まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

絶海に咲いた百合

2021-01-08 | フランス、ベルギー映画
 「燃ゆる女の肖像」
 18世紀のフランス。島にある屋敷に令嬢エロイーズの肖像画を描くためやって来たマリアンヌは、モデルになることを拒否し続けているエロイーズに画家であることを隠し、彼女の話し相手や散歩を共にしながらひそかに肖像画を描き進める。エロイーズとマリアンヌはしだいに惹かれ合うようになるが…
 昨年「パラサイト 半地下の家族」と並んで高く評価されたフランス映画。日本でもやたらと批評家や意識高い系映画ファンから賞賛されたので、そんなに秀作ならスルーはできんな、でも百合映画だしな~…と、映画館に行くに当たって揺れる想い~♪by ZARD だったのですが、この映画も観にいってよかったと心から思いました!今まで観た百合映画の中ではいちばん好きかも。ご存じの通り私は、三度のメシよりBL好きな腐。でも女性同士の恋愛ものは苦手。それも一種の性差別だよな~と、常々気になってました。でもどうしても、女性同士の恋愛には違和感や抵抗感を覚えてしまうのです。でも嫌悪感とか、絶対あり得ない!許せない!なんて狭量な気持ちは微塵もありません。

 女性同士の性愛シーンは見たくない…と観る前は気重でしたが、いざ観てみると評判通りの佳作でした。憂慮していた性愛シーンも、扇情的に激しくも生々しくもなく、何よりヒロイン二人が女にありがちなヒステリックさとか忍耐しすぎとかがなく、感情に流されることなく自分たちの想いに冷静に正直に従うところがカッコよかったです。親密だけど狎れ合わない関係。甘く切なくなりがちなBLと違って、理性的で現実的なヒロインたちでした。今まで観た百合映画の女たちは、どちらかといえば女性特有の病っぽいヤバいイカレ系が多かったので、暴走しないクールなエロイーズとマリアンヌは新鮮でした。

 肉体的にも結ばれるエロイーズとマリアンヌですが、なにげない会話や一緒にいる時の安らかな雰囲気が培う友愛、信頼が素敵でした。気のきいた台詞や愉快な軽口をたたくわけではなく、二人とも寡黙で内省的、でも正直で誠実。人間関係にもミニマリズムって必要。相手の顔色をうかがって忖度ばかり、心にもない追従やくだらない戯言ばかりな自分が嫌になりました。
 社会的、肉体的精神的な女性の生きづらさも、声高に訴えるのではなく、さりげないシーンで描いていたのもよかったです。生理痛には温めたさくらんぼの種をおなかに当てる、とか興味深い当時の治療法でした。母上の留守中はメイドのソフィーを加えた3人で、身分差のない交流を楽しむ姿も微笑ましかったです。それにしても。望まない結婚、生理、妊娠・中絶と、ほんと女性は大変。呪縛のような辛苦を抱えながらも、弱音を吐かず絶望もせず強く優しく生きることができたら…
 
 毅然と気高い二人のヒロインと、それらを演じた女優たちが魅力的でした。エロイーズ役のアデル・エネルは、今やフランス映画界屈指の実力派女優。まだ若いのに、すごい貫禄と風格。ケイト・ウィンスレット系?ニヒルな演技、たくましい風貌といい、男より男らしいです。媚び媚なぶりっこ女優とはまさに真逆な女優。ふれくされたような表情だけど、屈折してるのではなく超絶冷静沈着。要らんことは言わないしないので、誤解されやすいタイプだけどそんなことどうでもいい、みたいな孤高がカッコいいです。フテ顔だけど、笑ったらあどけなくて可愛い。マリアンヌ、ソフィーと3人でトランプしてるシーンの笑顔が無邪気で可愛かった。マリアンヌ役のノエミ・メルランは、ちょっとエマ・ワトソンに似てる?アデルもノエミも脱ぎっぷりがいい。ナチュラルな脱ぎに好感。アデルのワイルドな腋毛に圧倒されました

 絶海の孤島の風景が美しかったです。生きるために最低限度のものしかないけど、ああいうシンプルライフには憧れます。余計なものがない屋敷内もミニマリズムのお手本でした。衣装も派手さはないけど、やはりシンプルかつ清らかな色合いで素敵でした。でもドレスとかコルセットとか、しんどそう~。普段はジャージが、やっぱいちばん楽で幸せ
 佳い映画でしたが、でもやっぱ百合より薔薇のほうがいいなイギリスならハリス・ディキンソンとビリー・ハウル、フランスならグザヴィエ・ドランとピエール・ニネ、ドイツならルイス・ホフマンとヤニス・ニーヴナー、韓国ならキム・スヒョンとパク・ソジュン、が理想かな(^^♪条件は20代か30代前半の脱げる男優!日本は、うう~ん、山崎賢人と池松壮亮がいいかも(^^♪
 
コメント (2)
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