2016.08.10 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』鑑賞@TOHOシネマズシャンテ
試写会応募したけどハズレ 赤狩りのこととかちょっと興味があったので、ダルトン・トランボのことはよく知らなかったけど、レディースデイに見に行ってきた
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「ハリウッドの著名な脚本家ダルトン・トランボは共産主義者ということで、赤狩りの標的とされる。逮捕されて刑務所にも入る。しかし、10年以上に及ぶ迫害期間には、偽名を使って脚本を執筆。『ローマの休日』『黒い牡牛』でアカデミー賞脚本賞を獲得する。」と、あらすじとしてはこんな感じかなぁ・・・ これはおもしろかった。映画好きとしては撮影秘話的な話は大好きだけど、個人的にはハリウッドの裏側とかにはそんなに興味はない。なのでそもそも内情に詳しくない上に、赤狩りについてもザックリした知識しかなかった。なので、ちょっと分かりにくい部分があったりもしたのだけど、とにかく役者たちの演技も良いし、主人公が決してヒーローではないけれど、自分の信念を貫く姿をじっくりと見せて見応えがある。
毎度のWikipediaはなく、公式サイトにも撮影秘話的な記載がないので作品についての詳細はあまり書けない。一応分かっている情報としては、第88回アカデミー賞主演男優賞、第73回ゴールデングローブ賞主演男優賞、助演女優賞ノミネートということと、『オースティン・パワーズ』シリーズ、『ミート・ザ・ペアレンツ』のジェイ・ローチ監督作品ということくらいかなぁ・・・ 監督の作品は『オースティン・パワーズ』しか見ていないかも。
映画についての詳細がない代わりと言ってはなんだけど、主人公であるダルトン・トランボについて書いておきたい。毎度のWikipediaによりますと、ダルトン・トランボ(ドルトン・トランボとも表記)(Dalton Trumbo,1905年12月9日-1976年9月10日)は、アメリカ合衆国の脚本家、映画監督。アメリカで1940年代に起こった赤狩りに反対したいわゆるハリウッド・テンの一人。迫害期にはベン・L・ペリー(Ben L. Perry)、ロバート・リッチ(Robert Rich)のペンネームで活動し、またイアン・マクレラン・ハンター(Ian McLellan Hunter)の名義を借用したこともある。
コロラド州モントローズに生まれた。父親の職業は靴屋の店員。南カリフォルニア大学を卒業後、雑誌の記者・編集者を経て脚本家への道に進んだ。映画界には1937年の『潜水艦SOS』の脚本家としてデビューした後、1940年の『恋愛手帖』でアカデミー脚色賞にノミネートされ、一躍ハリウッドのトップ脚本家として脚光を浴びた。1944年、『東京上空三十秒』『緑のそよ風』などの脚本を手がけ、着実にキャリアを積んでいたが、第二次世界大戦終結後の東西対立の激化の中、後にいわゆる「赤狩り(マッカーシズム)」と呼ばれた運動の最初の標的とされたハリウッド映画界の著名な10人の映画人(ハリウッド・テン)の中に数えられ、1947年10月20日、反共キャンペーン下院非米活動委員会による第1回聴聞会に呼び出された。当時のハリウッドにはジョン・ウェインらを筆頭に「アメリカの理想を守る映画連盟」という組織が設立され、非米活動委員会への協力が推進された。第1回聴聞会に出席したトランボは、「あなたは共産主義者か、あるいは、かつてそうであったか?」と問われたが、アメリカ合衆国憲法修正一条(言論と集会の自由を規定した条項)を理由に証言を拒んだ。その結果、議会侮辱罪で逮捕され、禁固刑の実刑判決を受た。実際、トランボはアメリカ共産党の党員であった。
刑期終了後も映画界から事実上追放され、妻らと共にメキシコに移り住んだ。トランボは貧困にあえぐ生活を強いられたが、偽名を使って脚本家としての仕事を続け、B級映画作品の脚本で食いつないだ。1956年にロバート・リッチの名義で参加した『黒い牡牛』でアカデミー原案賞を受賞するが、彼の名前は公にされなかった。アカデミー協会が初めてトランボの名前を刻んだオスカーを彼に贈ったのは1975年になってからであった。クレジットに彼の名前が再び現れるのは1960年の『スパルタカス』であり、追放から13年が経過していた。また、トランボの死後、イアン・マクレラン・ハンターの原案・脚本とされていた『ローマの休日』が、実は追放中のトランボが1953年に執筆したものであったことが判明し、同作品でハンターが受賞していたアカデミー原案賞が、1993年に改めてトランボに贈られることになった。
トランボは実名でハリウッドに復帰した後も、『脱獄』『パピヨン』などの大作・ヒット作に名を連ねた。そして1973年の『ダラスの熱い日』の脚本を最後に1976年死去した。没後10年を経て、トランボが脚本を務めた1943年の『ジョーと呼ばれた男』を元に、スティーヴン・スピルバーグが『オールウェイズ』を制作している。トランボは、第二次世界大戦勃発の1939年に、負傷兵をテーマとした小説『ジョニーは銃を取った』を出版している。本作のタイトルは第一次世界大戦の志願兵募集キャッチフレーズ「ジョニーよ銃を取れ」に対する皮肉と思われる。大戦中のアメリカではこれは反戦文学とみなされることを恐れたトランボは同書の増刷を停止するが、戦争支持派から度重なる脅迫を受けた。トランボは連邦捜査局(FBI)に通報するが、逆にFBIから敵性人物として監視を受けるようになる。『ジョニーは銃を取った』は戦後になってから復刊された。さらに朝鮮戦争時に再度絶版となり休戦後復刊された。戦争のたびに絶版・復刊を繰り返すこの作品を、トランボはベトナム戦争最中の1971年、65歳にして自身の唯一の監督作品として原作・脚本を兼ねて制作した。日本では『ジョニーは戦場へ行った』と訳題されるこの映画は、その年のカンヌ国際映画祭で、審査員特別グランプリ、国際映画評論家連盟賞、国際エヴァンジェリ映画委員会賞を受賞した。とのことで、波乱の人生だけど、ご自身も信念を曲げない人であったらしい。そして映画はほぼ忠実に映画化していると思う。
諸事情により『X-MEN:アポカリプス』(感想はコチラ)のレビューを先に書いたり、いろいろあって見てから1ヶ月以上経ってしまった。その後、何本も映画を見てるし、記憶があいまい 説明不足な映画とは思わなかったけど、知識がないとちょっとわかりにくい部分も。あと、トランボの周囲の人々(ハリウッド・テンの人たち?)の区別がつきにくくて、個人的にちょっと混乱した。内容的にもちょっと難しいこともあり、赤狩りについてや、ハリウッドを含めた当時の世相、トランボの周囲の人々についての知識があると、いろいろニヤリとなりつつ見ることができたのかなと思う。例えばヘレン・ミレンが演じたヘッダ・ホッパーが、どういう人物なのか全く分からなかったので、何故彼女がそこまでトランボを目の敵にしたのか、どうして共産主義を嫌うのかが分かりにくかった。と、なんだか完全否定しているようだけれど、決してそんなことはない。見ている間はおもしろかったし、テンポもよく見応えがあった。何が言いたいかというと、きちんと理解できていなかったり、整理できていない部分があったりするので、いつものようにシーンごとに詳細を書いてから感想を書くという書き方が出来ないということ。そう断り書きしておきながら、書いてたりするレビューもあるけど、今回ばかりはホントに無理だわ だって、トランボを裏切った俳優の人とか誰だったのかサッパリ分からなかったりするので・・・ ということで、ホントに映画を見て自分が感じたことのみ書くことにする。
そもそも、赤狩りのことが漠然とした理解。共産主義者もしくは、その疑いのある者を弾圧したということは分かる。ただ、何故共産主義がダメなのかが分からない。自分の中でも共産主義にいいイメージがないのは、旧ソ連を代表とした共産主義の国々が次々崩壊したことと、旧共産圏では言論が規制されていたという事実が明らかになったことによるものだと思う。ただ、何故共産圏ではそういう政策がとられたのか、そして何故崩壊したのかがよく分からない。そして、そもそも共産主義というのがよく分かっていない(o´ェ`o)ゞ 共産主義とは財産などを共有しようという思想ということなのだけど、その思想を持つこと自体は別に危険なわけではないと思うのに、何故それが危険思想のように言われているのかが謎。謎なのだけど、自分の中にも危険思想的な刷り込みがある。それはやっぱりアメリカ vs ソ連の関係や、冷戦時代の名残なのかな? その辺りのことが知りたかったのだけど、今作を見た限りでは自分は分からなかった。
思想を持ってしまった者にとってそれを捨てることは簡単ではないのでしょうけれど、とにかくトランボが思想を貫く姿勢はスゴイと思う。自分の中にどうしても刷り込まれた共産主義=悪のようなイメージが抜けないまま見ていたので、何故そこまで執着するのか? 逆に何故そこまで良い思想だと思っているのかが理解しにくかった。裁判の場や、仲間たち、家族にも、そのことについて語っていたと思うのだけど、やっぱり理解しきれなかった部分はある。それは、きっと自分が共産主義ではないからだろうし、そもそも主義を持っていないからかも? っていうか、日本って何主義の国なのか? 民主主義? 資本主義? とバカを露呈 でも、そんなことを考えなくても生きていけてることって幸せなんだと思う。
長々と共産主義についてと、それが何故弾圧されたのか分からないということを書いたけど、私自身はトランボの演説や説明を聞いても共産主義に共感する部分はなかった。でも、だからといって特別危険とも思わなかった。共産主義の対義語は民主主義でいいのかな? 社会主義の反対が資本主義? よく分かっていないのだけど、民主主義を支持している人の中にも危険思想の人はいるだろうし、共産主義の人が全て危険思想というわけでもないと思うのだけど、特にトランボを含むハリウッドテンの人々が弾圧されたのは、やっぱり知名度が高かったからなのかな?
全然知らなかったのだけど、ハリウッドにおける赤狩りの中心人物として俳優のジョン・ウェイン(デヴィッド・ジェームズ・エリオット)がいたらしい。Wikipeidaの密告者の欄には名前がないけど、密告したわけではないということかな? よく分からない。映画ではジョン・ウェインがトランボとの握手を拒む様子や、彼の圧力によってトランボを始めとした脚本家や俳優たちが仕事を失う様子が描かれている。そして、ヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレン)という女性が出てくる。ヘレン・ミレンが演じていることから、有名な人物なのだと思うけれど、自身は公式サイトで初めてコラムニストであることが分かったような状態。この人について説明あったかな? 多分、アメリカでは著名な人物なのでしょうけれど、知識がないので誰?状態。徹底的にトランボを潰そうとするのだけれど、何故彼女がそこまでするのかヘレン・ミレンの演技をもってしても、自分にはよく理解できなかった。
まぁ、その辺りについては理解するのは難しいのかなとは思うし、要するに弾圧する側が危険思想になっていないか?ということなのかなとも思う。トランボが実刑判決を受けて服役したのも、その後メジャーな作品にはダルトン・トランボとして関わることができず、実質社会から抹殺されていたのも事実。それには理由が存在するわけで、映画化するに当たり明確な敵が必要ということなのかもしれない。まぁ、実際そういう人だったのかもしれないし。っていうかWikipediaによると女優だったのね? なるほど・・・ と、ダメ出ししているようだけれど、映画なのであまり説明過多になってしまってもおもしろくないし、無駄に長くなるし、要するにかなりの弾圧を受けた事実と、それに屈しなかったという事実が伝わればいいのかなと思う。そういう意味では十分に伝わってきた。
トランボ自身の裁判の他、いくつか裁判シーンが出てくる。実際の映像も使われていて、当時は俳優だったロナルド・レーガン元大統領や、ゲイリー・クーパーなども出てきて興味深い。2人は告発者として出廷したとのこと。その他有名どころではウォルト・ディズニーもいたそうだけど、これは映像あったかな? 裁判でも一歩も引かないトランボの姿勢はあっぱれで、どうしてもトランボ目線で見ているので、裁判で有罪判決が出てしまえば理不尽だと思ってしまう。ただ、旧共産圏ではなく自由の国アメリカで、このような言論統制があったことには驚いた。
トランボは実刑判決を受け服役。その後も、仲間の裏切りにあい、全ての主導者はトランボであるということにされてしまう。この背景には赤であるというレッテルから、仕事が全くないという状況があるので、この人物も辛いところだと思うし、裁判の様子ではもちろん自らすすんで証言しているわけではない。ただ、やっぱり裏切りは裏切りだからねぇ。たしかこの人は俳優のエドワード・G・ロビンソン(マイケル・スタールバーグ)で、以前は資金面でトランボたちを援助していたように思う。絵画コレクションを売って資金を作ってる描写があった。後に、トランボがこの人物を訪ねた時、この絵画が壁にかかっていて、このシーンだけで彼が魂を売ったことが強調されていて見事。
仲間は何人かいて、それぞれ集まって議論したりしているのだけど、個人的に知っている役者さんがいなかったことや、昔風のなでつけた髪型や、クラシカルなスーツ姿などで区別がつかず たしか初登場時には人物紹介的に名前が表示されたように思うのだけど、その人物についても知識がないため、後のシーンで出てきても誰だっけ?状態。なので、エドワード・G・ロビンソンが裏切ったっていう事実が、裁判シーンだけでは分からなかったりする。ハッキリ区別がついたのはアーレン・ハード(ルイス・C・K)くらいなのだけど、この人物もどういう人なのか知らなかったし・・・ この方、後に末期ガンとなってしまいかわいそうだった
トランボは決して感情的にならないというわけではないし、時には激しく議論したりもするけれど、相手の立場をわきまえて、冷静に物事を見れる人物として描かれている。実際のトランボもそういう人物だったのかは不明だけど、裏切った相手に対しても決して憤ることはなく、仕事の依頼を受けたりする。それは、プロ意識でもあったりするのかもしれないけれど。
ハリウッド関係者からもにらまれたトランボには、仕事のオファーは全くない。それどころか妨害される始末。そこで活路を見出したのが、B級映画を製作する会社。社長のフランク・キング(ジョン・グッドマン)との掛け合いが楽しい。脚本仲間を集めて、それぞれに脚本を割り振る。ただ、他のメンバーはB級映画の脚本を書くことに抵抗があったり、慣れていなかったりと上手く行かない。と、トランボが手直しすることになったりする。とにかく書いて書いて書きまくる。興奮剤?のようなものを飲んでまで書きまくる。この辺りはシリアスに描くこともできると思うけれど、どこかコミカルに描いていて見ていて辛くなってしまうことはない。
とはいえ、そんな生活をしていたら当然ひずみが生まれるわけで、そのしわ寄せは家族に。予告編にもあったけれど、長女のニコラ(エル・ファニング)の誕生日にも、バスタブを占領して脚本を書いている。何故ここで書いているのか謎だけど、暑かったのか?(笑) 長女は当然反発する。脚本を届けるように言われるけれど断固として断る。するとデートの予定がある長男が行くことに。確かに、それが生活の糧なのだから、家族もできる限り協力するべきだと思うけれど、これはちょっとかわいそう トランボがここまでして仕事をしたのは、何故なんだろう? B級映画だけに脚本料自体も安かったのかもしれないけれど、やっぱり仕事を失うことが怖かったのかな。家族を養わなきゃならないということはもちろんだけど、それ以上にやっぱり脚本を書きたかったんだと思う。
トランボいい意味で目的の為なら手段は選ばないという感じは、尊敬できる部分だった。どうしても変なプライドが邪魔をして、目的自体を失ってしまうことがある。それはそれで生き方だと思うし、決してダメなわけではないと思う。でも、法律や道徳に反していなければ、手段についてはこだわらないという方法もあるのだなということが、とっても腑に落ちた。ただそれは、周囲に理解してもらいにくいので、強い意志と忍耐力が必要だと思うけれど。それか割り切りか? ただまぁ、トランボにとって家族が支えになっていたであろうことは確かで、友人の脚本家イアン・マクラーレン・ハンターの名義で執筆した『ローマの休日』が脚本賞を獲得すると、一家でテレビの前で大喜びするシーンがほほえましい。見ている側もトランボの実力を知り誇らしくなる。まぁ、自分には全く関係ないのだけれど(笑)
トランボには理解してくれる仲間もいたけれど、何より大きかったのは、彼のことを全く否定せず、責めたりせかしたりせず、見守っている妻クレオ(ダイアン・レイン)の存在が大きかったと思う。どっしりと構えているけれど、女性らしい部分を失わない。実際のクレオもこういう方なのか、理想の妻像が反映されているのか?(笑) ただ、トランボが刑務所にいた時や、仕事がない間など、妻として苦労した部分があったと思うけど、その辺りのことはあまり描かれていないので、ちょと現実味がなかった気がしなくもない。
映画好きとしては、ジョン・ウェインなどの俳優や、監督なども登場して楽しい。ただ、ちょっと昔なので知らない名前も多く、逆に知っている人は告発者だったりしてちょっと悲しい。そんな俳優たちの中で、カーク・ダグラス(ディーン・オゴーマン)がトランボに脚本の依頼をしてくる。主演作『スパルタカス』を最高のものにしたいと考えていたカーク・ダグラスは、周囲の圧力にも屈しない。もともと友人だったそうだけれど、やっぱり友情だけではなく、トランボの脚本を評価しているということなのでしょう。映画内でもう一人脚本依頼をする人物が、オットー・プレミンジャー監督(クリスチャン・ベルケル)。神経質そうなこの監督との知的でユーモアのあるやり取りは楽しかった
ダルトン・トランボとして脚本を担当するのは、なんと13年ぶり。『ローマの休日』の本当の脚本執筆者が誰であるのか公表されたのは、トランボの死後だったそう。赤狩りを推し進めた人々には、それなりの理由があったのでしょうけれど、こんなにも長い間人の名誉や尊厳を奪う権利があったのだろうか? 重複するけど共産主義というものがどういうものか分かっていないし、何故それが危険思想とみなされているのかもボンヤリとした理解。でも、仮に共産主義=危険思想だったとしても、それをここまで弾圧してしまうことは、それはそれで危険思想なのでは?と思ったり。
と、実際はとっても重いテーマを、時にコミカルに軽いタッチで見せていて、ずっしり重くなってしまうことなく、クスッと笑いながら見ることが出来る。それでいて、見終わった後に、しっかりとテーマが伝わっていることが分かる。その感じが絶妙。少々、登場人物が雑多だった気もするけれど、実際かかわりがあるのだから仕方がないか。とにかく、トランボの屈しない姿勢が素晴らしい。実際どういう人だったのかは不明だけど、どんなに弾圧されても信念を曲げず、困難な状況でも屈せずに立ち向かう強さはスゴイ。ちょっと変人な部分も含めて、見ていてとっても楽しめた。
キャストはみな良かった。そういえば、カーク・ダグラス役ってホビットシリーズのディーン・オゴーマンなのね メイクしてないから分からなかった。普通逆か(笑) オットー・プレミンジャーのクリスチャン・ベルケルが、無表情から繰り出す毒のある笑いが面白かった。実際もこんな人だったのかな? ジョン・グッドマンも相変わらずのおもしろさ。娘のエル・ファニングが思春期の反抗心と、それでも父親を愛し、尊敬している感じを好演。印象を残す。そして、エルはやっぱりカワイイ ヘッダ・ホッパーのヘレン・ミレンがさすがの演技。ちょっとどうかしていないか?と思うくらいトランボを目の敵にする感じ。これはやり過ぎだと感じさせるのが正解だと思うので、お見事 妻クレオ役のダイアン・レインは久しぶりに見たけど、相変わらず美しい。きっと素敵な年齢の重ね方をしているのでしょう。この役、具体的に夫の窮地を救ったとか、分かりやすい描写はないのだけど、それでも彼女が支えになっていることがハッキリと分かる。もちろんそういう演出ではあるのだけど、そこはやっぱりダイアン・レインの演技のおかげ。この演技は素晴らしい。
そしてなんといってもトランボのブライアン・クランストン。頑固で変人な部分もあるけれど、それも含めて魅力的な人物にしていた。B級映画の脚本も、アカデミー賞を取るような作品も、彼の中では大切な仕事であり、やっぱりそれは大切なものだったんだろうなと思わせる。そして、やっぱり天才なのでしょう。才能はもちろんだけど、書き続けられる、書くことしかできないというのもやっぱり天才なんだと思う。そいう感じと、そして子供たちに酷い接し方をしているようで、実はちゃんと愛している感じも伝わる。これはホントに素晴らしい演技! こういう派手さのない演技こそ、本当に上手くないと伝わらないと思う。
派手さはないけれど、じっくりと見れる良い作品。ミッドセンチュリーなインテリアが素敵。トランボはなかなかオシャレ。クレオの品の良い服装もよいけど、ヘッダ・ホッパーのハデな衣装も印象的。ハリウッドの撮影風景や、実写映像もおもしろかった。
感想書くのに1ヶ月以上かかっちゃったけど、まだTOHOシネマズシャンテで公開中! 赤狩りに興味のある方はおもしろいと思うし、ハリウッドの裏側知りたい人も楽しめるかな? 屈しないトランボからパワーをもらえるので、ちょっと弱っている人オススメ。ブライアン・クランストン好きな方是非!
『トランボ ハリッドに最も嫌われた男』Official site