まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

エレクトリック女教師⚡

2020-03-25 | フランス、ベルギー映画
 「マダム・ハイド」
 高校の化学教師マリー・ジギルは生徒たちから見下され、彼女のクラスは学級崩壊に陥っていた。そんな中、実験中に謎の電気ショックを受けたマリーの心身に、奇怪な変化が生じて…
 有名なジギルとハイド氏の話を、舞台を現代のフランス、主人公を女性に置き替えて映画化。冴えない女教師が怪奇なパワーを得て、凶悪な生徒やモンスターペアレンツ、クズ教師に恐怖のお仕置きをする学園ホラーコメディかと思いこんでいたのですが、ぜんぜん違っていたので面くらいました。てっきり大好きな「ヤヌスの鏡」みたいなぶっ飛んだ二重人格ものか、「シリアル・ママ」みたいなドギツイい猛毒コメディかと勝手に期待してたのですが…

 いちおうコメディみたいでしたが、あまり笑えなかった。終始淡々としてて、もう少しで寝るなー!寝たら死ぬ!な雪山遭難状態になりそうに。マダム・ハイドがこれといった事件や騒動を起こすわけでもなく、夜に夢遊病者になって謎の発光をする以外、マダム・ジギルとマダム・ハイドに違いがなくて、せっかくの別人格設定を活かしてないのが残念でした。

 ハチャメチャなホラーコメディにしないのなら、せっかく高校を舞台にしているのだから学園ドラマにできたはずなのに。マダム・ハイドに変身することで、自分をバカにしていた生徒たちとの関係性が変化し、マダム・ハイドとの関わりを通して生徒たちが成長する、みたいな話にもならなかったのが、本当に惜しい。せっかくジギルとハイド氏を基にしているのに、オリジナルの面白さも活かさず愉快なアレンジもされてないのが、もったいなさすぎます。

 マダム・ジギル/マダム・ハイド役のイザベル・ユペールは、相変わらず冷ややかな美しさが格別。冷たい無表情や真面目な女教師ファッションなど、「ピアニスト」のエリカ先生を思い出させます。無機質な白衣が似合う。小柄で華奢で透明感があるので、遠くから見ると少女みたい。凡百な女優なら、マダム・ジギルとマダム・ハイドをオーバーにわかりやすく演じ分けるんだろうけど、イザベル・ユペールはそんなことはしないんですよね~。いつもの彼女をブレずに貫いてます。冷酷そうだけど、どこかやっぱシレっとトボけてる感じもいつものユペりん。生徒たちからナメられても、そんなのどーでもいい、みたいな恬然としてる様子とか、いかにも彼女らしかった。でも人からバカにされるのがこれほど似合わない女優もいません。ただそこにいるだけで畏怖しか感じないです。電気ショックでギャー!な顔と、発光して不良や犬を焼き殺すのが、数少ない笑えたシーン。こんなシーンで!?な乳見せもあり。

 高校の校長役で、ロマン・デュリスも出演してます。髪型といいファッションといいキャラといい、校長先生というよりゲイのデザイナーみたいだった。ロマンなので何か怪しい秘密や正体が?と期待したのですが、そういう隠し味的な設定もなし。ロマンの無駄づかい!マリーの夫役は、「フレンチ・ラン」にも出ていたホセ・ガルシア。ロバート・ダウニー・Jr.に激似。イザベル・アジャーニ主演の「La Journée de la jupe」もそうでしたが、貧しい地域の高校の学級崩壊や荒廃は、フランスでも深刻みたいですね。でもこの映画の生徒たちは、暴力的な行為や違法行為をしないだけ、まだよい子たちなほうだと思いました。
 
コメント (3)
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