'15.05.23 『チャッピー』鑑賞@TOHOシネマズ日本橋
『シェフ 三ツ星フードトラックはじめました』(感想はコチラ)の試写会で、ソニー・ピクチャーズ試写室におじゃました時(記事はコチラ)、ロビーにいたチャッピーの姿を見て、見たいと思った。試写会応募した覚えがないんだけど、試写会自体はあったんだよね? あんまり本数なかったのかな? ということで、ポイント溜まったので、公開初日に行ってきたー
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「凶悪犯罪多発都市であるヨハネスブルグ。警察はロボット警官を導入し着実に検挙率を上げていた。若き開発者ディオンの社内での株は上がり、同僚のムーアは嫉妬心を燃やしていた。世界初の人類の知能を超える人工知能開発に成功したディオンは、ロボット警官に搭載し試験したいと申し出るが、却下されてしまう。諦めきれないディオンは、廃棄処分予定の22号に無断で搭載してしまい・・・」という話。おもしろかった! これは正しいバカ映画! 当blogではホメ言葉として使っている"バカ映画"とは、尊敬するMJことみうらじゅん氏言うところの、一生懸命作った結果バカになってしまっている作品。最初からバカであることを狙っている作品ではなくて、本人たちは真面目に作っている作品のことを言う。自分の中のイメージとしてはボリウッド製作のインド映画。バカであることを狙っていないというのは、この場合コメディ要素を入れないということではなくて、コメディ要素とバカであることはちょっと違う。あくまでMJの定義を自分で勝手に解釈したことなので、本来の意図とは違っているかもしれないし、それ以外は認めないというものでもない。単純に自分の中での基準であり、自分はこのバカ映画が大好きであるということ。そして、今作がとってもおもしろかったと言いたいわけです!
『第9地区』(感想はコチラ)のニール・ブロムカンプ監督作品。2作目『エリジウム』(未見)は近未来のL.Aが舞台だったけど、再び故郷の南アフリカを舞台とした作品。毎度のWikipediaによりますと、どうやら2004年にニール・ブロムカンプ監督が製作した短編映画『Tetra Vaal』を長編化したものなのだそう。この、短編映画のことがよく分からないのだけど、今作で登場する兵器メーカーの社名がTetravaalとなっている。Tetra Vaalで検索すると、動画が見れたので後で貼っておく。貧民街のようなところにいるロボットって図が興味深い。01:21の動画だけど既にチャッピーっぽい動き。2004年製作ってことは、10年前か。なるほど。主要撮影は2013年10月下旬に南アフリカ共和国のヨハネスブルグで始まり、2014年2月に終了。2014年4月にカナダのブリティッシュコロンビアで追加撮影が行われたとのこと。2015年2月6日、ソニー・ピクチャーズはIMAXでも公開すると発表。アメリカでは2015年3月6日に公開された。日本版はPG12対応のため一部シーンがカットされ、ソニー・ピクチャーズ側は監督にも賛同を得ていると説明したが、監督は自分は知らないと述べ、物議をかもした。カットなしで見たかったけれど、あのシーンかな?と思う部分はあったものの、話の流れ的には問題なかったと思う。個人的には、後から知った、シャールト・コプリーのカメオ出演シーンに全く気付かなかったのが残念 ちなみに、今作の主演であるシャールト・コプリーは、人間だった『第9地区』とは違い、チャッピーとして登場するので、声とモーションキャプチャーでの出演ということになっている。
冒頭、ヨハネスブルグの空撮から。高層ビルが並ぶ街並みも独特の雰囲気。やっぱり、東京やNew Yorkなどの街並みとは違う。暗い雰囲気。そこにニュース映像が被ってくる。チラシなどのあらすじでは近未来となっているけど、確か2016年って言ってたような・・・ 違ったかな? まぁ、来年も近未来って言えばそうだけど。要するにかなりの近未来(笑) 凶悪犯罪が多発し、殉職警官が後を絶たず、政府はTetravaal社の警官ロボットを導入。人工知能(AI)を搭載したロボットは、自分たちで判断して任務にあたることができ、修理も可能で量産もできるということで、着実に成果を上げていた。そこで「チャッピーのような例は稀です」とインタビューに答える人物。この人物が男性だったか、女性だったかも忘れてしまうくらいサラリと入ってくる主人公の名前にニヤリ。同じくドキュメンタリータッチで入った『第9地区』を彷彿とさせる導入部に期待もふくらむ。
このTetravaal社では警官ロボットの生産と修理を行っていて、破損部分があると修理を行ったり、スクラップにしたりするらしい。それぞれの警官にはナンバリングがされていて、No.22が頭部の一部を破損して修理工場に運ばれてくる。修理可能な破損のため、新たな部品を装着することになるけど、ここで他のロボットと違うオレンジ色の部品に交換される。そして修理工のセリフからNo.22は修理回数が多いことが分かる。この辺り他のロボットと区別しやすくなっていたり、後の伏線になったりしている。結構高度なAIらしいのに、そんな感じの修理方法なのねと思ったりするのだけど、この感じは伏線含めて好き。おそらく、そもそも他のAIと違っているというのが重要なんだと思う。その後、No.22は立てこもり犯のもとに突入し、逆に撃たれてしまい廃棄処分となってしまう。ここも重要。
諸事情により感想後回しになっていたため、ちょっと詳細が忘れ気味に
せっかくなので詳細に書きたいけど無理かも・・・
Tetravaal社のロボット警官開発者であるディオン・ウィルソン(デヴ・パテル)が新たなAI開発に意欲を燃やしていた。もう少しで完成というところまで来ている。彼は自宅に持ち帰りレッドブルをがぶ飲みしながら徹夜でプログラミングを行う。何度も何度も書いておりますが、全くの文系脳なのでディオンが何をしているのかサッパリ。ついでにレッドブルを飲むとそんなに保てるのかも不明(笑) 明け方にプログラムは完成する! 早速、社長(?)のミシェル・ブラッドリー(シガニー・ウィーバー)に開発を持ちかけるも却下されてしまう。諦めきれないディオンは廃棄処分となったNo.22を勝手に持ち出してしまう。今作にはディオンをよく思わない同僚のヴィンセント・ムーア(ヒュー・ジャックマン)というハッキリとした悪役が、後に大変なことをやらかすので、この時点でのディオンの行動は、チャッピー誕生の流れということになっていて、暴走という描かれ方はしていないけれど、実際はかなりの暴走。まぁでも、そうしないとチャッピーが生まれないのでOK。
一方、No.22が逮捕に向かった犯人たち、ニンジャ(ニンジャ/Die Antwoord)、ヨーランディ(ヨ=ランディ・ヴィッサー/Die Antwoord)、アメリカ(ホセ・パブロ・カンティージョ)の3人は辛くも逃げ切ったものの、その元締め的な人物に多額の借金を抱えており、この襲撃が失敗したため返済が滞っていた。1週間以内に全額返済しなければならない。困った彼らが見つけたのは不審な動きをするディオン。彼らは大した計画もなくディオンを誘拐してしまう。自分たちのアジトに連れてきた彼らは、ディオンがロボット警官1体を持っていること、新たなプログラミングを行えば、自分たちの意のままに動くロボットが出来ることを知り、ディオンを脅かしてプログラムを起動してしまう。おもしろいのは、用済みとなったディオンは解放されるのだけれど、AIが気になる彼はこの後何度も自らアジトへやって来ること。
何かの記事にも書いたけれど人工知能というのは育てなければならないそうで、起動されたNo.22は要するに赤ちゃんと同じ。ここで意外な母性本能を発揮するヨーランディ。眉毛もなかったりする個性的すぎる容姿だし、銃も撃ちまくるヨーランディだけど、アジトは彼女なりにかわいく暮らしているようだし、やっぱり女性なのでしょう。彼らは廃墟となった巨大な倉庫のようなところで暮らしているのだけど、これがなかなかアーティスティック。グラフィティ的な方向でっていう意味だけど(笑) ヨーランディはNo.22にチャッピーと名付けてかわいがり始める。そんな名前ダメだとディオンが叫ぶのが笑えるけど、残念ながらこの名前になる。ロボットだから感情があるとは思っていないニンジャとアメリカは理解できないようだけれど、ヨーランディはチャッピーがおびえていることなどを感じ取る。そういうのを感じ取るのは母性本能なんだろうな。やっぱり。この瞬間からヨーランディはチャッピーの母となる。多分、ヨーランディは聖母マリアということなのだと思う。
ヨーランディがママなら、ニンジャがパパってことで、こちらもチャッピーにいろいろ教えて行くのだけど、彼はそもそもチンピラだし、チャッピーを"子供"とは思っていないので、当然ながらまともなことなど教えない。銃の撃ち方、強盗の仕方。チャッピーは無邪気に学習していく。それでもチャッピーに自我が芽生えてくると、ちょっとイライラするニンジャ。チンピラたちの中にロボット警官の姿をしているチャッピーを置き去りにするのはヒドイ ロボット警官は敵なのだから、当然ボコボコにされてしまうチャッピー。火までつけられてしまう。人工知能というものが"痛み"も感じるものなのかは分からないけど、チャッピーは恐怖を感じていたし、心が傷ついたのも事実。この辺りの描写がAIに当てはまることなのか、やはりチャッピーが特殊なのかは、文系OLちゃんにはサッパリ分からない(o´ェ`o)ゞ
実はチャッピーには寿命がある。体内バッテリーが切れてしまえばチャッピーは死んでしまう。自分の死を恐れるチャッピー。それは数日単位で訪れる。ニンジャは新しいロボットを買ってあげると騙して彼に強盗をさせるのだけど、もちろんそんなことをするつもりはない。毎日のように訪ねてきているディオン。正確なセリフは忘れてしまったけれど、チャッピーが彼に、死ぬ運命なのに何故生み出したのだという主旨のことを言うのが印象的。なるほど、これはキリスト教の話でもあるんだね。ヨーランディが聖母マリアで、ニンジャがヨゼフであり、ディオンが創造主だとすると、チャッピーはイエス・キリストということなのかな? そして、この問いかけは人間が創造主=神に対する問いかけでもあるのでしょう。何故、死ぬ運命に生み出したのだ 実はなかなか深い話だった。この問いにディオンは何て答えてたかな? 忘れているってことは、多分納得できる答えではなかったような・・・
チャッピーはどんどん知能が上がっていき、自分の死を回避することにとらわれて行く。新たなボディに自分の意識をDLすればいいのだということを思いつく。この辺りになると、文系OLちゃんはついてけなくなって来るのだけど、ボンヤリとした理解ではそういうことだと思う。 この憑りつかれたようなチャッピーの表現は見事。もちろん、シャールト・コプリーの演技によるものだけど、この映像処理もスゴイ。
今作の悪役ムーアはディオンに激しく嫉妬していて、はた目にも異常なくらいディオンを目の敵にしている。そんな中、どうやらディオンがロボット警官を1体社外に持ち出したことをに気づく。この辺りがちょっと記憶が曖昧で、しかもそもそもちゃんと理解できていなかっただけど、要するに重要なカードキーを悪用してしまう。そのわり立てた計画が子供っぽくてズサンだったりするのだけど(笑) ムーアも開発者なので、当然ロボットを開発している。ムースという巨大ロボット。チャッピーのように自らの意思を持っているわけではなくて、ヘルメット的な装置を被った人間と脳波をつなげて、操作するんじゃなかったかな? かなり重要なポイントだけど曖昧な記憶(笑) でも、確かその辺りの不便さや、見た目のゴツさや大きさが受け入れられず、上司からかなり強烈にダメ出しされてたような気がする。元兵士でプライドの高いムーアにとって、このダメ出しは屈辱的。そのイライラのはけ口がディオンへの嫉妬という形で表れて、イヤミを連発するだけでなく、難癖をつけて机に顔を押し付けたりして、明らかにどうかしている。
このどうかしているムーアは、カードキーを使って、全ロボット警官の機能を停止させてしまう。ロボット警官たちの代わりにムースが活躍するという場を作りたいということだと思うのだけど、この後ムーアは思いがけない行動に出る。ロボット警官たちにチャッピーとディオンを襲わせるのだった。イヤ、いくら妬ましいからと言って、ムーアの評価を上げればいいだけじゃない?とか思うけれど、描きたい世界があるため、今の世界を破壊する人という位置づけなのかもしれない。
ロボット警官+ムーア vs チャッピーたちの戦いが繰り広げられ、その中でディオンが撃たれて瀕死の重傷を負い、ヨーランディが命を落としてしまう。ヨーランディを失ったニンジャがムースの前に立ちはだかるところは、ちょっとベタだけどかっこよかった。ツナギの太もも部分に掛かれたテンシヨンには笑ったけど(笑) 一連のシーンの中で物議をかもしたカットシーンがある。ネットの情報によると、体が真っ二つになってしまうシーンが問題だそうで、切られているシーン自体がNGなのだとか。なので、切られた後の遺体は映っている。おそらく数秒のことで、ストーリー的には全く支障がないと思われるので、そんなに問題にしなくてもいいかも? たしかDVDには入っているんじゃなかったかな?
良く考えると、今では自分が生き残ることにとらわれたチャッピーや、そもそもチンピラのニンジャたちも善人(?)とは言えず、悪者どうしの戦いと言えなくもないけど、やっぱり純粋な頃のチャッピーの姿を見ているので彼を応援してしまう。オフィスで暴れてしまうシーンでは、いくら腹が立つことがあっても、自分の意志で暴力を振るってしまってはダメだよ!乂(´Д`;)と思ってしまうほど。
ということで、結局はチャッピーたちが勝つ。とはいえ、チャッピーのバッテリーは残り僅かで、創造主ディオンも瀕死の状態。そこでチャッピーはまず自分用に用意していたロボットにディオンの意識を転送する。ディオン自身はチャッピーを助けたかったようだし、そのような形で生き残ることを望んだわけでもないように感じたけれど、とにかく転送は成功し、今度はディオンが一番近くにいるロボットのボディにチャッピーの意識を転送する。この間も追手が迫ったりしていて緊張感がある。新たな生命体となったディオンとチャッピー。チャッピーはもはや人類をはるかに超えた存在となっている。PCに保存していたヨーランディの意識を、自ら作ったロボットに転送。親子(?)3人で暮らしていくというHappy End。とはいえ、チャッピーは自分たちの世界をどんどん拡張しているようで、ある意味『猿の惑星』のような展開なのか?とか思ったり。この終わりも好き
キャストはSF映画の逞しい女性といえばのシガニー・ウィーバーがセルフパロディ的な役どころを演じていて( ̄ー ̄)ニヤリ 悪役ヒュー・ジャックマンも変な髪型で熱演していた。ヒューと言えばヒーロー役という印象を逆手にとっての悪役は良かったのではないかな? プライドが高いと言えばそうだけれど、バカといえばバカだし(笑) ニンジャ役のニンジャと、ヨーランディ役のヨ=ランディ・ヴィッシャーはDie Antwoordというラップグループの人たちらしいけれど、ラップ苦手なので全く知らなかった。ニンジャは演技が特別上手いとは思わなかったけど個性勝ちという感じ。車で登場する際の「マザー・ファッ○ー ニンジャ」というラップは笑った(笑) ヨ=ランディ・ヴィッシャーも個性勝ちという感じだけど、母性愛を感じさせ過ぎない感じは良かったと思う。母というイメージとはかけ離れているのに、世界一有名な母親と同じような存在になるところがおもしろい。
ニール・ブロムカンプ監督作品には『第9地区』に引き続き主役として出演のシャールト・コプリー。前作では途中からエイリアンになってしまう役だったけど、今作は最初からロボットなので一瞬も素顔が出てこない。モーションキャプチャーも演じている。シャールトの甲高い声がチャッピーの子供っぽさや純粋さに合っていたと思う。純粋さをしっかり感じさせているから、チャッピーが強盗してまっても憎めない。この辺りは見事。途中からチャッピーは自らの生き残りにとらわれて、厄介な面も見せてくるけれど、その辺りも自然に演じていた。なによりチャッピーがかわいく感じられたのは、シャールト・コプリーのおかげ。監督とのコンビはこれからも見たいかも(・∀・)ウン!!
映画見てから3ヶ月も経ってしまったので、当然ながらもう上映していない 既にDVD発売されているんだっけ? ということで、興味のある方はレンタルしてみて下さい(o´ェ`o)ゞ
前述した短編動画をドゥゾ♪(っ'ω')っ))
Neill Blomkamp - Tetra Vaal - Original Resolution
お、書いてたのね★
これ面白くはあったけど(とくにヤンキー夫婦
ホンモノのミュージシャンでホンモノの夫婦ってすごい)
意外とそこまですごいハマりはしなかったわ~
第9地区はすごいハマったな★
ニンジャとヨーランディ出てないとちょっと辛かったかもね~
え 実生活も夫婦なの? 知らなかった!
たしかに『第9地区』の方が全然おもしろいよね