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【art】「芳幾・芳年 ー 国芳門下の2大ライバル」鑑賞 @ 三菱一号館美術館

2023-05-15 00:27:26 | art

【art】「芳幾・芳年 ー 国芳門下の2大ライバル」鑑賞 @ 三菱一号館美術館

 

 

開催を知ってから楽しみにしていた企画展。2023年3月3日に見に行ってきた! めちゃめちゃ楽しかったのだけど全く記事が書けなくて、とっくに閉幕してしまった💦

 

いつものように感想をツイートしておいたいので、それに追記する形で感想記事として残しておく😌

 

 

 

 

歌川国芳(Wikipedia)の門下で良きライバルとして人気を二分した落合芳幾(Wikipedia)と月岡芳年(Wikipedia) その2人の作品を師匠の作品と共に見せる企画展。

 

見たいと思ったのは月岡芳年の作品が見たかったから! もしかしたら2人の作品をどこかで見たことがあったかもしれないのだけど、意識して見たのは初めて。恥ずかしながら落合芳幾のことは知らなかった💦 

 

 

月岡芳年「復讐義士銘々伝」

 

月岡芳年「藤原保昌月下弄笛図」

 

2人は幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師で、幕末の頃は風潮を反映して血みどろ絵を共作していたとのこと。浮世絵というと喜多川歌麿の美人画や東洲斎写楽の大首絵などが思い浮かぶけど、物語などから題材を得ておどろおどろしい作品を描いたのが師匠の国芳ということなのかな。

 

芳幾と芳年もその流れを踏襲したということなのでしょうけれど、より物語的というか通俗的というか、リアルな感じがした。

 

 

 

今展では武者絵が多くどちらもとても素晴らしかった。200点を超える作品の内訳として少し芳年の方が多かったように思うけれど、個人的にも芳年の方が好みだったため、ツイートでの画像も芳年の方が多くなってしまった。

 

でも、芳幾の「太平記英雄伝」がとても素晴らしかった! 全100点で太平記に登場する武将たちを描いているらしいのだけど、前期後期入れ替えでそれぞれ50点ずつを展示。自身は前期展示分を鑑賞。

 

太平記はタイトルは知っているけれど未読で、「100分de名著」で紹介されていたので録画して記事にしようと思ったのだけど、時間が取れずに挫折😭 なので誰が登場してくるのか分からないけど、知っている武将も描かれていて、それぞれめちゃめちゃかっこよかった!

 

 

落合芳幾「与ハなさけ浮名の横ぐし」

 

芳幾の作品でとてもユーモラスで好きだったのは「与話情浮名横櫛」の登場人物を猫にしてしまった今作。猫好きとしてはニヤリ。

 

落合芳幾「朝比奈ねむけざまし」

 

落合芳幾「朝比奈ねむけざまし」(部分)

 

これはめちゃめちゃ好きだった! この巨大な人は鎌倉時代の御家人で朝比奈義秀(Wikipedia)とのこと。歌舞伎では赤い隈取に髷に白い力紙の姿で登場するそうで、師匠の「小人島の朝比奈」を子供の合戦に変えて描いていて、戊辰戦争に見立てており、朝比奈は旧幕府軍を表しているとのこと。

 

なるほど、そう考えると奥深いけれど、この巨大化した姿がとてもユーモラスでついつい笑ってしまった🤣

 

 

 

月岡芳年の「芳年武者无類」シリーズは撮影OK。武将など有名な人物や、歌舞伎などで有名なシーンなどが描かれていて、とても面白かった!

 

ここは解説も撮ってきたので、説明文があったものは書いておく。

 

月岡芳年「弾正忠松永久秀」

 

名器平蜘蛛茶釜を差し出すよう要求されるが、平蜘蛛と我が首は絶対に見せぬと茶釜を叩き割り、城に火を点けて自害する場面を描く。今作は後摺りとのとで、初摺りの陣幕には家紋が描かれいるのだそう。

 

詳しく知らないけど何となく悪人イメージの松永久秀(Wikipedia)なのだけど、それにしたってこんなにおじいちゃんじゃないよね?😅 茶釜の飛び散りっぷりがスゴイけども・・・

 

月岡芳年「相模次郎平将門」

 

平将門(Wikipedia)の最期を描いた作品。平貞盛、藤原秀郷らの連合軍を相手に自ら先頭に立って斬り倒し、自陣に引き上げる途中で形勢が逆転。風向きが変わり貞盛の矢が命中して秀郷に首を切られたとのこと。

 

これは馬に乗っている方が将門だと思うので、先頭に立って斬り倒している場面なのかな。この馬の体勢と高く振り上げた腕が三角形になるような構図で、すごい迫力! めちゃめちゃカッコイイ。

 

月岡芳年「九郎判官源義経 武蔵坊弁慶」

 

これは説明文がなかった💦 義経と弁慶だけどどのシーンなんだろう?🤔 あんまり詳しくないので分からず。

 

月岡芳年「遠藤武者盛遠」

 

遠藤盛遠(Wikipedia)は平安時代の武士。親友の妻で絶世の美女である袈裟御前に恋焦がれ、夫さえいなければと想いを告白すると、悩んだ袈裟御前は夫の寝室を教える。図は盛遠が夫殺害に向かう場面。顛末としては盛遠が襲ったのは身代わりとなった袈裟御前で、事実を知った盛遠は出家したとのこと。

 

これは実話なのかな? 平安時代の武家社会の社会通念がどんな感じだったのか分からないけど、袈裟御前としては夫のある身で告白されてしまった時点で不貞であると考えたのかな。それとも、盛遠の想いが強すぎてどうやっても止められないと思ったのか。人を殺しておいて出家で救われるの納得いかない!

 

 

月岡芳年「源牛若丸 熊坂長範」

 

熊坂長範は伝説上の盗賊。能「烏帽子折」に取材。牛若丸が盗賊の大群相手に一人で斬り倒し、六尺三寸の薙刀を振るう熊坂を討ち果たした場面を描く。

 

源牛若丸は後の源義経だよね。牛若丸時代は五条大橋での弁慶との話が有名だけど、こんな話もあるのね。でも、伝説上の盗賊ということは実在しないということなのかな? この迫力と牛若丸の美しい身のこなしがとても素晴らしい。

 

月岡芳年「曽我五郎時宗 五所五郎丸」

 

源頼朝の家臣工藤佑経に父親を殺された曽我兄弟が、富士裾野の巻き狩で仇討(Wikipedia)ちし、五郎は頼朝の寝室付近で捉えられる。

 

有名な曽我兄弟。あと少しで頼朝を暗殺できたのではないかと言われているけど、踏んでいる幕に描かれているのは頼朝の紋だそうなので、これは工藤を討ったシーンではなく、頼朝の寝室に踏み込もうとしているところなのね。この左足の足の指まで力の入っている表現がスゴイ!

 

ツイッターでは「蘇我五郎時宗 五所五郎丸」ってつぶやいちゃってるけど、「曽我五郎時宗 五所五郎丸」が正解!💦

 

月岡芳年「左兵衛佐源頼朝」

 

頼朝13歳の初陣を描いたのではないかとのこと。そういわれれば幼い顔立ち。投げ出された刀が画面からはみ出しちゃってる表現がおもしろくて選んだ作品。

 

月岡芳年「新中納言 平知盛」

 

甲冑姿で室内を掃除している。遠景は海で火の手が上がる船が描かれている。壇ノ浦で敗北を悟った平知盛(Wikipedia)は安徳天皇の乗る御座船を掃き清めた。天皇と二位の尼が入水し、平家滅亡を見届け「見るべき程の事をば見つ」と残し入水。

 

御殿の廊下のように見えるけど、これは安徳天皇が乗られている御座船なのね。平家滅亡の一番の悲劇は、幼い安徳天皇の入水ではないかと思う。平清盛亡きあと、いろいろ醜態をさらしてしまう平家の人々だけど、平知盛はなかなかの人物だったのかしらね。

 

 

東京日日新聞は毎日新聞の前身だそうで、芳幾は発起人として関わったのだそう。郵便報知新聞は報知新聞の前身だそうで、芳年は発起人というわけではなさそう?

 

 落合芳幾「東京日々新聞 千十五号」

 

天満横通りえ「はらはら薬」を売る呂太郎の美人女房は居候と密通しており、呂太郎は女房に大きな熨斗を背負わせ京人形をくれてやると2人を追い出した。という事件を描いているのだそう。

 

これは実話なのかね? 呂太郎ななかなか洒落た人だね。

 

落合芳幾「東京日々新聞 四十号」

 

明治5年、九代目市川團十郎(Wikipedia)は市村座で「勧進帳」の弁慶を演じた。欧米人が感動し、楽屋を訪れ団十郎の写真をもらい、お礼に巻きたばこを置いていった。というエピソード。

 

 月岡芳年「郵便報知新聞 第六百五十号」

 

宮城県の農民熊沢松之介は50歳を超えても壮健で、同郷の斎藤豊吉の後妻きのと恋仲に。貧困の豊吉は十円できのを譲ることを承諾したが、きのだけでなく、その父と娘も引き取られることを望んだ。こうして松之介ときの、きのの娘と松之介の息子、きのの父と松之介の母、めでたくも三代同時に夫婦となった。

 

これは😲 おおらかというかなんというか・・・ 豊吉は一見いい人に思えるけど、厄介払いしたとも言えるし・・・ うーん😅

 

 月岡芳年「郵便報知新聞 第六百六十三号」

 

神田福田町の大工の家に、毎夜12時頃真っ黒い坊主が現れ、寝ている女房を舐めまわす。舐められた跡は粘り生臭い。親類の家に泊まると出ないが、家に帰ると現れることが長く続いた。その後消滅。

 

これは一体なんなんだろう? この新聞がどの程度ニュースとして機能していたのか分からないのだけど、とっても東スポ感のある記事だね😅

 

 

月岡芳年の「月百姿」シリーズが今展最後の展示だった。

 

月岡芳年「雨後の山月 時致」

 

曽我兄弟の弟、曽我五郎時政。父親の仇工藤佑経を討つべく富士の巻狩の最後の晩に、佑経の御旅に向かう場面。

 

月が描かれていないのは、時政のこの後の運命を暗示しているのかな。とはいえ、仇はちゃんと討てたわけだからね🤔 でも、やっぱり一番の目的は頼朝暗殺だったのかも。

 

月岡芳年「朱雀門の月 博雅三位」

 

管弦の名手源博雅(Wikipedia)が朱雀門で笛を吹いていると、同じく笛を吹く男が現れる。あまりに美しいので笛を交換する。博雅が亡くなり、浄蔵という笛吹きが朱雀門で笛を吹くと鬼の大声。笛は鬼のものだった。説話集「十訓抄」掲載。

 

夢枕獏の「陰陽師」シリーズは5巻くらいで挫折してしまったのだけど、とても好きで読んでいた。安倍晴明と源博雅のコンビがとても良かったけど、実際は関りがあったわけではなさそう? あえて博雅を後姿にしている構図が良かった。

 

月岡芳年「卒塔婆の月」

 

深草少将の怨霊が小野小町(Wikipedia)に憑りついて狂乱するが、仏の道への悟りを請う話。乞食老婆が卒塔婆に腰かけているので僧がとがめると、含蓄に富む言葉で負かされ、素性を問うと小野小町だと答えた。

 

能の「卒塔婆小町」のシーンかな。和歌が残っているのだから小野小町は実在したのだろうし、辛い晩年だったというのも聴いたことがあるけれど、これはかなりの老婆っぷり。裾や袖のつぎあての柄合わせがいい感じ。

 

月岡芳年「千代能」

 

「千代能がいただく桶の底抜けて 水たまらねば月やもどらず」の歌が記されている。鎌倉中期の武士 安達康盛の娘だが、九代執権北条貞時の時代に安達一族は滅ぼされ、千代能は出家して無学祖元の弟子 無着と号した。千代能が悟りを開くきっかけとなった出来事を詠んだ歌。

 

今回のポスタービジュアルにもなっていて、お目当ての一つだった。伏し目がちな姿がたおやかで美しくとても惹かれた。一族が滅ぼされてしまったのは悲劇ではあったけれど、悟りを開けたのならばよかった。平安貴族は最終的に出家することをよしとしていたようだけれど、鎌倉時代の武家の娘にとってはどうだったのかな?

 

 

月岡芳年「月夜釜 小鮒の源吾 嶋矢伴蔵 」

 

月岡芳年「月夜釜 小鮒の源吾 嶋矢伴蔵 」(部分)

 

これは説明がなかったので、どういう場面なのか全く分からない💦 しかもどっちが小鮒の源吾で、どっちが嶋矢伴蔵なのかも不明。笠かぶってる方が嶋矢伴蔵なのかな?

 

何となくコミカルな感じを受けたのだけど、実は全然違うかも? でも右の人物の広げた左手とか、声まで聴こえそうな表情とか、とても生き生きとしたものを感じたので、どうしても投稿しておきたかった。これはとても好き。

 

 

 

お土産はポストカード2種と手ぬぐい。手ぬぐいたくさん持っているけど、この柄素敵すぎて無視できず。

 

とにかく見応えあり過ぎの展示で、どれも素晴らしくてめちゃめちゃ楽しい企画展だった。三菱一号館美術館はメンテナンスのため今展終了後、長期の休みに入った。休館前の企画展ということで気合が伝わってきた。素晴らしい企画展だった。

 

芳幾・芳年 -国芳門下の2大ライバル:2023年2月25日-4月9日 @三菱一号館美術館

※会期終了のため公式サイトも閉鎖


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