お松の韓流いい男映画祭①
「KCIA 南山の部長たち」
軍事政権下の韓国。中央情報局(KCIA)の元部長パク・ヨンガクはアメリカに亡命し、聴聞会でパク・チョンヒ大統領の腐敗を訴える。激怒したパク大統領の命令で、ヨンガクの友人でもある新部長のキム・ギュピョンは渡米し、事態を収拾するため画策するが…
今年初の映画館鑑賞映画。そういえば去年も映画始めは「パラサイト 半地下の家族」で韓国映画でした。大好きなイ・ビョンホン主演作ということで、ウキウキで観に行きました(^^♪ああ~ビョン吉さん、やっぱチョアチョア~チョンマルいい役者、いい男!彼みたいな俳優、日本にもいればな~と毎回思ってしまいます。今回の彼が演じた役、そして演技も、日本の俳優には無理です。自分がどんだけカッコイイか、演技が上手いかをアピールするだけの俳優とは違うんですよね~。今回のビョン吉さん、カリスマな雰囲気とか男の色気とかいったいつもの魅力を消していて、権力者に絶対服従な犬のような官僚を地味に冷徹に、かつ鬱屈が内面でマグマのように煮え立ってるような、静かなる熱演を披露してます。とにかくどんな理不尽で無茶な命令や超絶パワハラ、人権無視な屈辱侮辱にも、耐えて耐えて耐えまくるビョン吉さんのロボットのような無表情、なのに伝わってくる押し殺せない切羽詰まった感情に、見てるほうも胸がザワつき苦しくなります。ビョン吉史上最も抑圧された緊張感に満ちた演技かもしれません。
いい男な風貌やオーラは消してるビョン吉さんですが、やっぱカッコよさは隠せません。スーツやトレンチコート、軍服がパリっとビシっと一分の隙もなく、元軍人という設定に適した強靭そうな体つきなど、コスプレにしか見えない日本人俳優による軍人とは大違いです。大統領のためだけに生きてる厳しいストイックさ、あれも生半可な俳優には出せません。心が乱れた時に前髪を触る仕草、あれも細やかで複雑な心情をさりげなく表しているようで印象的でした。決してオーバーなアクションはしないけど、一挙手一投足、表情に目がクギづけになってしまいます。最初から最後まで胃痛的な抑圧演技をしてるビョン吉さんですが、警護室長に激高するシーンの取り乱す彼も強烈でした。あの低い美声だと、罵りさえ甘美に聞こえます。
イ・ビョンホンが稀有な俳優であることだけではなく、韓国という国のヤバさも再確認できる映画になってます。韓国って、今でこそ韓流人気で馴染み深い国だけど、ちょっと前までは隣国なのに誰も知らない、興味もない謎の国でしたよね。70年代まで軍事政権だったというのも異様。今でも民主主義国家とは思えぬほど不穏で混沌としてる韓国政府ですが、この映画で描かれた軍事政権下の青瓦台は、まさに血で血を洗う伏魔殿。権力をめぐる暗闘暗躍!渦巻く野心と私利私欲!生き残りを賭けた仁義なき抗争と陰謀!ダーティ&ダークなヤクザ映画みたいな面白さでした。拷問、暗殺、拉致監禁はまさに韓国のお家芸。すぐに戦車だの戒厳令だの、物騒でアナーキーすぎる。笑いとかチャラさ、スウィーツさなど微塵もない、重苦しくシビアで骨太な内容は、梨泰院クラスとか愛の不時着とかいった系統の韓流が好きな人向けではありません。エグいゲスい系韓流がチョアな私は、とっても楽しめました。パク・ヨンガクの生殺与奪をめぐってのパリでの大統領側とキム部長側との攻防とか、キム部長の盗聴とか、ラストの血みどろ修羅場とか、なかなかスリリングかつ意外性もあって、サスペンスとしても面白かったです。
日本にかぎらずどこの国の政治も政治家も、決してきれいじゃないとは思うけど、韓国の場合は国民性もあってか格別に下劣で卑劣。大統領や警護室長の、人前でも非理性的で暴力的、自分より下の者は人間扱いしない言動は、野蛮で下卑てて怖いです。キム部長も普段は寡黙な紳士だけど、激したら相手を虫けら呼ばわりの口汚い罵詈雑言。韓国人の気性ってほんと荒いですよね。パク・チョンヒ大統領の非道で非情な暴君ぶりときたら。悪人というより狂人みたいだった。因果応報的に非業の死を遂げる閣下でしたが、年月を経て彼の娘もまた。獄中にいる彼女の、この映画の感想を聞いてみたい。大統領がこぞって悲惨な末路を迎えてしまう韓国、その病巣は深刻です。
シブい韓流バイプレイヤーたちも、ビョン吉さんに勝るとも劣らぬ好演、怪演。パク・チョンヒ大統領役は、「華麗なるリベンジ」でも悪辣な鬼畜だったイ・ソンミン。ああいうドス黒い迫力が出せる役者も日本にはいないですよね~。警護室長役のイ・ジュンヒも、ほんま腹立つー!早う死ね!と本気で憎悪させるほどのゲス野郎っぷりが見事でした。「哭声 コクソン」などのクァク・ドウォンがパク・ヨンガク役で、流転の売国奴をひょうひょうと悲しく演じてました。パク大統領とキム部長がちょこっと日本語で会話したり、暴露記事を載せてたのがサンデー毎日だったり、薄く日本が登場してたけど、実際のパク大統領は日本とは縁の深い人だったみたいですね。
それにしても。実際のキム・ギュピョンは絞首刑に処せられ、新たなる軍事政権が始まったりとか、虚しすぎる現実ですね。キム部長はこの映画のように憂国ゆえに暗殺を決行したのか、それとも失脚した不満や怒りにかられての暴走だったのか。真実は本人と神さまのみぞ知る、です。
↑ やっぱビョン吉さんがチェゴヤ!夏に「白頭山大噴火」が日本公開!その他にも、映画ではソン・ガンホやチョン・ドヨン共演作、パク・ソジュン共演作、ユ・アイン共演作、TVドラマではナム・ジュヒョク共演作と、馬車馬のように働いてるビョン吉さん。どれも楽しみすぎるけど、延期とか感染とかイヤなニュースが伝わってきませんように…
「KCIA 南山の部長たち」
軍事政権下の韓国。中央情報局(KCIA)の元部長パク・ヨンガクはアメリカに亡命し、聴聞会でパク・チョンヒ大統領の腐敗を訴える。激怒したパク大統領の命令で、ヨンガクの友人でもある新部長のキム・ギュピョンは渡米し、事態を収拾するため画策するが…
今年初の映画館鑑賞映画。そういえば去年も映画始めは「パラサイト 半地下の家族」で韓国映画でした。大好きなイ・ビョンホン主演作ということで、ウキウキで観に行きました(^^♪ああ~ビョン吉さん、やっぱチョアチョア~チョンマルいい役者、いい男!彼みたいな俳優、日本にもいればな~と毎回思ってしまいます。今回の彼が演じた役、そして演技も、日本の俳優には無理です。自分がどんだけカッコイイか、演技が上手いかをアピールするだけの俳優とは違うんですよね~。今回のビョン吉さん、カリスマな雰囲気とか男の色気とかいったいつもの魅力を消していて、権力者に絶対服従な犬のような官僚を地味に冷徹に、かつ鬱屈が内面でマグマのように煮え立ってるような、静かなる熱演を披露してます。とにかくどんな理不尽で無茶な命令や超絶パワハラ、人権無視な屈辱侮辱にも、耐えて耐えて耐えまくるビョン吉さんのロボットのような無表情、なのに伝わってくる押し殺せない切羽詰まった感情に、見てるほうも胸がザワつき苦しくなります。ビョン吉史上最も抑圧された緊張感に満ちた演技かもしれません。
いい男な風貌やオーラは消してるビョン吉さんですが、やっぱカッコよさは隠せません。スーツやトレンチコート、軍服がパリっとビシっと一分の隙もなく、元軍人という設定に適した強靭そうな体つきなど、コスプレにしか見えない日本人俳優による軍人とは大違いです。大統領のためだけに生きてる厳しいストイックさ、あれも生半可な俳優には出せません。心が乱れた時に前髪を触る仕草、あれも細やかで複雑な心情をさりげなく表しているようで印象的でした。決してオーバーなアクションはしないけど、一挙手一投足、表情に目がクギづけになってしまいます。最初から最後まで胃痛的な抑圧演技をしてるビョン吉さんですが、警護室長に激高するシーンの取り乱す彼も強烈でした。あの低い美声だと、罵りさえ甘美に聞こえます。
イ・ビョンホンが稀有な俳優であることだけではなく、韓国という国のヤバさも再確認できる映画になってます。韓国って、今でこそ韓流人気で馴染み深い国だけど、ちょっと前までは隣国なのに誰も知らない、興味もない謎の国でしたよね。70年代まで軍事政権だったというのも異様。今でも民主主義国家とは思えぬほど不穏で混沌としてる韓国政府ですが、この映画で描かれた軍事政権下の青瓦台は、まさに血で血を洗う伏魔殿。権力をめぐる暗闘暗躍!渦巻く野心と私利私欲!生き残りを賭けた仁義なき抗争と陰謀!ダーティ&ダークなヤクザ映画みたいな面白さでした。拷問、暗殺、拉致監禁はまさに韓国のお家芸。すぐに戦車だの戒厳令だの、物騒でアナーキーすぎる。笑いとかチャラさ、スウィーツさなど微塵もない、重苦しくシビアで骨太な内容は、梨泰院クラスとか愛の不時着とかいった系統の韓流が好きな人向けではありません。エグいゲスい系韓流がチョアな私は、とっても楽しめました。パク・ヨンガクの生殺与奪をめぐってのパリでの大統領側とキム部長側との攻防とか、キム部長の盗聴とか、ラストの血みどろ修羅場とか、なかなかスリリングかつ意外性もあって、サスペンスとしても面白かったです。
日本にかぎらずどこの国の政治も政治家も、決してきれいじゃないとは思うけど、韓国の場合は国民性もあってか格別に下劣で卑劣。大統領や警護室長の、人前でも非理性的で暴力的、自分より下の者は人間扱いしない言動は、野蛮で下卑てて怖いです。キム部長も普段は寡黙な紳士だけど、激したら相手を虫けら呼ばわりの口汚い罵詈雑言。韓国人の気性ってほんと荒いですよね。パク・チョンヒ大統領の非道で非情な暴君ぶりときたら。悪人というより狂人みたいだった。因果応報的に非業の死を遂げる閣下でしたが、年月を経て彼の娘もまた。獄中にいる彼女の、この映画の感想を聞いてみたい。大統領がこぞって悲惨な末路を迎えてしまう韓国、その病巣は深刻です。
シブい韓流バイプレイヤーたちも、ビョン吉さんに勝るとも劣らぬ好演、怪演。パク・チョンヒ大統領役は、「華麗なるリベンジ」でも悪辣な鬼畜だったイ・ソンミン。ああいうドス黒い迫力が出せる役者も日本にはいないですよね~。警護室長役のイ・ジュンヒも、ほんま腹立つー!早う死ね!と本気で憎悪させるほどのゲス野郎っぷりが見事でした。「哭声 コクソン」などのクァク・ドウォンがパク・ヨンガク役で、流転の売国奴をひょうひょうと悲しく演じてました。パク大統領とキム部長がちょこっと日本語で会話したり、暴露記事を載せてたのがサンデー毎日だったり、薄く日本が登場してたけど、実際のパク大統領は日本とは縁の深い人だったみたいですね。
それにしても。実際のキム・ギュピョンは絞首刑に処せられ、新たなる軍事政権が始まったりとか、虚しすぎる現実ですね。キム部長はこの映画のように憂国ゆえに暗殺を決行したのか、それとも失脚した不満や怒りにかられての暴走だったのか。真実は本人と神さまのみぞ知る、です。
↑ やっぱビョン吉さんがチェゴヤ!夏に「白頭山大噴火」が日本公開!その他にも、映画ではソン・ガンホやチョン・ドヨン共演作、パク・ソジュン共演作、ユ・アイン共演作、TVドラマではナム・ジュヒョク共演作と、馬車馬のように働いてるビョン吉さん。どれも楽しみすぎるけど、延期とか感染とかイヤなニュースが伝わってきませんように…