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【art】「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」@東京都美術館

2019-03-31 00:02:31 | art

🎨【art】「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」@東京都美術館🎨

 

 

 

気になってた美術展。若冲作品とか結構見てるしどうしようかなと思っていたけど、先日放送のぶらぶら美術博物館(記事はコチラ)を見て背中を押されたので、早速見に行ってきた!

 

ぶらぶら美術博物館鑑賞記事にいろいろ詳しく描いたので、ここではサラリと触れるだけにしておくけれど、今展は1970年に刊行された辻惟雄著『奇想の系譜』に登場する、岩佐又兵衛(Wikipedia)、狩野山雪(Wikipedia)、伊藤若冲(Wikipedia)、蘇我蕭白(Wikipedia)、長沢蘆雪(Wikipedia)、歌川国芳(Wikipedia)の6人だけど、ここに白隠慧鶴(Wikipedia)と鈴木其一(Wikipedia)を加えた8人を紹介する企画展。

 

いつものように感想をTweetしておいたので、それに追記する形で記事にしておく😌

 

 

 

伊藤若冲:幻想の博物誌

 

伊藤若冲「象と鯨図屏風」

 

この作品は以前見たことあるけど、やっぱりスゴイ。若冲は本物の象を見たことあったんだっけ? 尻尾の感じも違うと思うし、牙の生えっぷりもよく分からないし、耳がゆで卵の断面みたいになっちゃってる😅 波もコロネみたい。でも、この迫力はスゴイ。鯨の全体を描かず潮吹きだけ見せるの構図もいい。象の表情も好き。

 

伊藤若冲「鶏図押絵貼屏風」

 

今回のお目当て。若冲作品新発見とあれば見なきゃね。晩年に鶏を描いた作品は見たことあるけど、何枚見てもやっぱりすごいなと思う。ぶらぶら美術博物館で山下裕二先生がサラサラ描いているとおっしゃっていて、たしか尾羽などは筆の勢いで描いた感じだけれど、トサカにはしっかりとツブツブが描かれているので、決して手を抜いているわけではない。とにかく全ての鶏たちの姿が良い。若冲ここに極まれりという感じ。

 

蘇我蕭白:醒めたグロテスク

 

 

蘇我蕭白「群仙図屏風」

 

蘇我蕭白はスゴイと思うけどちょっと苦手😣 やっぱりちょっとグロテスク。この絵も女性たちの目がヤバイ💦 狂気。それは激しさのある狂気ではなくて、静かな狂気。恍惚とした表情。子どもたちも全くかわいくない。好きではないけど、この色彩と力強さはスゴイと思う。

 

蘇我蕭白「群仙図屏風」

 

超有名な上の作品と同じタイトル。この作品は好きだった。左の腕を伸ばしている男性の迫力はすごかった。そして鯉のデッサンがちゃんとしていることにビックリ。きちんとした技術があってこそのデフォルメなんだなと思った。

 

長沢蘆雪:京のエンターテイナー

 

長沢蘆雪「群猿図襖」

 

今回一番良かったのが長沢蘆雪。蘆雪の作品の中では「虎図襖」が大好きだけど、自分の中でそんなに注目の絵師ではなかった。でも円山応挙の弟子らしい正統派な画風と、大胆な構図のバランスが素晴らしく、とっても品がいいのにユーモアもある。


この「群猿図襖」は、まず猿たちがかわいい。墨の線で描かれた表情が本当に豊か。毛のホヤホヤ感や体のラインなどもよく観察されているし、真ん中に丘?を配している構図もいい。部屋でこの襖を見たら猿山にいる気持ちになると思う。

 

長沢蘆雪「白象黒牛図屏風」

 

黒と白、大と小を意識して描かれているとのことで、大きな象と牛、小さな鳥と犬が描かれており、それぞれ白象には黒い鳥で黒牛には白い子犬が描かれている。この対比もいいし、はみ出す勢いで描かれた黒牛と白象は迫力がありながらも穏やかな表情。そして犬がカワイイ。こちらまで穏やかな気持ちになる。

 

長沢蘆雪「降雪狗児図」

 

これかわいかった! 子犬のやわらかさや温かさが伝わって来るような作品。毛がホワホワしてて、白い犬は口が笑っちゃってるみたい。今見ても全然古くない。普通にこの子たちがプリントされてるTシャツ来てても古くない感じ。ホッコリ🐶

 

長沢蘆雪「旭日大亀図」

 

そして、ビックリしたのはこの作品。絵手紙とかみたいな大胆な構図。微笑んでいるかのような亀のコミカルさ🐢 ササッと描いているようで、なかなか出せない迫力。これとっても好き。

 

岩佐又兵衛:執念のドラマ

 

岩佐又兵衛「浄瑠璃物語絵巻」(部分)

 

岩佐又兵衛といえばの「洛中洛外図(舟木本)」も展示されていたようだけれど、残念ながら前期展示。まぁ見たことあるのでOK。そして「山中常盤物語絵巻 第四巻」は今回の目玉的な作品だと思うけれど、残念ながらこちらも前期展示。これは見たかった😫 代わりの「山中常盤物語絵巻 第五巻」も良かったのだけど、個人的に感動したのは「浄瑠璃物語絵巻」

 

「浄瑠璃物語絵巻」は牛若丸と三河矢矧の長者の娘との恋物語を描いた作品だそう。まず保存状態がとてもいい。金がふんだんに使われており、色彩が鮮やか。着物の柄など細かい。顎が大きな又兵衛顔も控えめ。上の画像のシーンは艶めかしい。これは素晴らしい!

 

狩野山雪:狩野派きっての知性派

 

狩野山雪「龍虎図屏風」

 

狩野山雪といえばの「梅花遊禽図襖」も梅の枝の曲がりくねりぶりが尋常ではなかったけれど、個人的にそんなに響くものはなかったかな。それよりもこの虎のどこか変な感じが気になった。尻尾がヒョウ柄なのも気がかりだし、体のバランスも変な感じだし、前足キッチリ揃えてるのも気になる。

 

白隠慧鶴:奇想の起爆剤

 

白隠慧鶴 「達磨図」

 

これは以前も見たことあるのだけど、まず大きさにビックリする。本当に大きい。他の絵師たちと比べれば筆の線などもボヨボヨしていて決して上手いわけではない。でもとっても味がある。これはなかなか出せる味ではない。

 

 白隠慧鶴 「蛤蜊観音図」

 

蛤蜊観音と書いて"こうりかんのん"と読むのだそう。蛤蜊観音は唐の文宗皇帝が蛤を食べようとしたけれど殻が明かず、祈祷をしたところ中から観音様が現れたという言い伝えから生まれた観音様だそう。下に描かれているのは蛤なのね? モワッと現れてたところ。人々が頭にタコとか乗せてるのは何故なのか分からないけど、この観音様の表情も良いし、人々がユーモラスでホッコリ。

 

鈴木其一:江戸琳派の鬼才

 

鈴木其一「百鳥百獣図」

 

思っていたより大きな作品だった。確かにこれは若冲の影響があると思う。ぶらぶら美術博物館で山下先生と山田五郎氏が話してた鶏とガチョウに注目してみたけど、たしかに若冲の「動植綵絵」にこのガチョウいたような気がする! これはなかなか興味深い作品だった。

 

鈴木其一「朴に尾長鳥図」

 

これは以前も見たことあるけど、この花と葉の感じと構図がすごく好き。朴というのはモクレン科の落葉高樹だそうで、木蓮っぽいと思ったのは当たってたのね。木蓮大好きなこともあり、これは本当に好きだった。 

 

歌川国芳:幕末浮世絵七変化

 

歌川国芳「其のまゝ地口猫飼好五十三疋」

 

国芳は猫好きとしても有名だそうだけれど、この作品も有名。これは猫好きとしてはたまらない。じっくり見たかったけど、混んでいたし閉館時間も迫っていたのが残念😣 猫たち動きをこれだけ的確に描いているのは、普段から猫を観察している証拠。さすがの猫好き。そして地の色をピンクにしているのも好き。これはポストカード購入してきた。

 

歌川国芳「火消千組の図」

 

思っていたより大きかった。町火消千組が成田山新勝寺に奉納したということだし、板に描かれていたので絵馬なのかな? この群衆の勢いすごいし、纏の躍動感がスゴイし、なにより皆カッコイイ! 中央で背中を向けているのは親分かな? この背中が素敵😍

 

 

東京都美術館は3階建構造になっていて、地下から2階まで上がっていく順路。2階には物販コーナーがあるので、その分展示スペースも少なくなっている。正直「生誕300年記念 若冲展」(感想はコチラ)の時には導線が悪いなと思ったけれど、今回はとてもよく考えられていたと思う。それぞれの絵師ごとにゾーンが作られていて、それぞれキャッチコピー的なものが添えられていたのも良かった。

 

入替展示なので、前期後期両方行けばよかったと後悔するくらい充実の展示。とにかく、この8人の作品が一堂に会する機会はもうないかもしれない。これは是非見た方がいい! 美術展見る度に書いてるけれど、見れる機会があるなら本物を見るべき!

 

 

お土産はポストカードたち。若冲の「鶏図押絵貼屏風」欲しかったんのだけど、30cmくらいあって断念。大き過ぎだわ💦

 

🎨奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド:2019年2月9日~4月7日 @東京都美術館

【公式】奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド


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