まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

夫婦革命!今度は愛に沈みます

2009-02-03 | 北米映画 08~14
 「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」
 2009年のmy first 劇場鑑賞映画。
 あの「タイタニック」から11年。レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが、待望の再共演を果たした話題作。
 50年代のアメリカ。若い夫婦フランクとエイプリルは、可愛い子どもたちと郊外の家で幸せに暮らしていたが、実は平凡な人生を送ることに不安や焦燥、虚しさを抱えていた...
 うう~ん。何かシビアでキツい内容でした。ある意味、タイタニック以上に大沈没、みたいな不幸で悲劇的な話かも。怖い話でもあります。夢と理想に固執し現実と折り合えないエイプリルを、自分勝手で愚かな女にしてしまう“健全で道徳的な良識的な”社会通念や価値観。つまらない人生に何の疑問も抱かないのは、鈍感という名の強さのかな。私は違う!私は特別なはず!と、妥協できずに煩悶するエイプリルは、まさに凡庸という海でアップアップもがいて、退屈という船の上から助けの手を伸ばすフランクを拒絶して溺れていく遭難者みたいです。
 
 それにしても。あんなに苦しめ合い傷つけ合い悲惨な破局を招くぐらいなら、もっとアメリカ人らしく上手に合理的な友好さで、違う道を歩む選択をしてもよかったのでは?そうできなかったのは、やはり二人が愛し合ってたからなんだろうなあ。二人の愛が強く深くなければ、サバサバと割り切って別れることもできただろうし。
 フランクとエイプリル、愛憎が極端というか、中間がないので見ていて疲れる。甘~いラブラブ状態か、激辛いがみ合いのどっちかだもん。後者のほうが断然おもしろく、いつフランクがエイプリルの首を絞めるのか、いつエイプリルが鉄拳をフランクにとばすのか、深刻な状況にもかかわらず、期待でドキドキワクワクしてしまいました。
 日本では、こういう夫婦の映画は作れないかな?演じられる若い男女優がいないし、日本人って西洋人みたいに激情をぶつけ合わないし。あと、幼い子どもたちの影が、めちゃくちゃ薄かったような。あの両親を目の当たりにして悲しむ子どもの姿が描かれなかったのは、せめてもの救いかも。とにもかくにも、最初から最後まで緊張感に満ちていて、後味が悪いながらもダレることなく観られる映画です。
 
 ↑まさに修羅場!キレまくる二人の激情ガチンコが、怖すぎて笑える...
 タイタニックのジャック&ローズ、せっかく再会できたのに何やってんの~もし生還して結婚できたとしても、こんな風になっちゃうのでは?と思ってしまうほど、レオナルド・ディカプリオもケイト・ウィンスレットも幸せが似合わない悲劇系俳優ですねえ。でも二人とも、タイタニック後も良い仕事を続けて立派になりましたよね。もともと卓越していた演技力も磨かれ成熟していってるし、見た目も良い感じに可愛いオッサン、きれいなオバサンになったし。
 レオは、すごく可愛かったです。リーマンなスーツと同じぐらい似合わない平凡な夫・パパ役が、何だか痛々しくも愛しい。相変わらずオコチャマ顔なので、彼を励ましたり慰めたりしてるエイプリルは、妻というよりママに見えます。優しくて朗らかだけど、プッツンしたら別人格覚醒みたいに狂気じみた鬼の形相でヒス起こすレオ、こ、怖い~!けど、やっぱレオはこーでなきゃな、とも。凶暴な繊細さと脆さはレオの魅力です。
 それにしても。フランク可哀相すぎる。さえない埋没リーマンかもしれないけど、優しいし可愛いし家族のために頑張ってるし、私なら喜んで彼にかしずく専業主婦になるけどなあ。
 ケイト・ウィンスレット、その迫真の演技&迫力ある存在感は、タイタニックの時以上にレオを圧倒してます。絶望の仕方やコワレ方も、花が散るようなか弱く哀れな感じではなく、巨大隕石がドガンドガンと落ちてくるような豪快なパワーがあるところが、ウィンスレットさんらしいというか。
 それにしても。エイプリルって、ワイドショー的に見るとイタい女、悪妻なんだろうなあ。まあ、あれだけ美人で利発だと、ヌルい現状に満足できないのも解かるけど。
 知人女性役でキャシー・ベイツまで登場して、往年のタイタニックファンを喜ばせるサービスが嬉しい。ベイツおばさんの精神を病んだ息子役マイケル・シャノンが、さすが今年のアカデミー賞助演男優賞候補になってるだけあって、強烈なインパクト。フランクとエイプリルの溝を深くする言動が、怖くて笑える。
 レオもウィンスレットさんも、アンチエイジングに血道をあげてる様子が皆無で、好感を抱かずにいられません。レオは年相応、いや、実年齢以上に体がボテっとユルユルだし、ウィンスレットさんの二の腕と腰まわりは、すでに熟女のリアリティが。でも、“素敵と言われていた時代”のままでいようと、いつまでもイケメン青年もどきなオッサン&清純ぶりっ子もどきなオバサンばかりな日本のタレントたちに比べると、年を取ることは老化ではなく成長、を実践してるみたいなレオとウィンスレットさんって真の一流役者だな、と尊敬の念と期待が深まります。
  
 ↑レオ『また共演しようね、ケイト姉ちゃん』ケイト『その姉ちゃんってのやめなさい!私のほうが年下だっつーの!』今後何度共演しようと、決して私生活ではカップルにはならない安心感?が、二人にはあります。それはそうと、ウィンスレットさんGG賞のW受賞、おめでと~オスカーでは、「愛を読むひと」で主演女優賞候補に。今度こそ横綱昇進(オスカー獲得)となりますように!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする