「マ・レイニーのブラックボトム」
1927年のシカゴ。ブルースの母と称えられる人気歌手、マ・レイニーのレコード収録に参加したバンドメンバーの一人、トランペッターのレヴィーは、自分のバンドを結成して成功するという野心を抱いていた。マ・レイニーは白人のプロデューサーたちと衝突を繰り返し、レコーディングは暗礁に乗り上げて…
チャドウィック・ボーズマンの遺作最後の演技はキャリアベスト、来たるオスカーの主演男優賞候補、いや受賞もありえると絶賛されているのが嬉しい、と同時に悲しい。彼が生きてたらどんなにかウキウキだったことでしょう。彼のラストパフォーマンス、惜別と哀悼の気持ちで胸がいっぱいになりながら観ました。チャドウィック、評判通り素晴らしかったです!
「ブラックパンサー」を筆頭に、真面目で篤実で冷静沈着で寡黙な役がほとんどだったチャドウィックが、この遺作ではチャラくて口が悪くて女好きで傲慢な役だったのが新鮮、かつチャーミングでした。とにかくよく喋る!こんなに饒舌なチャドウィックは初めて。機関銃のように長い台詞をまくしたてる彼に圧倒されます。自信満々で俺様な言動で周囲をイラっとさせつつ、憎めない愛嬌もたっぷりなチャドウィックが可愛い!不変なのは、何を着ても似合ってるところ。ブラックパンサースーツもワカンダ国の王さま衣装も、野球選手のユニフォームも農夫姿だって、チャドウィックが着ると洗練されてるんですよね~。今回の20年代スーツも、すっごく小粋でした。黄色い靴がおしゃれ!
トランペットを吹くチャドウィック、軽やかなステップで踊るチャドウィック、美声で歌うチャドウィック。きっとミュージカルもイケてたはず!と惚れ惚れしました。ひたすらカッコいいチャドウィックですが、それだけではもちろんありません。ちょっと生意気な才人の役なのかなと思いきや、そんなありきたりな役ではありませんでした。チャラ男だったチャドウィックが見せる真実の顔が衝撃的。壮絶すぎる過去と心身の癒えない傷、そして激情と狂気。チャドウィック渾身の、オスカー候補、いや、受賞もありえるとの評判にたがわぬ圧巻の熱演です。コワレてしまった心がヒリヒリと伝わってくるチャドウィクの、悲痛な表情と瞳から目が離せませんでした。ラスト、レヴィーが起こす事態に、え!?と唖然、呆然になってしまいました。
チャラ演技だけでなく、マ・レイニーの愛人に色目を使って誘惑してエッチするチャドウィック。アメリカ映画でよくあるシーン、着衣のまま慌ただしくヤるのは、他の俳優だと珍しくもないけど、あの生真面目で清廉なチャドウィックが!そういえば彼が女優とエッチするシーンって見たことなかったような。この映画が最初で最後?肌露出はまったくありませんでしたが。
ブラックパンサーに比べると、かなり痩せてるチャドウィック。撮影当時はもうガンと闘病中だったらしく、そう思って見ると痛々しく切なくなります。まさに命を削るような演技。病さえ演技に活かさずにはいられない、役者の業の深さを感じました。あらためて、チャドウィックがいかに素晴らしい俳優であったかを思い知りました。かえすがえすも惜しい。この悲しみと喪失感は、いつまでも消えることはないでしょう…
マ・レイニー役は,、今や黒人女優のボス的存在となっているヴィオラ・デイヴィス。出オチ的な風貌!妖怪的な貫禄と恰幅、生半可な女優には出せない迫力のオーラです。言葉づかいといい大股開きな座り方といい、愛人は若い女だったり、ほとんどおっさんなワイルドキャラが怖いけど笑えます。白人を信用しないマ・レイニー、白人を憎むレヴィー、そうせざるを得ない当時の黒人差別が非道すぎて戦慄。特にレヴィーが悲憤の涙で語る彼の両親が受けた迫害は、怪談の百物語なんかよりはるかに身の毛もよだつ恐怖体験記でした。トランプさんみたいな差別主義者が堂々と国のトップになれるアメリカ、悪しきものは不変、不滅なんだな~と暗澹となります。
↑ 本当にいい役者、いい男だったな~春に日本公開の「21ブリッジ」でとうとうお別れか~…悲しい寂しい
1927年のシカゴ。ブルースの母と称えられる人気歌手、マ・レイニーのレコード収録に参加したバンドメンバーの一人、トランペッターのレヴィーは、自分のバンドを結成して成功するという野心を抱いていた。マ・レイニーは白人のプロデューサーたちと衝突を繰り返し、レコーディングは暗礁に乗り上げて…
チャドウィック・ボーズマンの遺作最後の演技はキャリアベスト、来たるオスカーの主演男優賞候補、いや受賞もありえると絶賛されているのが嬉しい、と同時に悲しい。彼が生きてたらどんなにかウキウキだったことでしょう。彼のラストパフォーマンス、惜別と哀悼の気持ちで胸がいっぱいになりながら観ました。チャドウィック、評判通り素晴らしかったです!
「ブラックパンサー」を筆頭に、真面目で篤実で冷静沈着で寡黙な役がほとんどだったチャドウィックが、この遺作ではチャラくて口が悪くて女好きで傲慢な役だったのが新鮮、かつチャーミングでした。とにかくよく喋る!こんなに饒舌なチャドウィックは初めて。機関銃のように長い台詞をまくしたてる彼に圧倒されます。自信満々で俺様な言動で周囲をイラっとさせつつ、憎めない愛嬌もたっぷりなチャドウィックが可愛い!不変なのは、何を着ても似合ってるところ。ブラックパンサースーツもワカンダ国の王さま衣装も、野球選手のユニフォームも農夫姿だって、チャドウィックが着ると洗練されてるんですよね~。今回の20年代スーツも、すっごく小粋でした。黄色い靴がおしゃれ!
トランペットを吹くチャドウィック、軽やかなステップで踊るチャドウィック、美声で歌うチャドウィック。きっとミュージカルもイケてたはず!と惚れ惚れしました。ひたすらカッコいいチャドウィックですが、それだけではもちろんありません。ちょっと生意気な才人の役なのかなと思いきや、そんなありきたりな役ではありませんでした。チャラ男だったチャドウィックが見せる真実の顔が衝撃的。壮絶すぎる過去と心身の癒えない傷、そして激情と狂気。チャドウィック渾身の、オスカー候補、いや、受賞もありえるとの評判にたがわぬ圧巻の熱演です。コワレてしまった心がヒリヒリと伝わってくるチャドウィクの、悲痛な表情と瞳から目が離せませんでした。ラスト、レヴィーが起こす事態に、え!?と唖然、呆然になってしまいました。
チャラ演技だけでなく、マ・レイニーの愛人に色目を使って誘惑してエッチするチャドウィック。アメリカ映画でよくあるシーン、着衣のまま慌ただしくヤるのは、他の俳優だと珍しくもないけど、あの生真面目で清廉なチャドウィックが!そういえば彼が女優とエッチするシーンって見たことなかったような。この映画が最初で最後?肌露出はまったくありませんでしたが。
ブラックパンサーに比べると、かなり痩せてるチャドウィック。撮影当時はもうガンと闘病中だったらしく、そう思って見ると痛々しく切なくなります。まさに命を削るような演技。病さえ演技に活かさずにはいられない、役者の業の深さを感じました。あらためて、チャドウィックがいかに素晴らしい俳優であったかを思い知りました。かえすがえすも惜しい。この悲しみと喪失感は、いつまでも消えることはないでしょう…
マ・レイニー役は,、今や黒人女優のボス的存在となっているヴィオラ・デイヴィス。出オチ的な風貌!妖怪的な貫禄と恰幅、生半可な女優には出せない迫力のオーラです。言葉づかいといい大股開きな座り方といい、愛人は若い女だったり、ほとんどおっさんなワイルドキャラが怖いけど笑えます。白人を信用しないマ・レイニー、白人を憎むレヴィー、そうせざるを得ない当時の黒人差別が非道すぎて戦慄。特にレヴィーが悲憤の涙で語る彼の両親が受けた迫害は、怪談の百物語なんかよりはるかに身の毛もよだつ恐怖体験記でした。トランプさんみたいな差別主義者が堂々と国のトップになれるアメリカ、悪しきものは不変、不滅なんだな~と暗澹となります。
↑ 本当にいい役者、いい男だったな~春に日本公開の「21ブリッジ」でとうとうお別れか~…悲しい寂しい