お松の独り懐かし邦画映画祭④
「野獣刑事」
故・緒形拳が、大阪のコワモテはみだし刑事を演じた1982年の作品。
刑事の大滝は敏腕だが、その傍若無人で独自な捜査方法ゆえ、署内で問題児扱いされている。そんな中、若い女が夜道でメッタ刺しにされるという殺人事件が発生。大滝は被害者が売春をしていたことを突き止める。一方、大滝の愛人である恵子のもとに、彼女の元情夫で大滝に逮捕されて刑務所に入っていた坂崎が、刑期を終えて戻ってくるが...
これ、かなり笑える映画です。コメディじゃないんだけど。ワタシ的には、ちっとも笑えない三谷コーキとかクドカンとかの映画より、よっぽど大爆笑できる映画です。演出も演技もストーリーも、何もかもがハチャメチャで狂ってる。本格的な刑事ドラマとは大違いで、その捜査方法や過程の描き方は、かなり滅茶苦茶。大滝と恵子の間には愛なんてないので、男女の情愛ドラマでもない。はじめから、そんなものをしっかり描く気など毛頭なさそう。いったい何が描きたいのか理解不能な、見事なまでのまとまりのない破綻しまくった内容ですが、そこが返って魅力ともいえる。安い酒をチャンポンしたら意外とイケてて楽しく酔える、みたいな映画?
今のスウィートなオコチャマ邦画とTVドラマを観慣れてると、この映画の荒削りでドロ臭い猥雑で野卑なパワー&ムードは、何だか新鮮。こーいう映画は、もう製作不可能なんだろうなあ。そして、この映画を観てつくづく感じた。やっぱ学芸会タレントと本物の役者って違うなあ、と。
大滝役の緒形拳が、ほんとギラギラしてて素敵この頃のオガケン、最高ですね。あの鋭い眼光と♂のフェロモン!たまりませんわ。見た目同様、キャラもビーストなオガケン。逮捕した男の内妻を手篭めにして愛人にしてる、なんて設定からして鬼畜。真昼間から女の部屋にシケこんでヤりまくってるし(オガケンのケツがエロい)。しかも、結婚してやるからと彼女を唆して囮捜査に利用したり。取調べ室で容疑者を拷問する様子など、ヤクザも真っ青。ほんと非道い!怖い!男なんだけど、恵子の息子(万引きが得意な超クソガキ!で、いい味だしてます)に好かれようと無駄な努力をするところとか、何か可愛いくて微笑ましい。柄にもなく絵本を読んでやったりレバニラ作ってやったりしても、ガキは懐かず反抗的なのが哀れかつ笑えた。
大滝の役は他の大物俳優なら、実は善い人だとか悲しい人だとかなキャラにして、自分をカッコよく見せるよう腐心するんだろうけど、さすがオガケンというか、そんな中途半端な人間性やナルシズムは皆無。ほんと自分本位で本能のままな動物的キャラで、カッコつけた姿など見せません。でも、カッコいい。あのギラギラ感は、オガケンにしかないもんね。ルックスがいい俳優、演技が巧い俳優は枚挙にいとまなしだけど、一抹の甘さもないギラギラしいフェロモンがある俳優は、オガケンしか思いつかない。ほんと、後にも先にも唯一無二な俳優でした。
恵子役は、いしだあゆみ。薄幸というより、男運が悪すぎな女。だらしない&おひとよし、という男に付け入らせる2大欠点を完璧に備えている、究極だめんず女って感じ。いしだあゆみ、ほんと不幸顔だけどヘンに湿っぽくなく、どちらかといえばノーテンキで元気な演技だったので好感&いるいる、こんな女という共感を抱かせます。場末の女っぽさにもリアリティが。ヌードも披露。意外と巨乳?
この映画で最高に爆裂してたのは、何と言っても坂崎役の泉谷しげる。ある意味、緒形拳を食ってたかも。ほんと怖笑な激演でした。普段は超オドオド卑屈なのに、ヤクを打つと一転、危険すぎる狂犬に。金属バットで暴れるシーン&ラストの大暴走、邦画史上最恐なシャブ中ぶりでした。若い頃の泉谷さん、あの深川通り魔殺人の犯人に似てるので、余計にヤバくて怖い...
その他の脇役陣も、豪華で異様に濃ゆい。大滝の上司役は藤田まこと&遠藤太津朗(土ワイの京都殺人案内のコンビじゃん)、捜査の指揮官役に成田三樹夫。若いエリート刑事役に小林薫(カッコよかった!出番が少なくて残念)。容疑者役の益岡徹、TVでは放送できない激ヤバき○がい演技。ドヤ街の宿泊場の主人役の芦屋雁之助の、人形を赤ちゃんみたいに可愛がってる異常さも笑える。あと、麿赤児とか蟹江敬三とか、ちょこっと出ですがインパクトあり。
チビ野獣な恵子の息子、将来トンデモない野獣に成長しそうで怖い。同じ野獣なら、せめて大滝みたいな刑事になれば良いけど...極道or犯罪者な方向に進みそうで心配です。
ドヤ街とか貧乏アパート(長屋?)とか、まさに社会のドブ、ぬかるみ生活って感じで、大阪の底辺がリアルに描写されているのも印象的です。
「野獣刑事」
故・緒形拳が、大阪のコワモテはみだし刑事を演じた1982年の作品。
刑事の大滝は敏腕だが、その傍若無人で独自な捜査方法ゆえ、署内で問題児扱いされている。そんな中、若い女が夜道でメッタ刺しにされるという殺人事件が発生。大滝は被害者が売春をしていたことを突き止める。一方、大滝の愛人である恵子のもとに、彼女の元情夫で大滝に逮捕されて刑務所に入っていた坂崎が、刑期を終えて戻ってくるが...
これ、かなり笑える映画です。コメディじゃないんだけど。ワタシ的には、ちっとも笑えない三谷コーキとかクドカンとかの映画より、よっぽど大爆笑できる映画です。演出も演技もストーリーも、何もかもがハチャメチャで狂ってる。本格的な刑事ドラマとは大違いで、その捜査方法や過程の描き方は、かなり滅茶苦茶。大滝と恵子の間には愛なんてないので、男女の情愛ドラマでもない。はじめから、そんなものをしっかり描く気など毛頭なさそう。いったい何が描きたいのか理解不能な、見事なまでのまとまりのない破綻しまくった内容ですが、そこが返って魅力ともいえる。安い酒をチャンポンしたら意外とイケてて楽しく酔える、みたいな映画?
今のスウィートなオコチャマ邦画とTVドラマを観慣れてると、この映画の荒削りでドロ臭い猥雑で野卑なパワー&ムードは、何だか新鮮。こーいう映画は、もう製作不可能なんだろうなあ。そして、この映画を観てつくづく感じた。やっぱ学芸会タレントと本物の役者って違うなあ、と。
大滝役の緒形拳が、ほんとギラギラしてて素敵この頃のオガケン、最高ですね。あの鋭い眼光と♂のフェロモン!たまりませんわ。見た目同様、キャラもビーストなオガケン。逮捕した男の内妻を手篭めにして愛人にしてる、なんて設定からして鬼畜。真昼間から女の部屋にシケこんでヤりまくってるし(オガケンのケツがエロい)。しかも、結婚してやるからと彼女を唆して囮捜査に利用したり。取調べ室で容疑者を拷問する様子など、ヤクザも真っ青。ほんと非道い!怖い!男なんだけど、恵子の息子(万引きが得意な超クソガキ!で、いい味だしてます)に好かれようと無駄な努力をするところとか、何か可愛いくて微笑ましい。柄にもなく絵本を読んでやったりレバニラ作ってやったりしても、ガキは懐かず反抗的なのが哀れかつ笑えた。
大滝の役は他の大物俳優なら、実は善い人だとか悲しい人だとかなキャラにして、自分をカッコよく見せるよう腐心するんだろうけど、さすがオガケンというか、そんな中途半端な人間性やナルシズムは皆無。ほんと自分本位で本能のままな動物的キャラで、カッコつけた姿など見せません。でも、カッコいい。あのギラギラ感は、オガケンにしかないもんね。ルックスがいい俳優、演技が巧い俳優は枚挙にいとまなしだけど、一抹の甘さもないギラギラしいフェロモンがある俳優は、オガケンしか思いつかない。ほんと、後にも先にも唯一無二な俳優でした。
恵子役は、いしだあゆみ。薄幸というより、男運が悪すぎな女。だらしない&おひとよし、という男に付け入らせる2大欠点を完璧に備えている、究極だめんず女って感じ。いしだあゆみ、ほんと不幸顔だけどヘンに湿っぽくなく、どちらかといえばノーテンキで元気な演技だったので好感&いるいる、こんな女という共感を抱かせます。場末の女っぽさにもリアリティが。ヌードも披露。意外と巨乳?
この映画で最高に爆裂してたのは、何と言っても坂崎役の泉谷しげる。ある意味、緒形拳を食ってたかも。ほんと怖笑な激演でした。普段は超オドオド卑屈なのに、ヤクを打つと一転、危険すぎる狂犬に。金属バットで暴れるシーン&ラストの大暴走、邦画史上最恐なシャブ中ぶりでした。若い頃の泉谷さん、あの深川通り魔殺人の犯人に似てるので、余計にヤバくて怖い...
その他の脇役陣も、豪華で異様に濃ゆい。大滝の上司役は藤田まこと&遠藤太津朗(土ワイの京都殺人案内のコンビじゃん)、捜査の指揮官役に成田三樹夫。若いエリート刑事役に小林薫(カッコよかった!出番が少なくて残念)。容疑者役の益岡徹、TVでは放送できない激ヤバき○がい演技。ドヤ街の宿泊場の主人役の芦屋雁之助の、人形を赤ちゃんみたいに可愛がってる異常さも笑える。あと、麿赤児とか蟹江敬三とか、ちょこっと出ですがインパクトあり。
チビ野獣な恵子の息子、将来トンデモない野獣に成長しそうで怖い。同じ野獣なら、せめて大滝みたいな刑事になれば良いけど...極道or犯罪者な方向に進みそうで心配です。
ドヤ街とか貧乏アパート(長屋?)とか、まさに社会のドブ、ぬかるみ生活って感じで、大阪の底辺がリアルに描写されているのも印象的です。