、より面倒を引き起こしてしまうけれど、彼の存在がヤンを救っていたことは事実だし、見ている側も彼の存在で癒されて、この負のスパイラルを見続けることが出来た。

他の方の意見も見てみようと思ったら、cocoでは意外に評価が高かった! あれま? 見る目が厳し過ぎるか自分?(笑) まあ、何度も言うけど貧困層の問題や、移民問題などを描きたいのだろうから、そういう意味では十分過ぎるほど伝わって来たので、確かに良い映画と言えるかもしれない。

というわけで、個人的には手放しでオススメ!とは言いにくいのだけど、決してダメな映画ではないし、cocoの評価が高かった方の意見では「家族愛」の話として見ている方が多く、そういう面では確かに良い映画かもしれない。家族が最終的に幸せになるのであれば、途中経過が少々辛くても我慢できるという方オススメ←なんだそれ(笑) 韓流好きな人好きかも?

よりよき人生|映画|WOWOWオンライン


http://twitter.com/maru_a_gogo


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